MTBは人生をも導く? 北の大地でレースと地域おこしに挑戦する黒瀬文也さんの場合“先輩”ライダーに聞く、マウンテンバイクのある生活<2>
興味を抱いても趣味として始めるには様々なハードルがあるといわれるマウンテンバイク(MTB)。しかし、ひとたび始めるとその魅力にどっぷりハマってしまう人も少なくありません。北海道の鶴居村で「地域おこし協力隊」として勤務する、MTB歴15年の黒瀬文也さん(25)もその一人。10歳の頃にMTBに出会い、いまはレース活動を展開する傍ら、地域おこしの一環としてその魅力を発信する活動を展開しています。“先輩”ライダー・黒瀬さんに、MTBを始めたきっかけやその魅力について聞いてみました。

「北海道からの挑戦」
―MTBを始めたきっかけは?
近所にスキーのクラブチームがあり、そこでMTBをオフトレーニングとして行っていたところに、小学4年生のときに参加しました。もともと自転車で野山を走ることが好きでしたが、MTBでトレイル(自転車が走行可能な登山道)など色々なところを自由に走れる感覚は、それまでに体験したことのないくらい楽しいものでした。
以来、XCO(クロスカントリー・オリンピック※)競技を始め、高校1年生のとき全国大会で優勝。大学生時代には地元からの企業スポンサーや地元自転車ショップからの支援を受けながら、「北海道から世界へ」を目標に全国のレースへ、さらに世界大学選手権に代表として世界大会などにも出場しました。
※XCO:起伏のある山岳、丘陵地帯に設定された周回コースで順位を競う競技

―現在はどのような活動を?
北海道の鶴居村で「地域おこし協力隊」として仕事をしながら、自転車メーカー・ホダカのファクトリーチーム「NESTO FACTORY RACING」に所属し、活動を行っています。現在は「北海道からの挑戦」と目標を変更し、北海道を拠点として様々な挑戦を通じて多くの人にMTBの存在、魅力を知ってもらい、鶴居村へ来ていただくきっかけになればと思いながら活動しています。

またMTBの認知度向上のみならず、北海道でのMTB選手若手育成イベント活動などを行っています。MTBへの理解や、自転車という身近な乗り物で森の中を駆け巡る非日常を体験していただきたいと思っています。
「本当にやりたいこと」の先にあったMTB
―主なフィールドと、そこをフィールドとしている理由について教えてください
北海道阿寒郡の鶴居村内の林道です。オープンな林道が多い鶴居村はMTBで走るにはとても良いフィールドで、50km以上のワンウェイルート(スタートとフィニッシュが異なる片道コース)作れたりとスケールの大きさが魅力です。
鶴居村は大学生の頃に村内にあるホテルからスポンサーとして支援を頂いていたご縁もあって訪れる機会が多く、当時から村の魅力や自然の豊かさを感じていました。
大学卒業後、札幌の民間企業に就職したのですが、「私が本当にやりたいことは何だろう」と考えるようになりました。当時もMTBの競技に出場し続けていたこともあり、会社で働き続けることに対しての違和感が徐々に強まっていくのを感じていました。「もっとMTBに関わることがしたい」、「自然と触れあって生きていきたい」と模索する中、偶然SNSで鶴居村が地域おこし協力隊を募集しているのを見つけて応募し、2022年に移住を決めました。
―拠点を移して変わったことは?
自然のありがたさ、大切さをより強く感じるようになりました。首都圏の方も鶴居村に遊びに来られますが、都心近郊のトレイルとは違う、大きく開けた林道や、ここでしか見られない大パノラマの草原などの景色に驚かれます。そんなフィールドが近くにあり、いつでもMTBが乗れる環境にいられることは恵まれていると感じています。


―黒瀬さんが思うMTBの魅力とは?
自然を満喫できて、非日常を味わえる乗り物です。クルマやバイクとは違い、静けさの中で自然の音も楽しめます。自分にとってMTBは相棒のような存在です。
―これからMTBでやりたいことや目標があれば教えてください
全日本選手権での優勝。そして北海道でのMTBの普及活動です。現在は鶴居村でMTBのイベントを開催したり、子供向けの自転車教室を開催したりしています。

少子化で子供の数が減少している学校では、野球やサッカーなどのチーム競技が難しくなっているのが現状です。一方でMTBや自転車競技は自転車と道路、または山坂があればすぐに始められる競技です。今後はクラブチームなどを立ち上げて、楽しみながら競技をする楽しさを伝えていきたいと思います。