女性サイクリストへのワンポイントアドバイス

上田 藍(うえだ あい)
プロ・トライアスリート、シャクリー・グリーンタワー・稲毛インター所属、1983年 京都府出身
体を動かすことが大好きで、4歳から水泳を習い始め、中学時代は水泳部。高校時代は陸上部で3,000mに専念。競泳と陸上の経験を生かせるトライアスロンに興味を抱き、高校3年生の夏、トライアスロンの大会に初参戦し、優勝。3種目を合わせたことで勝利を見出せたトライアスロンの道に進むことを決心する。高校卒業後、京都府から上京し、千葉県にある稲毛インターで、トライアスロンを本格的に開始し、ジュニア・U23カテゴリーを経て、2005年よりエリートカテゴリーに進む。そして、2008年北京オリンピックの舞台に立ち、17位。2012年ロンドンオリンピック、39位。今現在、2016年のリオデジャネイロオリンピックでの金メダル獲得に向けて、日々邁進中。
トライアスリート上田藍 オフィシャルWEBサイト

1.水泳・陸上とずっと経験してこられた上田さんにとって、トライアスロンでのバイク種目を始める時どの様に自転車に慣れていったのでしょうか?

 高校時代に部員のいない自転車部がありまして、部室に一台だけ先輩が残していったスポーツ用自転車があったんです。自転車好きな顧問の先生がいたので、私が高校3年生の時に「トライアスロンを始めてみたいのでスポーツ用自転車のことを教えてください」と頼んでみましたら、それなら「一緒に走りに行こう」ということになりました。整備は顧問の先生が張り切ってやってくれて、ヘルメットやシューズも一式貸してもらったので、非常にラッキーなスポーツ用自転車・デビューでしたね。当時は同年代でスポーツ用自転車に乗る人は少なかったので、ヘルメットとサングラスをするのが恥ずかしく、みんなに冷やかされながら、学校を出た記憶があります。
 京都(北区)から大原を抜けて、山越えをして琵琶湖を目指しました。お借りしたスポーツ用自転車が手元でギアチェンジをするものではなかったので、道中は隣をトラックが勢いよく走る横でギアチェンジを必死でやりながら先生を追いかけて行きました。車には注意しつつ、ペダルをこいで、ギアチェンジをやる…。「スポーツ用自転車というのはいろいろとやることがあるな」という印象でした。子供のころからマウンテンバイクに乗って遠乗りをしていたせいか、琵琶湖までの距離には抵抗はなかったですね。スポーツ用自転車に乗った時に一番不安だったのは、やはりパンクをしても自分では直せないことでした。一緒に走ってくれる人がいたという安心感が今でも自転車を続けられるきっかけになっていると思います。

2.普段の自転車のトレーニング方法を教えて下さい。また女性(特に初心者)におすすめのトレーニングや楽しみ方とかありますか?

 トライアスロンのシーズンは3月から11月になります。シーズンインするとレースに参加することが多くなるため、質を上げた実践トレーニングの意味でレースをこなし、調整することが多いですね。昨年(2014年)はデュアスロン含めて21戦出場しています。レース以外の練習では、1回に30~70㎞ぐらいを走ります。シーズンオフについては土台作りもあって、100~120㎞を走ります。
 集中して走りたいときは、安全に練習できる場所を確保することが必要です。この近辺(千葉)では南房総に“フラワーライン”という道路があり、信号も交通量も少ないため、トレーニングに利用しています。私が競技をするのは「エリート」というクラスです。同じクラスの選手で集まって、実際のレース同等のスピードを出しながら集団で走る練習をすることもあります。
 初心者の方にとっては、トレーニングというよりもまずは楽しめることが一番。そのためには、一緒に乗れる仲間を作ることが大事です。その中にベテランの方がいればなお良いでしょう。仲間と車にバイクを積んで、良いロケーションで短時間走ってみる。帰りにおいしいものなんか食べて、旅行感覚。
 楽しみながら走っているうちに、距離やスピードが伸びていきます。楽しみから余裕が生まれ、余裕ができれば楽しめて、走りも向上していくという形が理想でしょうね。

3.自分の乗る自転車に関して特にこだわっている点とかありますか?女性の目線から見たスポーツ用自転車を選ぶポイントなどがあれば教えてください。

 私は小柄な方なので、国産車で自分にぴったりのスポーツ用自転車に出会えたことが良かったですね。こだわっている点といえば、ブレーキの握り心地はそのひとつです。
メカニックを担当してくれている方は、私の手が小さいことをよく理解してくださっていて、きっちりとカスタマイズしていただいています。
 女性の方が自転車を選ぶポイントとしては、やはり自分に合ったポジショニングが出せるフレームを選ぶことが大事ですね。小柄な方が自分のポジションが出せるサイズのコンパクトなフレームは、種類が限られてくると思います。体に合わないバイクを買ってしまうと、しっくりこなくて結局は乗らなくなってしまう。ポジショニングを含めて相談できるショップでの購入は間違いがないでしょう。
 私も新しいバイクを作る時は、シーズン中のポジションをちゃんと測っておいて、その設定で組んでいただくという形をとっています。1年に少なくとも1回はメーカーのラボでチェックして調整を加えています。データの蓄積によって最適なポジショニングを作ることができます。

 スポーツ用自転車で自分らしさを出すのはやはりカラーリングということでしょうか。私は青が好きなので青のカラーリングをしています。自転車はバイク本体だけでなく、ヘルメット、シューズ、グローブ、サングラスなど様々なアイテムがあるので、そこで自分らしさを出していける面白さはありますね。サイクルジャージなどは価格も高いのですが、まずはお古でもいいから誰かから借りて試着してみるのもよいと思います。

4.スポーツBAA PLUSマークは試験に合格した信頼出来る整備士に与えられる資格制度ですが、上田選手は普段自転車の整備はどのように行っているのでしょうか?
また初心者や女性向けにメンテナンスについての良いアドバイスはありますか?

 レース時の最終チェックはやはりプロの整備士の方に任せています。レースで不具合がなく走れたという実績が整備の方への信頼につながっていますね。
 初心者や女性の方も、まずはショップに行って、整備を体験してみるというのがベストですね。作業ができない場合でも、店員さんの作業手順を、可能であれば動画で撮っておくのも良いでしょう。その場ではわかったつもりでいても、いざ自分でやると難しかったりするからです。動画を撮っておけばスポーツ用自転車に乗るときの安心感にもつながり、整備をしているうちにその楽しさも覚えていけるのではないでしょうか。

 自分自身で行うメンテナンスというと、やはりパンクの修理がメインになりますね。昔、携帯電話もお金もパンク修理キットも持たずに遠乗りをした時にパンクしてしまい、30㎞の道のりを歩いて戻った苦い経験があります。パンクの修理は誰にとってもちゃんと覚えておくべきことで、チューブの取り換えができることが大切です。またチェーンの掃除も重要です。チェーンが汚れていると他の部品まで傷めることがありますので、オイル注しと汚れ取りは定期的に行うことが肝心です。
 また女性の方が特に気を付けなければならないのは、ブレーキ、サドル、ハンドル周りなどのねじの締め付けでしょうか。締め付けが弱かったり、ねじを潰してしまったりすることを起こしやすいので、最終的な締め付けは整備士のかたにお願いするのが得策です。

5.最後に最近増えている女性サイクリストへ、そしてこれからスポーツ用自転車を始めようと考えている方へ、自転車の魅力、醍醐味等など何か一言メッセージがあればお願いいたします。

 様々な乗り物の中で、自分の足で出せるスピードが一番早いのが自転車ですよね。「風を切って走る」というのがやっぱり自転車の面白さだと思います。車や電車とは違い、自転車はまず行く過程での達成感があります。同じ所へ行ったとしても、自転車で行くと普段見逃しているものや新しい発見があったりします。車から景色を眺めていても、「今度ここに自転車で行ってみよう」とか考えることで楽しみが広がっていくと思います。たとえば、道の駅まで乗りに行っておいしいものを食べて、ブログやSNSに投稿したらいろんな人が反応してくれる。また、最近ではGPSのついたアイテムが増えてきているので、帰ってからデータを取り込み、地図上で自分の走ったところをたどってみるとか。スポーツ用自転車の様々な楽しみ方が、だんだんと増えてきていますね。
 最初は健康のためにとスポーツ用自転車に乗り始めた方が、自分の足で行って到達した達成感やバイク自体の整備でカスタマイズしていける楽しみなどを覚えて夢中になるなんてこともあったりします。サイクリングの楽しみといえば、はずせないのが自転車好きな人がたくさん集まるライドベントですね。サイクリングは、自転車に乗ることで味わえる、特別な体験を味わうことができます。イベントではこうした人たちが一堂に会し、そこで友達を作り体験を共有し合う中で、世界が広がっていく楽しさもあります。

【上田さんよりコメント】
スポーツ用自転車に乗るにあたっては「楽しめる」ことが一番。きっかけがダイエットであっても、競技を目指していてもそこは変わりません。楽しさからモチベーションが生まれ、モチベーションが距離やスピードを伸ばしてくれます。最近は専門知識が豊富なショップやお店で集るツーリングクラブもどんどん増えているので、一緒に走る仲間を見つけましょう。仲間で走ると、安全な運転方法や走り方などいろいろと気付かされることもあったりします。もちろん「楽しさ」も倍増しますよ!また、自転車の選び方から、整備、ポジショニングにいたるまで、気軽に相談できるショップやメンテナンスができる方を見つけることも大事です。仲間や整備士の方と親しくなって「何でも聞ける」環境をつくることで、スポーツ用自転車の魅力が一層味わえるようになり、新しい世界が開けるかもしれませんよ。

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