2023.12.15
A:自転車窃盗は、近年減少傾向でしたが、ここ2~3年は反転増加の気配を見せており、中には高額なロードバイクや電動自転車などが狙われるケースもあります。
ロードバイクなどの中古の自転車を買い取り販売する業者や、フリマサイトなど中古の自転車をインターネットで販売できるサイトもあり、こうした方法で盗まれた自転車が転売されている例も見られます。
そうしたなか、販売されている自転車が盗まれた自分の自転車だった場合、取り返すことができるのかという疑問について考えていきましょう。
まず、自転車に限りませんが、盗まれた自分の物が、盗んだ犯人の手元にある場合、平穏に話し合いができて返してもらうのであれば、当然その自転車を取り戻すことができます。しかし、犯人の手元にある自転車を勝手に持ち去ったり、犯人を捕まえて無理やりに返させたりすることは、様々な犯罪に該当してしまうためできません。そもそも、その自転車が盗品であることの確証も得にくい場合が多く、また、逆に犯人から危害を加えられるなどの危険もあることから現実問題としても採るべき手段ではありません。そのため、盗まれた自転車であることをある程度確認できる資料などを用意して警察に捜査をお願いするというのが現実的な対応となります。
では、犯人が盗品の自転車をフリマサイトなどのインターネット上で販売中の場合、出品されている商品を購入して取り戻すということはどうでしょうか。本来自分のものをお金を出して購入することは理不尽ではありますが、可能です。出品者が犯人ではない場合も変わりません。
この場合、出品者に対して支払った購入代金を、犯人に対して返還請求することができます。ただ、犯人は窃盗罪や盗品等保管罪などの罪に問われることが想定されるため、やはり犯人から危害を加えられる恐れなどは残ります。また、出品者が、犯人から転売を受けた第三者であるような場合は犯人の特定が困難な場合があると思われます。
さらに、中古自転車販売店で、盗まれた自転車が売られていたという場合ですが、この場合も、フリマサイトなどと同様に自転車販売店から対価を払って購入することは可能です。払った対価は、窃盗犯人に請求することになりますが、中古自転車販売店は古物商の義務として売却した人物の記録があるはずなので、それを入手するなどして犯人を探し出すなどの作業が必要になります。
販売されている自転車を購入する場合には、いずれにしても警察と相談しながら進めることが望ましいです。身の安全の確保という点でも警察の協力は必要ですし、警察の捜査に支障が出ないような配慮が求められる場合もあるからです。
2009年弁護士登録。会社関係法務、独占禁止法関係対応、税務対応を中心に取り扱う傍ら、2台のロードバイクを使い分けながら都内往復20kmの自転車通勤を日課とする。久留米大学附設高校卒・東京大学法学部卒・早稲田大学法務研究科卒。
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