復興を目指す阿蘇のライド「阿蘇サイクリストコンソーシアム」委員を務めた阿蘇郡在住の筆者がお送りします。2016年4月に発生した熊本地震は阿蘇地方に甚大な損害を与え、その影響によって国道57号線、325号線が寸断され多方面に被害が及びました。交通アクセスの低下で観光客の減少していた阿蘇ですが、2020年にようやく国道や鉄道が開通するなどの明るいニュースが聞こえてきました。復興を遂げる阿蘇は近年、サイクリストにフレンドリーな町づくりをしています。その部分も合わせて、今回のコースをご紹介しようと思います。

オススメポイント | 獲得標高1,500m、距離は70kmとタフなコース。草千里に向かう道中には緑の草原や米塚などの写真映えスポットも度々登場します。お昼は手打ちの絶品そば。 |
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レベル | ★★★(上級者向け) |
距離 | 70.1km |
獲得標高 | 1,434m |
始発・終着地 | 道の駅 阿蘇 |
立ち寄りグルメ | 手打ちそば 南阿蘇 久木野庵(天ざる)、Cafe しもん(ケーキセット) |
立ち寄りスポット | 草千里駐車場、阿蘇神社 |
スタート地点となる「道の駅 阿蘇」は、「とことん満喫! 阿蘇サイクリング」のサイトで予約すると、サイクリストに無料の駐車場を用意してくれます。さらに協力店ではお得な特典を受けられるサービスも!


「道の駅 阿蘇」前の交差点から阿蘇パノラマラインを通って草千里を目指します。以前は信号からタイムアタックしてましたが今はそんな気力もなく..。ゆっくりと景色を楽しみましょう! 前半は木陰の森の中、斜度はキツくないのでゆったりと上ります。交通量が多いので走行には注意してください。

森を抜けると左に根子岳、真ん中に高岳が見えてきます。目の前は阿蘇山、振り返ると阿蘇谷と北外輪山が一望できる爽快なルート。夏は日差しを遮るものがないので、暑さとの戦いになります。

右には特徴的な可愛い山「米塚」が見えてきます。80mの小さな山ですがれっきとした火山で、上部のくぼみはその名残です。最後、斜面のキツイとこをを過ぎたら草千里! 地震後、上部から眺める展望台ができました。 サイクリング当日、入山規制があって火口まではいけなかったのですが、コンクリートの激坂を自転車で行くのも面白いです。ただガスに弱い人はご注意ください。草千里から火口へと向かう道は惑星感があって、そうそう見られない景色。ここには2002年まで阿蘇山スキー場があったのですが、もう面影もありません。


火口前から南阿蘇へ下りましょう! 少し長い火の山トンネルがあるのでライトの準備も忘れずに。夏場にずーっとブレーキをかけ続けてしまうと、カーボンホイールではリムの歪みやクラックを招きます。アルミリムでも高熱によるチューブの破裂などが発生する場合があるため、下りではコーナー手前で要所要所のブレーキングを心がけましょう。 南阿蘇に降りると田園風景が広がります。そろそろお昼にしましょう。目指すのは「手打ちそば 南阿蘇 久木野庵」です。
■手打ちそば 南阿蘇 久木野庵
所在地:熊本県阿蘇郡南阿蘇村河陰266-2 TEL:0967-67-0373 営業時間:11時30分から16時 店休日:毎週火曜日(不定休あり)

ロードバイクに乗る店主の打つそばは逸品です。その分提供に時間がかかるので時間に余裕を持って下さいね。注文したソバにワサビが付いてないところなどに店主のこだわりを感じます(言えば持ってきてくれます)。開店前から並んで時間がかかる場合もあるのでそんな時は近くの「Cafe しもん」はいかがですか?


以前の「Cafe しもん」の店舗は古民家でしたが、熊本地震で大きな被害を受け、今は「あそ望の郷くぎの」内の復興マーケット桜咲で営業しています。ここでは南阿蘇の地下水を使った香り高いコーヒーとランチ、デザートが楽しめます。今回はケーキセットを注文しました。こちらのオーナーもロードバイク乗り。週末には熊本から自走で訪れるサイクリストも多いとのことです。
■Cafe しもん
所在地:熊本県阿蘇郡南阿蘇村久石2774-1(あそ望の郷くぎの内 復興マーケット) TEL:090-4340-9299 営業時間:11時から18時(日没頃まで) 店休日:不定休


お腹は満たされましたが、これから先しばらく補給ポイントがないので、ドリンクや補給食を仕入れるなら「ローソン南阿蘇白水店」がおすすめ。 「なんでわざわざコンビニを?」と思われるかもしれませんが、紹介した店舗は全国でも珍しいログハウス調の造りなんです。以前は外観がブラウンだったので、もっとそれっぽかったのですが今はイエローに。店内にはイートインスペースもあります。 さあ、ここからの農道は車の通りが少ないけど地味なアップダウンが続きます。そして今回のメインイベント「日ノ尾峠」を目指します。 登り始めは住宅地なので走行に注意してください。そこを抜けると目の前に根子岳(ねこだけ)が! 阿蘇では山を蹴破ったり、石を的にしたなど、神様にまつわる伝説も多い場所です。ギザギザした山容は調子に乗った根子岳が神様に叩かれてこんな姿になったと言い伝えられています。 また景行天皇が「ここには誰も居らぬか」と尋ねた時に、阿蘇津彦と阿蘇津姫、二神との会話が阿蘇の語源になったとか、アイヌ語で火を噴く山という言葉が「阿蘇」だとかいろんな説があります。

あまり一般車両が通らない日ノ尾峠ですが、放牧した牛が逃げないように道路上に柵があったり、隙間の大きいグレーチングがあるので注意して走行してください。また、柵が閉じてる時は開けた後、必ず閉じるようにしてくださいね。(熊本弁で「あとぜき」と言います)。


古くから南阿蘇と阿蘇をつなぐ道だった日ノ尾峠。地震で壊れた部分も修復されましたが、南阿蘇側は道が悪い部分が多いので登り専用にした方が安全です。下り側は水害で壊れた部分の修復が進み、随分綺麗になりました。 降りた地点は阿蘇宮地、町村合併前は一の宮町という名称でした。肥後熊本の一宮(地域の社格の高い神社)は阿蘇神社なんです。熊本地震の影響で、日本三大楼門に数えられる荘厳な楼門が倒壊しましたが、復旧工事が着々と進んでいるようです。

阿蘇神社は参道が社殿に向かうのではなく横向きなのも特徴。南側がご神体の阿蘇山火口へと続き、北側は国造神社へと続いています。 お腹が空いていたら門前町に立ち寄るのもいいし、内牧まで行ってパンを食べるのもいいですね。オススメは「Bakery Genki」(ベーカリーゲンキ)。
■Bakery Genki
所在地:熊本県阿蘇市内牧1015-19 TEL:0967-32-2462 営業時間:9時から19時 店休日:月曜


阿蘇は湧水ポイントも多いです。サイクリングルートの脇にあるので暑かったら水浴びできるのが最高! 道の駅に帰り着いたら駐車場のお礼も込めて売店へと向かいたいですね。美味しそうな赤牛丼やスイーツ、牛乳も! ただ人気商品が多く、帰ってきた時まで残っているかは運次第。休憩スペースもあるので、ゆっくり運動後の補給ができます。 今回のルートはいかがでしたか? 南阿蘇からの帰りは通常、国道265号線の箱石峠を使うのですが、ちょっと遊び心を持って日ノ尾峠を通ってみました。いつもと違う阿蘇を堪能できるかと思います。 距離は約70kmですが獲得標高が1500mほどあるのでそこそこ走りごたえがあります。脱初級者や中級サイクリストのレベルアップのお役に立てたらと思います。