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弁護士に聞く、自転車のルールの素朴な疑問<31>

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Q,「青切符」、免許制でないのになぜ16歳以上?15歳以下なら罰則なし?
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Q 「青切符」、免許制でないのになぜ16歳以上?15歳以下なら罰則なし?

記事の内容
「義務教育卒業程度」が基準に

A:いわゆる「青切符」制度(交通反則通告制度)の対象は、「16歳以上」となっていますが、その理由は「義務教育卒業程度であれば交通ルールについての最低限の知識を有しているので、交通反則通告制度による画一的な処理に馴染む」という説明がなされています。

 他方で、この交通反則通告制度は、本来刑事罰が科される内容の交通違反行為について、反則金を納付することで刑事手続に進まないようにするという仕組みですので、反則金の納付が無ければ刑事手続に進みます。

「刑事未成年」の14歳未満はそもそも対象外

 しかし、14歳未満は「刑事未成年」といって、刑事罰を科されることはないので、反則金を納付しない場合に刑事手続に進むこともあり得ないことから、そもそも制度適用の前提を欠き、「青切符」制度の対象となりません。

 さらに、自転車の反則金制度は、14歳以上~16歳未満の未成年についても対象から外しました。もともと、原動機付自転車などの運転免許の取得年齢制限は「16歳以上」となっており、それと辻褄を合わせたという見方もできます。

制度の“溝”にいる14〜15歳

 もっとも、14歳および15歳が自転車で交通違反をした場合には、反則金の納付で済ませることができず、いきなり刑事罰の適用があることになってしまい、アンバランスな感もあります。現実的には、14歳、15歳の違反者に対しては、交通違反の検挙はせず、代わりに指導警告の実施や教育の充実が図られるようにするのが当面の運用となるようです。

本田聡(ほんだ・さとし)

2009年弁護士登録。会社関係法務、独占禁止法関係対応、税務対応を中心に取り扱う傍ら、2台のロードバイクを使い分けながら都内往復20kmの自転車通勤を日課とする。久留米大学附設高校卒・東京大学法学部卒・早稲田大学法務研究科卒。

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