自転車をもっと知ろう~サイクルライフで楽しく豊かな人生を!~

長谷部 雅幸(はせべ まさゆき)
公益財団法人シマノ・サイクル開発センター、自転車博物館 事務局長・学芸員。
1973年(株)シマノ入社。開発設計部、営業部、企画部、シマノヨーロッパ駐在員など、幅広い職務を務める。元シマノレーシング。
ベルギーのプロチームメカニック・日本チーム世界選手権メカニック・全日本自転車競技選手権優勝・アジア選手権優勝・MTB選手権出場・2011年マスターズ優勝・全日本トライアスロン宮古島大会完走、50歳でツールド沖縄市民の部50km優勝。また、仲間とのサイクリングや競技を年間50回以上と現在もサイクルスポーツを楽しむ。

自転車博物館

1.スポーツバイク、機材の歴史について簡単に教えてください。

 近年の日本での人気は、2007年頃からでしょうか。スポーツバイク人口は急増し、現在でも続いています。小売価格がおおよそ4万円以上のスポーツ目的に設計された変速機付き自転車のことを「ピュアスポーツ自転車」と定義しますが、現在日本では約300万人程の方がピュアスポーツ自転車でサイクルスポーツを楽しんでいると思われます。
 機材やコンポーネントに関しては、現在、ツール・ド・フランスやオリンピック、世界選手権で、日本製のコンポーネントが60%以上も使われ、競技の世界ですから高性能である点から選手に選ばれています。 日本製品は1973年に初めてヨーロッパのプ
ロチームに供給され、勝利を目指すための機材として、現地で選手、メカニックや自転車メーカーの意見を取り入れながら、高い技術力で必要な機能を具現化していきます。そこからヨーロッパのメーカーも危機感を持ち、製品開発に力を入れ、コンポーネントメーカーのみならず世界中の自転車メーカーの開発競争が始まっていくのです。そのことからスポーツバイクにはまだ進化の余地が沢山あることを知っていくのです。特に画期的だったのは1982年に日本メーカーが掲げた「エアロダイナミクス思想」です。ここからスポーツバイクの考え方は、耐久性を維持しながら、エアロダイナミクス+バイオメカニックヘと進化していきます。1987年、過酷なツール・ド・フランスにカーボンファイバーを使ったフレームで参戦したチームが出できた時は大きな衝撃でした。現在も「より速く、より遠く、より楽に」を求め、エアロダイナミクスとバイオメカニックを追求した自転車の開発が進められ、ツール・ド・フランスと共に自転車を進化させています。今後もどんな新しい技術や製品が出て来るのかと思うと、とてもワクワクしますね。

2.ドイツ、オランダに10年間いらっしゃったということですが、日本とヨーロッパの自転車文化の違いを教えてください。

 ヨーロッパ特にドイツ・オランダなどでは面倒がらないでやる。着実に一歩ずつ進むという文化があります。質実剛健を旨とする社会です。自転車の購買ですがドイツでは自転車の平均小売価格は7万円を超えますし、オランダは8万円を超えます。いいものを長く使うという思想が根付いているのです。
 また、自転車に乗る人は保険に入っていますね。何でも保険を掛けるのがドイツ流です。子供がいたずらをして物を壊した時やガラスを割った時の保険などもあります。転んだ先の準備ですね。
 それとドイツ、オランダでは自転車の点検や整備はまめにしている人が多いですね。ドイツもオランダも平地が多く自転車で遠くへ行きやすいので、一般の人でも30kmから100km位まで走っています。またオランダでは通勤や通学に片道10kmくらい走っている人は普通にいます。自転車通勤すると税金の軽減があったり、通勤補助が支払われる位自転車利用を政府が後押ししている事もあります。日本と大きく違うのは、日本のようにどこでも人が住んでいるという状況ではないので、自転車で走る時にはトラブルが起こると頼れる人やショップが近くに無いからしっかりと点検をしますね。
 そして何と言っても、ヨーロッパ諸国は地続きなので、各国の多種類に渡る自転車イベントに気軽に参加できること。イベントも大きいものが幾つもあります。フランス・ロックダジュールのMTBイベントにはレース参加の選手で約2万人、観客やサイクルショー見学も入れると、開催期間中に20万人位の動員になります。それと、何と言ってもツール・ド・フランスを始めとする世界的なビッグレースが間近で見れるということです。

3.マスターズ最年長クラスのロードで優勝されていますが、これから大会に出場したいと考えているシニアの皆さんへ何かアドバイスをお願いします。

 機械を使って行う競技ですから、使い方によって人体の持つ能力を大きく引き出すことができます。自己の能力を極めるのが、競技スポーツですから、現状の能力以上の、時には失敗や無謀と思われることに挑戦することで自己の壁を乗り越え、より高い能力を身に着けていくわけです。
 ですが、シニアの競技者が自分を極めるための過酷なトレーニングを行うのはお勧めできません。
 故障や事故を未然に防ぐためには限界を超えないことを心構えとし、その中で効率の良いトレーニングを行います。シニアになると、各部の機能が低下します。例えば、視力も低下しますし、反射能力等あらゆる部分が機能低下していることを理解しなくてはなりません。路面の変化や路面の溝などに対する発見時間、対処時間が遅れて、事故を避けられないことになります。また下り坂のコーナーリングでは特に疲労が出てくると注意力が大きく低下し、大事故に繋がります。それとトレーニングの効果を上げるには、サイクルコンピュータをうまく使うことが良い結果を生み出します。コンディショニングを図りながらトレーニングする。例えば心拍計をうまく使いこなすことも効果的です。

4.長谷部さんお勧めのサイクリングコースがあったら教えてください。

 お勧めのコースは沢山あるのですが…あえてあげると、西日本では岡山県の「片鉄ロマン街道」でしょうか。廃線跡がサイクリングロードになっていて、のどかな田舎道が懐かしいし、温泉もあってとても気持ちいいです。ゴールの終着駅近くには玉子かけご飯専門店があって、走った後はとても美味しいですよ。女の子でもどんぶり飯をぺろって食べちゃうくらい。卵を六つくらいかけちゃってね。東日本では、そうですね…やはり湘南でしょうか。砂浜に沿ったサイクリングロードがいいですね。それと相模湾越しに丹沢の山々が見えるのがいい。特に夕景はとてもきれいで素晴らしいです。

5.自転車を楽しく乗るには、正しいセッテングも重要になってきますよね?

 まずは自転車を購入した時にショップできっちりとサイズ合わせをしてもらうようにしましょう。フォームを固めることが大事です。サイズ合わせや、ポジション合わせをきっちりしてくれない、しかも理論的な説明をしてくれないショップで購入するのは疑問ですね。ですから、毎年進歩する技術、理論の勉強を欠かさずしているSBAA PLUS認定店に行くことをお薦めします。そして距離を積んでくると、筋肉も付き、心肺機能など身体のあらゆる機能が発達し、無駄がとれ身体が変化していきます。体ができて来るともっと走り易い、自分のスタイルが解ってきます。そうなると、ポジションも変わってくるのです。この時、ポジションのリアジャストをショップに相談して、自分のポジションを進化させていくことが必要です。美しいポジションは研ぎ澄まされ、進化した形ですから、一番効率の良いフォームなのです。サドルの高さは効率的なペダリングに重要な要素ですし、前後位置は登り坂での登坂力に違いを出します。ハンドルの高さは首や肩など上半身の疲労具合を変えます。従って、楽しく、速く、遠くへ行ける能力は体と共に、自転車のポジショニングによって構成されますので、決して自己流で適当に行なわないことです。間違ったポジションで乗っていると、そのポジションに馴染んだ体になってしまい、後から修正するのが大変になります。
 現代の自転車はとても良く走りますし、性能も高次元です。従って、沢山の機能を持つ自転車の性能を十分に引き出すには、重要なポイントを熟知したショップと関わりを持つことで最善の機能と安全が保てるのです。 SBAA PLUS認定店で、定期的なメンテナンスを受けることをお薦めします。

【長谷部さんよりコメント】
私が提唱しているのは「自転車ライフで楽しく豊かな人生を!自転車のある生活は2倍楽しい」です。サイクルスポーツが人気なのは、なんといっても「自転車は自由だ」ということです。だから、気楽に・楽しく・気軽に乗り、楽しい時間を過ごす工夫をしていただきたいです。
健康によく、環境に優しく、時間や場所に制約されず、一人でも楽しく、大勢ならもっと楽しい、健康によく、ローコストなサイクルスポーツ。
集う、旅する、食べる、そして学ぶ、こんなに楽しく、いいことはないと思います。

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