2023.1.26
A まず「自転車」の定義について説明しますと、日本では「ペダル又はハンドクランクを用い、かつ人の力により運転する二輪以上の車」(道交法2条1項11号の2)と定義されており、「補助動力」を用いていても自転車には変わりないということになっています。
ただし、この「補助動力」については条件があり、①電動機で、②速度ごとに補助の力の制限があり、③時速24キロ以上では補助動力を使わず、④改造することが容易でないこと─等といった制限がついています(道交法施行規則1条の3)。
この補助動力の出し方(アシスト比率)の制限は特殊なもので、以下のような数式に則ったものとなっています。要は、時速10kmまでは一定で、それを超えると時速24kmまでアシスト比率が減少し、時速24kmになるとアシスト比率がゼロになるということです。
時速10km未満の場合 | 人力1:動力2 |
時速10km以上24km未満の場合 | 人力1:動力2-(速度―10)/7 |
時速24km以上の場合 | 人力1:動力0 |
日本の電動アシスト自転車は、このような規制のもとで「自転車」として認められているわけですが、この規制を守っていない自転車は「原動機付自転車」、場合によっては「二輪車」として取り扱われることになります。
他方で、原動機付自転車や二輪車にも制動力や保安機器の装着などの基準があり、上記の規制を守っていない自転車がそれらの基準を満たしていない場合には、原動機付自転車や二輪車にも該当せず、道路の走行ができない乗り物であるとされる可能性があります。
いわゆる「フル電動自転車」と呼ばれている乗り物は、アシスト比率の制限規制を満たしていない自転車のことを指すものと思われますが、道路交通法では原動機付自転車として扱われ、公道を走る場合は車道で、ナンバーを取得し、自賠責に加入し、運転免許の携帯やヘルメットの着用等の要件を満たすことが前提となります。
したがって、要件を満たさずに自転車として道路を走行することは違法ということになってしまいます。この場合、「基準を満たさない原動機付自転車等の運行」ということになり、道路運送車両法違反や道路交通法違反となります。
2009年弁護士登録。会社関係法務、独占禁止法関係対応、税務対応を中心に取り扱う傍ら、2台のロードバイクを使い分けながら都内往復20kmの自転車通勤を日課とする。久留米大学附設高校卒・東京大学法学部卒・早稲田大学法務研究科卒。
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