2024.9.27
A:クルマが自転車を追い越すときに、自転車とクルマとの間に十分な間隔がなかったために、自転車がそれを避けようとして道路の路面の良くない部分を通行せざるを得なくなり、窪みにはまってしまったという場合と考えられます。
そもそも、追越しをする車両は、追い越される車両をできる限り安全な速度と方法で追い越さなければなりません(道交法28条4項)。具体的には、前車の自転車との間に安全な間隔を空けたり、徐行したりする必要があります。他方で、追い越される車両は、速度を上げず、狭い場所の場合には左端に寄らなければなりません(道交法27条1項2項)。
今回のケースでは、追い越される自転車と追い越すクルマとの間に十分な間隔がなかった場合ですから、追い越そうとするクルマは安全な方法で追い越す義務に違反したことになります。後続するクルマが原因で落車させられたので、車両同士の接触はありませんが、クルマが誘引した交通事故ということになり、この事故の責任は、交通違反があるクルマ側により大きな責任があるということになります。
なお、クルマが自転車を追い越すときに、自転車とクルマとの間に十分な間隔はあったが、自転車が、追い越される車両の義務として道路の左端に寄ったところ、道路に予期しない窪みがあってそれにはまってしまって落車したということも考えられます。この場合には、クルマが誘引した交通事故ということは言えないので、道路管理者の責任が問われることになります。
似た事例で、サイクリングコースの溝に自転車のタイヤがはまり転倒してしまった事件で、道路管理者は、自転車が通常の走行をする限り、安全に走行できる状態になっていなければならないとして、道路管理者である市区町村に賠償を命じた判決もあります。
2009年弁護士登録。会社関係法務、独占禁止法関係対応、税務対応を中心に取り扱う傍ら、2台のロードバイクを使い分けながら都内往復20kmの自転車通勤を日課とする。久留米大学附設高校卒・東京大学法学部卒・早稲田大学法務研究科卒。
この人の記事一覧へ稲城から高尾まで 都内サイクリングの定番コース“尾根幹”と+αのルート
2018/10/30
2017/08/29
ヒルクライムで好成績を出すのに、どんなトレーニングをしたらいいですか?
2018/02/23