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興味ではじめた自転車が本気に変わったきっかけは? レース・トレーニング

 栗村さんがロードレースに興味を持ったのは中学2年生14歳の時とのこと。若い時に興味本位で始めたものが本気に変わったきっかけを教えてください。(20代/女性)
 これは栗村が自転車ロードレースをはじめたタイミングときっかけについてのご質問ですね。私の場合はスタート時にすでに本気になってしまっておりました(笑) 興味本位にはじめたのではなくて、「プロのロードレースの選手になるぞ!」と思って最初のロードバイクを自転車屋さんに買いに行ったのです。
 まず私のスポーツ歴についてですが、幼稚園の頃からサッカースクールに通い始めました。その後小学生ユースに昇格し、ある意味で「サッカー選手」になるための道に片足を突っ込んだわけです。当時はまだJリーグは開幕しておらず、日本リーグという名称で社会人リーグが開催されている環境でした。しかし、本音でいえばサッカーはあまり好きではなくて、なんとなく続けていたのが実情でした。そんなときにテレビでツール・ド・フランスの総集編を観て、「おれはこのスポーツのプロ選手になるぞ!」と直感的に感じたのをいまでも鮮明に覚えています。もちろんプロ選手になった人全てが直感に導かれて該当スポーツをはじめたわけではないと思いますが、少なくとも私自身は言葉では説明できない感情に導かれて自転車ロードレースの世界に両足をずっぽりと踏み入れたのでした。
 この「言葉では説明できない感情」というのはとても強力なエネルギーを生み出し、当時まわりの若いひとたちが「なにをやって生きていくのが良いのかわからない」や、「とにかく楽に生きていきたい」などと無気力になっているのを不思議だなあと思いながらみていたものです。しかし、時が過ぎ、引退を決意したとき、それまでの自分を強力に突き動かしていた原動力を失うことになり、そのことを受け入れるのにかなり時間を要しました。
 これらの経験で学んだことは、私は夢だったツール・ド・フランスの舞台には立てませんでしたが、それでも強力なモチベーションを得られるスポーツに出会えた事自体がとても幸せなことだったということした。きっかけはひとそれぞれですが、本気となれる何かに出会えるということは運命なのかもしれませんね。