2019.12.24
これってあり? なし? こんなときはどうする? 自転車に乗っていて、ふとした疑問を抱いた経験はないでしょうか。ここでは自転車にまつわる交通ルールを中心に、Q&A方式で弁護士が素朴な疑問に答えていきます。
A 複数の車線がある場合、自転車は一番左側の車線を走らなければならないわけですが(道交法20条1項)、例外もあります。何種類もの例外があるのですが、正確に並べると以下のようになります。
(1) 追い越しをするとき
(2) 交差点又は道路外に出るために左折又は右折する場合に、あらかじめ道路の左側端又は中央に寄るとき
(3) 進路変更が禁止されている車両通行帯をそのまま通行するとき
(4) 緊急自動車の接近に伴い道路の左側端に寄って譲るとき
(5) 道路の状況その他の事情によりやむを得ないとき
このうち、注意を要するのは追い越しのときでしょう。複数車線のある道路で、前の車両を追い越すときは、二番目の車線を走りなさいということになっているのです。つまり、同じ車線内で追越しをしてはいけませんよということなのです。自転車が自動車を追い越すことは、あまり考えられないですが、自転車が自転車を追い越すときにも、一番左側の車線ではなく、二番目の車線を通行しなければならないのです。
では、質問の場合はどうでしょうか。『追い越そう』としているバスが停車中であるということですから、その「追越し」は道路交通法における「追越し」に該当しません。停車中の自動車を『追い越す』ときに、二番目の車線を走行する場合は、上記の例外の「(5)道路の状況その他の事情によりやむを得ないとき」に当たりますから、右車線に出ることができます。
もちろん、右車線にやむ得ず出なければならない状況ではないような場合、つまり、一番左側の車線に自転車の通行の余地が十分にある場合には、右車線に出なくても問題ないということになります。また、停車車両の左側を通行することも可能ということになります。ただし、バスが停車しているということは、乗客が降りてくる可能性が高いわけですから、停車中のバスとは十分な間隔を取って進行すべき場合と言えます。
また、進路変更をすることになります(この場合は、進路変更禁止の指定場所でも進路変更ができます(道交法26条の2第3項1号))ので、合図を出すこと(道交法53条1項)や、後方から来る車両の進路を妨害しないこと(道交法26条の2第2項)が求められます。
2009年弁護士登録。会社関係法務、独占禁止法関係対応、税務対応を中心に取り扱う傍ら、2台のロードバイクを使い分けながら都内往復20kmの自転車通勤を日課とする。久留米大学附設高校卒・東京大学法学部卒・早稲田大学法務研究科卒。
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