- コース概要距離 : 57.9km
- 獲得標高 : 1243m
神戸と大阪の間、横長の都市部と並んで屏風のようにそびえる六甲山。「山側・海側」と表現されるように、この地域に居住する我々にとって緑美しい山々は日常へと溶け込んでいる。観光、レジャーとしても人気のこの場所を、自転車で走る人たちも少なくない。遠目に映る六甲山の峰を、自転車で駆け抜けたらどんな風景が待っているのだろうか。今回は六甲山をぐるりと回り、峰を走るルートを紹介したいと思う。

オススメポイント | 上りごたえ十分な六甲山のヒルクライムと温泉、異国情緒漂うカフェで絶品オムライスを味わえる |
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レベル | ★★★(上級者向け) |
距離 | 57.9km |
獲得標高 | 1,243m |
始発・終着地 | 武庫大橋 |
立ち寄りグルメ | ルマン(サンドウィッチ)、グラニットカフェ(柔らかポークのふわふわとろとろオムライス)、TAOCA COFFEE(ココア・モカ) |
立ち寄りスポット | 有馬本温泉 金の湯、 六甲ガーデンテラス |
スタートは阪神間モダニズム・武庫大橋
六甲山頂へ舗装路で登るルートはおおまかに4つあり、東側、西側、そして南側からを表六甲、北側からを裏六甲と呼ぶ。表六甲、東側はノンストップのヒルクライムとして人気が高く、西側や裏六甲はロングライドのスパイスとして楽しむケースが多い。本ルートは 距離約60km/獲得標高1300m、平坦な武庫川の河川敷で東側から迂回し、有馬?裏六甲という走りごたえのある経路となっている。

スタートは国道沿い武庫大橋。90年以上前に架けられ、当時の阪神間モダニズムに基づいてデザインされた外観は今見てもたいへん美しい。河川敷沿いへ降り、北上するサイクリングロードを通ればいくつもの橋をくぐり抜けることができる。交通量の多い幹線道路を避け、10kmほど上流に進めば六甲縦走路の入り口としても知られる宝塚にたどり着く。


宝塚歌劇団や手塚治虫記念館など、様々な文化が交わるこの街では、地元でも有名な「ルマン」のサンドウィッチを朝食に選んだ。香ばしいカツサンドや色合い見事なタマゴサンドが有名だが、季節限定のいちごサンドが外せない。上品な味を堪能したあとは、緩やかな勾配が続く有馬街道へと進む。

蓬莱峡から有馬温泉街ヒルクライム
その名の通り有馬の温泉街へと繋がる街道には、約5.5kmの緩やかなヒルクライムが含まれる。途中、左手に臨む六甲山は地肌をむき出しにした険しい表情を見せる。中国の蓬莱山の風景を彷彿させるところから名が付いた蓬莱峡は、ロッククライミングのゲレンデや古くは映画撮影がよく行われた場所として知られている。破砕された御影石がさらに風化し、鋭い岩峰の稜線が特徴的だ。都会からそれほど離れていない場所ながら、自然豊かな風景を眺めることができるこの有馬街道は、船坂あたりで登坂を終え徐々に高度を下げていく。たどり着いた賑やかな一画が有馬温泉街である。


ここで一旦足を止め、温泉を気軽に楽しめるスポットへ立ち寄る。観光客が行き交う湯本坂の入口に建つ「有馬本温泉 金の湯」、有馬温泉ならではの濃い赤褐色の濁り湯を存分に堪能できる日帰り入浴施設だ。その側でひときわ人気を博しているのが金の湯の足湯。無料で楽しめるとあって、16人ほど浸かれる浴槽は常に満員。譲り合って仲良く楽しもう。足首から先だけしか浸かっていないのだが、じんわりと身体が温まってくることを感じることができるだろう。

有馬温泉を後にし少し道を進めると、有馬口駅へとたどり着く。駅横の遮断機を通り、狭い目の道をくぐり抜けると徐々に勾配が上がっていく。ここからが六甲山ヒルクライムの本番と言える。 そもそも裏六甲ヒルクライムの正式なルートはは少し先の唐櫃大橋が始点となっている。だが道路は交通量が多く、更に大きな道を横断する必要があり良い道だとは言えないのが正直なところ。

今回のルートはその部分を迂回し、グラベルを抜けながら裏六甲ドライブウェイへとたどり着くことができる。森の中を抜ける道の真横には小川が流れ、夏ともなれば日陰と相まってとても涼しい道のりとなる。ハイキングで利用する方もおられるが、急勾配とあって自転車もスローペース。こちらから、こんにちわ、と挨拶すると「自転車で登るの?すごいね?、気をつけてね」と労われる。山の中のお約束だ。
野鳥のさえずりも堪能

森が深くなるにつれ、山の声にも耳を澄ましてみて欲しい。野鳥のさえずりを数多く聞くことができる。この日はジージーと鳴くコゲラや、日本国内では最小の鳥として知られるキクイタダキを見つけることができた。気がつくとキツイ傾斜は終わり、路面も舗装路へと戻った。ここからが裏六甲ドライブウェイだ。



道路脇には、良いのか悪いのか100m毎にドライブウェイの残り距離が掲示されており、上り始めの “3.4” から徐々に数字を減らしていくこととなる。比較的一定の傾斜が続く為、タイムトライアルをする為に山上からわざわざ降りてくるライダーも少なくない。またここは別名『あじさいロード』とも呼ばれ、道路沿いにはアジサイがたくさん植えられている。新緑の季節には大変美しい景色が広がることで知られている。そんなドライブウェイを一定のペースで上ること30分弱、山上へと到着する。 六甲山は、先述の通り横長の六甲山系全域のことを指す。最高峰からほど近い六甲有馬ロープウェー・六甲山頂駅から摩耶山頂付近の摩耶ロープウェー・星の駅にかけて、多くの文化施設やホテルなどが集まり山上に街をつくっている。山頂自体は少し先ながら、ここからは山上の道を楽しむことができる。標高は800mを越す為、都市部と比べ5?6℃ほど涼しい。夏の暑い日などは、さっと山上部へ登り、この辺り一帯で過ごすのも良い。
異国情緒漂うカフェで絶品オムライス

そういえば朝食を摂ってから走ること約2時間半、上りもしっかり堪能して空腹を感じる頃。この辺りで特にオススメしたいのが、六甲ガーデンテラス内の展望レストラン「グラニットカフェ」だ。六甲ガーデンテラスは異国情緒漂うレジャースポットで、レストランやショップのほか、施設内の至る所から神戸?大阪湾を一望できる。「グラニットカフェ」では、そんな絶景を眺めながら季節のグルメを楽しめる。特にカウンターテーブルからは窓越しに風景を望むことができ、次の目的地を探すのにも最適だ。


ランチには “柔らかポークのふわふわとろとろオムライス” をいただいた。卵かけごはんグランプリ3連覇の”オクノのたまご”と”四元豚シルキーポーク”を使用し、素材にこだわった贅沢な一品。ふわふわの卵と、コクのあるソースが上品にマッチしていて、ペロリと平らげてしまった。食後にはデザート4種盛りセットを。普段だとカロリーを気にして手が出ない豪華なスイーツも、頑張ったご褒美ということで美味しくいただいた。ライドで疲れた身体には嬉しい料理とデザート、まさか標高800mの場所で食べていると思えない程のクオリティで驚きの連続だった。 ちなみにグラニットとは六甲山を形成している御影石を意味しており、途中で眺めた蓬莱峡の御影石しかり、六甲山所縁のネーミングとなっている。

眺めの良いガーデンテラスを後にし、あとは六甲山を下るだけ。三宮方面であれば表六甲、大阪方面なら東へ。何れも急斜面を一気に下ることとなる為、速度や路面の状況には充分注意したい。車の速度防止の段差など、知らぬ間に腕も疲れてくるので、できるなら途中途中で止まって景色を眺めながら休憩することをオススメする。
■グラニットカフェ
所在地:兵庫県神戸市灘区六甲山町五介山1877?9 六甲ガーデンテラス内 TEL:078-894-2112 営業日:平日:11:00?食事19:30(L.O)・喫茶20:30(L.O) 休日:11:00?20:00(L.O) 定休日:無休。冬期定休日あり 「グラニットカフェ」ウェブサイト


長い下りの終点でスペシャリティーコーヒー
長い下り道で今日の獲得標高を実感しつつ、途中で甲寿橋交差点を右折。交通量の多い県道を避け、鷲林寺の高級住宅街を抜ける。降りた先は苦楽園、西宮の隠れた名店が軒を連ねる。訪れたのはスペシャルティコーヒー専門店の「TAOCA COFFEE」だ。自家焙煎されたシングルオリジン・ブレンドのコーヒー豆が常に複数種類用意されている。深煎りから浅煎りまで様々な好みに応えられるラインナップは、どれもその場で試飲することができるのもポイント。

この日は、明るいフレーバーが特徴の春らしい ”サクラブレンド” を購入したのと、バリスタのシグネチャービバレッジ ”ココア・モカ” をいただいた。”エルセイボ・ボリビア” のココアパウダーとカカオニブで、甘さが際立つ一杯だった。定番のラテやドリップから、季節感のあるドリンクまで様々なコーヒーを楽しむことができるのも「TAOCA COFFEE」の特徴だ。

コーヒーでホッと一息ついて、今日のライドを振り返る。東西に広がる六甲山所縁のスポットは比較的短距離で巡ることができ、自転車でのライドには打って付けと言える。グルメから歴史を巡るようなスポットまで、幅広い表情を持つ六甲山をより身近に感じることができた1日だった。
■TAOCA COFFEE [KURAKUEN](タオカコーヒー 苦楽園店)
所在地:兵庫県西宮市樋之池町22-24 北夙川STビル1F TEL:0798-73-1152 営業時間:10:00?19:00 (月曜:10:00?18:00) 定休日:年始 「TAOCA COFFEE」ウェブサイト