プロレースより一般イベントの方が難しい?メカニックサポートの意外な現場

坂東 晃(ばんどう あきら)さん
福島県出身。1975年に株式会社シマノへ入社。1975~1984年にかけシマノレーシングでプロ選手として活動。現役引退後、1985年に品質管理部に所属。1996~2008年にかけ、シマノレーシング、スキル・シマノで監督を務めた。2009年以降は各地のイベント等でテックサポートを担当している

1.かつてシマノレーシングの選手、監督としてもご活躍された坂東さんですが、今もスポーツ用自転車に乗る時間は作っていますか? また、自転車競技を始めたきっかけと、現役時代から引退までの経緯を教えてください。

 忙しくてあまり時間が取れませんが、たまに、MTBやロードにも乗りますよ。住んでいる大阪府河内長野市は、すぐに本格的な山にアクセスできますし、河川敷も走れます。それに会社までも自転車でちょうどいい距離なんです。
 自転車に乗り始めたのは高校生のときで、たまたま自転車部の顧問が担任だったので、誘われました。出身の福島県は、その当時全国的にも強豪揃いだったみたいで、それを最初はあまり知らずに、そういうライバル高校の生徒が同じようなコースで走っているので、彼らに負けたくない一心で練習しました。結局、福島県内では勝てなかったのですが、でも全国大会に行くと、無名の自分は自由に動けて、好きなレースができたんです。マークされずに、2年生のときにインターハイで5位になり、3年生のときには2位になりました。そして、卒業後の進路を迷っていたときにシマノのチームが声をかけてくれて、そこから本格的な選手生活が始まりました。
 10年ほどの選手生活では、全日本選手権で優勝もできました。一番嬉しい勝利はアジア大会で優勝したとき。その後、シマノが持っていたヨーロッパのスポンサーチームで、当時まだカンパニョーロ全盛の頃、シマノの製品テストをしながら走りました。数カ月もすればレースの流れがわかってくるわけですが、もっと早く世界のレベルを知って、若くて脂の乗っていた時期に海外に挑戦したかったと思いました。今のように海外挑戦が身近ではなく、ヨーロッパのレースが遠かったので、行くのが遅かった。その頃にはボクはもう引退を考えていましたので。
 翌年には引退をし、品質管理部に所属しながらプロチームのメカニックとして、新製品のテストをしていました。その後、シマノレーシング、スキル・シマノの監督も務めてきました。

2.最近はシマノのメカニックとしてイベントのサポートにも出られていると伺いましたが、最新機材をメインに使用しているプロ選手たちではなく、一般サイクリストのバイクのメカニックで大変なのはどのようなことですか?

 イベント参加者の自転車は、使っているコンポーネントの年代が幅広いので、対応力、知識が求められます。とは言え、昔のもののほうがワイヤーやギヤの調整にしても、ホイールの振れ取りにしても、それほど特殊なものは使用していないので、ただ整備してないだけであれば、まだどうにか調整できます。
 あとはどこまで不具合をカバーできるかということです。その持ってきた状態・パーツのままで、イベントを走れる状態まで手入れをするのであり、完璧にはできません。イベントに来る人はパーツを交換しようとは考えていませんから、その自転車の状態でのベストまで持っていき、安全に走れるようにします。
 バイクのメカトラブルで一番多いのは、変速、そしてブレーキです。その2つだけで、全体の7割ほどを占めています。変速が一段ずれていたり、異音がしていたり、ブレーキのワイヤーが戻らなかったり、シューが限りなく減っているなどといったことは、よくありますね。そのままのパーツでと言いましたが、コースのコンディションや雨などの状況に応じては、安全面を考えてシューを交換して対応することもあります。
 シマノのサポートカーは、行くイベントによって積載する中身を変えています。ツアー・オブ・ジャパンのようなプロのレースでは、必要最低限の工具やパーツしか持っていません。なぜなら、チームにはそれぞれ専属のメカニックがいて、その上でのレース中のサポートになるからです。しかし、一般のレースやイベントでは、シマノでは商品のないタイヤのチューブから、細かなシマノパーツまで、かなり増えます。イベント中はパンクの対応が一番多いので、コースプロフィールや距離によって予備チューブの用意する量を変えます。サイズも700C用、650C用、幅も23Cもあれば32Cもあるので、結構な量を持っていきますよ。それでも合わないものがあれば、あるものでなんとか代用して、走れるようにサポートします。

3.今までで驚いたバイクトラブルはどんなことですか? また、イベントやレースに参加する人へ、トラブルを避けるためのポイントを教えてください。

 トラブルは色々ありますが、1年ぶりに自転車に乗るとかで、そのままイベントに持ってくる人もいますよ。とくにトライアスロンでは多いですが、普段の練習は違うバイクで、本番用のバイクは久しぶりで、去年から開けていないとか、驚きますけど実際にありますよ。もうワイヤーが錆びてしまって、それで「調子が悪いんですけど…」といって、レース会場で持ってこられる方もいます。それはトライアスロン特有で、自転車が数ある道具のうちの一つという感じのようです。
 やはり、来る前に必ずショップで見てもらって頂きたいです。一番良くないのは、ネット通販などで買って、自分でできるといじってはいるものの、パーツを逆に組んでいるなどの間違いや、調整が行き渡っていないバイクです。正直、会場という現場でできることというのは限られていて、付いているものでなんとか走らせるところまでなんです。例えば、どこかボルトが1つでも足りないと直せないものも出てきます。だから必ずショップで点検をしてもらい、整備をしてきてください。
 クルマの車検のような大掛かりなものでなく、ブレーキや変速、タイヤなどの日常の定期点検でも、見てもらえば安全面でグンと変わりますから、ぜひ定期的なショップでの点検をおすすめしたいです。

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