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プロのロードレーサーの年収はいくら? レース・トレーニング

 大変不躾な質問ですが・・・プロのロードレーサーって、どれくらいの年収になるんでしょうか!?また、引退後に監督されたり、解説されたり、それぞれどれくらいの収入があるものですか!?失礼な質問で申し訳ございません。ただ、ロードレーサーを目指すにあたり、どれくらいの生活水準が確保できるのか、現実的なことも気になっております。よろしくお願いいたします。(30代/男性)
 まずプロ選手の年収についてですが、インタビュー本文と第1回の回答でお答えしておりますので、そちらをご覧くださいませ。
 さて、引退後の監督業やテレビ解説業の収入についてですが…。これは選手引退後の私の収入についてのご質問にもみえますね(笑)。具体的な数字はさすがに出せませんが、せっかくなので率直にお答えいたしますね。
 まず、私個人の経験上では、監督業での報酬、もしくはテレビ解説のギャランティだけでは生活していくことは苦しかったです。もちろん、切り詰めた生活をすれば生きていくことは可能ですが、いわゆる同い年のサラリーマンの年収などと比べるとその数字は決して恵まれたものではありません。但し、これは私が監督を務めたチームでの当時の条件なので、他の国内チームの監督さんは専従でも十分生活はできているものと思われます。それでも、良くて同い年のサラリーマンと同等程度と考えていただければ間違いないでしょう。一方、海外のUCI(国際自転車競技連合)のワールドチームクラスになればスタッフでもある程度の年収を得ているものと思われますが、数千万円クラスの年収を得るにはチーム代表など幹部にならないと難しいと思います。
 夢のないお話となってしまったかもしれませんが、選手引退後の私は、人の3倍、4倍働いて一人前といった感覚で生きてきました。また、引退後のセカンドキャリアの問題は自転車競技だけに関わらず他のスポーツでも同様に課題になっていますね。そしてこれは私見となりますが、むしろメジャースポーツの方がセカンドキャリア問題はより大きくなっている気がします。それは、メジャースポーツでプロ選手まで這い上がる選手というのは、大抵の場合子供頃からエリート路線に乗り、周りからは天才と呼ばれ、そしてプロ入り後は同世代の若者よりも多額の収入を手にすることが多いからです。ある特定の世界の中で特別意識を持って育ち、通常からかけ離れた金銭感覚を身につけてしまった若者が、ある日突然それを失った時、そこには悲劇が待っているのは簡単に想像できます。そういった意味では、現在の日本で自転車競技(競輪を除く)に取り組んでも幸か不幸か上記の様な環境に置かれることはなく、むしろ、恵まれない環境のなかで質素な金銭感覚を身につけることができるので、引退後に社会にでた時に周りの人よりも仕事でがんばれたり、バイタリティを発揮することが多いような気もします。
 人生をデザインする時は、少し広めの視野でみることも時に大切なのだと思います。ちなみに私自身は計算をして今の人生を選択したわけではありませんが…。