TOP HOW TO 弁護士に聞く、自転車のルールの素朴な疑問複数車線の一番左端を走行時に停車中のバスを発見、右隣の車線に入っていいか
弁護士に聞く、自転車のルールの素朴な疑問<7>

News / Column弁護士に聞く、自転車のルールの素朴な疑問

複数車線の一番左端を走行時に停車中のバスを発見、右隣の車線に入っていいか
弁護士に聞く、自転車のルールの素朴な疑問<7>

 これってあり? なし? こんなときはどうする? 自転車に乗っていて、ふとした疑問を抱いた経験はないでしょうか。ここでは自転車にまつわる交通ルールを中心に、Q&A方式で弁護士が素朴な疑問に答えていきます。

複数車線の一番左端を走行時に前方に停車中のバスがいた場合、自転車は右隣の車線に入って通行していいのでしょうか

Q 複数車線の一番左端を走っていたら、走行車線の前方にバスが停車中だった。右隣の車線に入って自転車は通行していいのか

A 複数の車線がある場合、自転車は一番左側の車線を走らなければならないわけですが(道交法20条1項)、例外もあります。何種類もの例外があるのですが、正確に並べると以下のようになります。

(1) 追い越しをするとき

(2) 交差点又は道路外に出るために左折又は右折する場合に、あらかじめ道路の左側端又は中央に寄るとき

(3) 進路変更が禁止されている車両通行帯をそのまま通行するとき

(4) 緊急自動車の接近に伴い道路の左側端に寄って譲るとき

(5) 道路の状況その他の事情によりやむを得ないとき

 このうち、注意を要するのは追い越しのときでしょう。複数車線のある道路で、前の車両を追い越すときは、二番目の車線を走りなさいということになっているのです。つまり、同じ車線内で追越しをしてはいけませんよということなのです。自転車が自動車を追い越すことは、あまり考えられないですが、自転車が自転車を追い越すときにも、一番左側の車線ではなく、二番目の車線を通行しなければならないのです。

 では、質問の場合はどうでしょうか。『追い越そう』としているバスが停車中であるということですから、その「追越し」は道路交通法における「追越し」に該当しません。停車中の自動車を『追い越す』ときに、二番目の車線を走行する場合は、上記の例外の「(5)道路の状況その他の事情によりやむを得ないとき」に当たりますから、右車線に出ることができます。

 もちろん、右車線にやむ得ず出なければならない状況ではないような場合、つまり、一番左側の車線に自転車の通行の余地が十分にある場合には、右車線に出なくても問題ないということになります。また、停車車両の左側を通行することも可能ということになります。ただし、バスが停車しているということは、乗客が降りてくる可能性が高いわけですから、停車中のバスとは十分な間隔を取って進行すべき場合と言えます。

 また、進路変更をすることになります(この場合は、進路変更禁止の指定場所でも進路変更ができます(道交法26条の2第3項1号))ので、合図を出すこと(道交法53条1項)や、後方から来る車両の進路を妨害しないこと(道交法26条の2第2項)が求められます。

回答者: 本田聡(ほんだ・さとし)

2009年弁護士登録。会社関係法務、独占禁止法関係対応、税務対応を中心に取り扱う傍ら、2台のロードバイクを使い分けながら都内往復20kmの自転車通勤を日課とする。久留米大学附設高校卒・東京大学法学部卒・早稲田大学法務研究科卒。

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