元五輪選手から華麗なる転身 初心者がスポーツ用自転車を始める際の“コツ”とは?

田代恭崇(たしろやすたか)さん
1974年6月7日生まれ。東京都出身。リンケージサイクリング代表。大学のサイクリング部で自転車ロードレースを始め、卒業後プロに転身。10年間チームブリヂストンアンカーに所属し、2001年と2004年の全日本選手権優勝、2004年アテネ五輪日本代表など、数多くの成績を残す。引退後はブリヂストンサイクルに入社し、スポーツ用自転車の商品企画、広報、ショールーム運営、サイクリングイベントなどを6年間担当。2014年にサイクリングイベントやスクール、コーチを行う「リンケージサイクリング」を湘南・江ノ島で創業。

1.元全日本ロードチャンピオンで、アテネ五輪日本代表選手という田代さんが、レース界の仕事ではなく、初心者層にサイクリングの楽しみ方を伝える「リンケージサイクリング」を始めるに至った思いとはなんだったのでしょうか。

 「リンケージサイクリング」を始めて4年目に入りました。前職では、東京・青山のショールームで年に何度かイベントで、試乗車を貸し出していましたが、思っていた以上に需要があることに驚きました。「自転車を買いたいと思っていても、ショップに行ってもよくわからないし、買う前に乗ってみたいけどそういう場所がない」「土日にショップに行っても、お店が忙しくてなかなか相手にしてもらえない」「試乗車なんてほとんどない」という声を耳にしていたので、そういう場所が必要とされているんだなというのがわかりました。もちろんその現状に関しては、決してショップが悪いのではなく、乗りたいという人に試乗の機会を提供したところで、必ず買ってくれるわけでもないのに、そこに何時間も付き合っていたら、商売として成り立たないはずなので、難しいんだろうなと思っていました。
 最初はそのような「乗ってみたい」希望を叶える場所がないので、自分がやってみても良いんじゃないかなと思いました。選手を引退し、サラリーマンを6年務め、年齢も40歳を過ぎましたので、新しいことにチャレンジをしてみたくもなっていたんです。勢いもありますね(笑)。
 開設した当初から2年くらいは、ロードレースを題材にした漫画「弱虫ペダル」の影響が大きくて、漫画の影響でスポーツ用自転車を始めてみたいという方がとても多かったです。20代の女性がロードバイクに乗ってみたいと、1人でうちに来てくれましたね。最近はそのブームも落ち着いて、定番の層というか、ショップの購入層と同じ30代、40代の割合が多いです。
 リンケージサイクリングでは初心者の方が、まず「体験サイクリング」から始めて、そのあともステップアップができるようにしています。距離を重ねることもそうですが、楽しむ中で知識を深めてしっかり乗れるようになったり、いよいよ自分のロードバイクを手に入れたお客さんが、輪行の講座に参加してくれれば、パッキングも自分でできるようになったりと、一通りサイクリングのノウハウが学べるようになっています。
 拠点となるクラブハウスの周辺は海もあるし、少し走れば山もあるので、自転車には本当に最高の環境です。その条件で場所も選びました。ここでスポーツ用自転車デビューをしてもらえたら最高だと思いますよ!

2.初心者向けにはどのくらいの距離や時間のサイクリングを提案していますか?

 リンケージサイクリングを利用するお客さんの男女比は、ほぼ1:1です。販売店などに比べると、かなり女性の割合が高いと思います。まだ自転車を持っていない方も多く、うちで初めてスポーツ用自転車に乗るという方は多いです。総数は減りましたが、今も漫画やアニメの影響でロードバイクに憧れて来たのかなという女性もいて、そういうときには、どの漫画が好きなのか一応聞いてみるんです。すると、「どれ?どっち?どのキャラクターが好き?」と、会話の糸口になりますね。
 クロスバイク、ロードバイクに初めて乗る人には、まず乗車時に脚を後ろから通して跨ぐことから練習します。ママチャリだけでは経験のない動きなんです。とくに降りるときは忘れてしまって前から脚を通そうとして転んでしまいがちなので、そこは口を酸っぱくして何度も教えています。それからブレーキ操作も大切です。急ブレーキを避けるということは一般的によく言われていますが、加えて止まり切る前にブレーキを放して足を付いて止まろうとする人が意外と多くいるので、サイクリング前の講習ではしっかりと正しいブレーキ操作を教えています。
 走る場所は、その日の参加者のレベルに合わせて調整しますが、初心者向けの場合は、クルマのないところをかなり厳選しています。最も初心者向けのプログラム「体験サイクリング」は23kmくらいです。座学で変速の仕方などを予め学んでいただいて、それから乗り降りやブレーキなどの練習をクルマの入ってこない道で練習してから、乗りに出ます。実質、走っているのは2時間くらいですが、お店を出てから戻ってくるまでには3時間はかかりますね。
 参加者にとっては、ペースが遅くても速くても不満に繋がるので、脚力にばらつきがあるときには2グループに分けたりし、皆さんが気持ちよく走れるようにコースやペースを考えて、また頑張ったご褒美や良い思い出となるような、美味しい補給食や海の見える景色を楽しめるようにしています。

3.これからスポーツ用自転車を始めたい人たちのために、バイクなどの選び方などのアドバイスをお願いします。

 これから自転車を買う人には、よくクロスバイクとロードバイクのどちらが良いか聞かれます。そういうときは、日常生活で使い、プラスしてスポーツとしても楽しみたい人はクロスバイクが良いのではないかと伝えます。ロードバイクは趣味として走ることを楽しみたい、ゆくゆくはロングライドを楽しんだり、大会にもチャレンジしたりしたいという人にオススメです。
 クロスバイクであれば、価格帯としては5万円から10万円クラスが、週末にちょっと長い距離を走る場合に、性能としても十分で安心して乗れますし、モデル数も多いのでオススメしています。
 またロードバイクでは、10万円を超えるくらいのもの。できれば15万円から20万円くらいの自転車をオススメしたいなと思います。空気入れやヘルメット、グローブ、ウェアなどのそのほかに必要となる用品の購入で5万円ほどかかりますので、ロードバイクの場合は、トータルで20万円くらい用意しておくと良いですよとお伝えします。
 オススメのモデルや、ブランドを聞かれることもありますが、色がかっこいいとか、ロゴがカッコイイとか、自分のインスピレーションで選んで良いと思いますよ。ディスカウントストアのよくわからない激安スポーツバイクでは心配してしまいますが、専門メディアで見るような名の通ったブランドのものであれば、外れモデルなどほぼないですから、自分の好みを最優先して大丈夫です。それこそ、漫画やアニメのキャラクターと同じブランドを選ぶのも、趣味としては最高だと思います。
 購入に際して、スポーツ用自転車はメンテナンスが欠かせませんから、ご自宅の近くのショップが良いかなと思います。大切なのは気軽に持ち込めることで、遠いとちょっとしたことで持っていくのが大変です。ただ、一番近いことだけを重視すると、欲しいブランドの取扱いがなかったりすることも出てくるので、まずは近隣のショップを調べて、何軒か見てみると良いでしょう。その上でなんとなく自分に合う、合わないは、店員さんと話してみて感じるところがあると思うので、そういう雰囲気も感じ取ってショップを決めると良いかと思います。

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