2023.11.23
A:自転車の楽しみ方には、色々な場所へ自転車に乗って出かけるという楽しみ、いわゆる「サイクリング」があります。しかし、サイクリングには交通事故の危険が付きまといます。自動車が普及するにつれて事故が激増していたことから、1960年代以降、自転車が安全に通行できる自転車道の整備が喫緊の課題となり、自転車道を整備する国の施策が定められ、1969年に「自転車道の整備等に関する法律」が制定されました。
この法律では、自転車道の設置に努めることや、国が5カ年計画で自転車道の推進を図ることを定め、「自転車が安全に通行することができる自転車道等の整備を促進する」と声高らかに謳っておりました。このように、自転車が安全に通行できるための自転車道の必要性はかなり以前から認識されていました。しかし自転車道の整備は限定的にしか進みませんでした。
一口に、「自転車道」と言っても、車道と物理的に隔離されてはいるが自転車と歩行者が混在する「自転車歩行者専用道路」と、車道と物理的に隔離された自転車専用の「自転車専用道路」の2種類があります。さらに、車道と物理的に隔離されていない自転車専用通行帯を「自転車道等」として、並べて考える場合もあります。
この50年間で、確かに自転車道等のうち、「自転車専用通行帯」や「自転車歩行者専用道路」の整備は一定の進捗を見たのですが、「自転車専用道路」の整備は顧みられることなく、ほとんど普及しないまま現在に至ります。
実際に、2021年でも総延長は256kmにとどまっています。その結果、自転車道等はそれなりに整備されているのですが、そのほとんどが「自転車歩行者専用道」や「自転車通行帯」であって、自転車と歩行者、または自転車と自動車が混在するままとなりました。
前置きが長くなりましたが、「サイクリングロード」はどういう位置づけなのでしょうか。サイクリングロードという名称からすると、自転車専用のイメージが浮かびますが、実際には、自転車と歩行者、場所によっては自転車と自動車が混在するものであるケースがほとんどです。さらに、「サイクリングロード」と一般に呼ばれていても、管理する国や自治体は、その呼び名を否定しているような道もありますし、事実上自転車が走ることができるようになっているだけで、自転車道ですらないものもあります。
先述した整備法では、自転車道は道路として扱われるはずですが、河川敷のサイクリングロードは、河川管理用の施設というだけの扱いで、道路ですらない場合もあるのです。以下、具体的に東京近郊で「サイクリングロード」と呼ばれている道の例を挙げて見てみましょう。
ご覧のとおり、ほとんどが単なる舗装された空間か「自転車歩行者専用道路」かのいずれかとなっており、自転車と歩行者が混在しています。場所によってはクルマと自転車が混在する部分もあります。「サイクリングロード」と呼ばれてはいても自転車専用でない場合が多いので、サイクリストとしてはその点を十分に理解して走行するように気を付けましょう。
2009年弁護士登録。会社関係法務、独占禁止法関係対応、税務対応を中心に取り扱う傍ら、2台のロードバイクを使い分けながら都内往復20kmの自転車通勤を日課とする。久留米大学附設高校卒・東京大学法学部卒・早稲田大学法務研究科卒。
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