ヨーロッパに見る自転車文化

「自転車都市宣言」独・ミュンスター市

一人二台の自転車都市では

ショッピングもビジネスマンも移動は自転車で

自動車が規制されたミュンスター中心部は自転車天国

職業を問わず市民の足として愛される自転車

自転車1台あたりの平均購入単価がオランダを 越え、今や欧州屈指の自転車大国となった ドイツ。こと自転車道路の整備に関しては、欧州の中でもひときわ進んでいる。自動車道路と同じように行き先と距離を記した標識を整備。車道と自転車道を共用する部分では、自転車用の停止線を自動車よりも前に設け、しかも自転車専用の信号機が先にブルーになるところもある。自転車は、老若男女を問わず、もはや市民の足としてなくてはならない道具として使われ、当然のようにインフラも整備されている。そんなドイツにおいて唯一、自転車都市を宣言しているのが、ノルトラインヴェストファーレン 州にあるミュンスター市だ。この町の移動手段のうち35%を自転車が占める。自転車の保有台数は人口26万人に対して56万台を数える。町を歩けば自転車だらけ。当然のように市の中心部は、自動車の乗り入れが規制され、代わりに自転車道が整備されている。

市の自転車政策と交通ルール

自転車道と交差する自転車専用道 自転車とモベットだけが入れることを意味する標識

右側通行など交通ルールも徹底していて走りやすい

市の中心部に入る道路は基本的に一方通行出口。でも自転車は除くと書かれている。

ミュンスター市が自転車政策に取り掛かったのは1948年。第2次大戦で破壊された町を復興する際に自転車政策を打ち出し、専用道路を作ることからはじめた。半径10kmほどの小さな街に、今では総距離4000kmに及ぶ自転車道が整備されている。ゆえに、この町の自転車道路地図には自転車道路がない道だけを記すほど。交通ルールについては、9歳のときに学校の正式な授業として、徹底して教育が行なわれている。乗り方だけでなく、ハンドサインや交通法規などを教育し、この授業を受けて初めて車道の通行が認められる。ドイツでも自転車の走行区分は基本的に車道または自転車道だが、8歳までは特別に歩道通行も認められているそうだ。また、交通法規の遵守も徹底されていて、信号無視や走行区分違反など、自転車といえども警官が容赦なく取り締りを行なっている。

自転車マイスターの存在

ミュンスター中央駅の地下にある巨大駐輪場の入り口 駐車場併設の設備施設で働くマイスター 技能検定に受かった整備士だけがこの認定書をもらえる

1999年には、ミュンスター中央駅の地下に3000台を収容する駐輪場が作られた。ここでは自転車の保管に加え、自転車整備士が常駐している。調子の悪い自転車を通勤前に預け、仕事帰りに整備された自転車を受け取れるようなシステムが整えられている。しかも、整備士の背後にはマイスターの資格を持っていることを示す認定証が飾られていた。利便性の良さと、腕利きのマイスターがいることから、駐輪場併設の整備専門店を利用する人は多い。

安全と安心のために

休日は夫婦や仲間とサイクリング

町中自転車だらけ

また、ミュンスター中央駅ほどの規模ではないが、周辺の各駅にも駐輪場が整備されていて、自宅と最寄り駅を往復する自転車、会社近くの駅と会社を往復する自転車の2台を使いこなしている人も少なくないそうだ。欧州のほかの都市を訪れると、アムステルダムやロンドンのように、市の中心部に乗用車が乗り入れることのできない都市が少なくない。一部の地下鉄など、よほどの乗降数がある路線以外、自転車を電車の中にそのまま持ち込める。自転車が交通手段の要として確固たる地位を築いていることを痛感する。市民の自転車選びについても、コンシューマー向けの雑誌が数多く出版され、コンフォート系の自転車の製品比較テストなども、頻繁に掲載されている。自転車本体はもちろん、付属のランプやリフレクタ、どろよけ、スタンドまで徹底した比較テストが行なわれる。元々市民の厳しい目があった市場でEN規格が施行されることで、生産側はよりシビアなモノづくりを強いられることになった。反面、市民は安全な自転車をたやすく購入できるという『安心』を手にするのだ。

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