2018.7.31
サイクリストの皆さん、落車したことありますか? 私は交差点2回、峠の登道で1回、三本ローラーの上から3回の合計6回経験しています。三本ローラーからの落車と公道でのそれの数が一致しているのはなかなか珍しいのではないでしょうか。
落車はビンディングシューズを使うとまず経験するという立ちゴケに始まり、そこそこの年月走っているベテランサイクリストならたいてい経験しているものですが、起きたときにバイクは無傷に守りたい。自分の身体はともかく、反射的にバイクを守るのはある意味サイクリストの本能です。
落車時に傷めやすいロードバイクのパーツと対処法を知っておけば、何度落車しても身体はともかく、バイクは無傷でいられますよ!というお話です。
落車未体験の人は脳内で想像してほしいのですが、バイクのどこが傷つきやすいと思いますか? フレームでしょうか? それともリアディレイラー(右側転倒の場合)? どっちも否。身体が先に接地するので、意外にフレームは傷つかないものです。リヤディレーラは角度によっては地面にヒットさせる可能性はありますが、経験上から言うとほぼ問題なし。
もろに傷が付きやすいのはレバーのブラケットです。ここは確実に落車時に地面に当たりますし、守ってくれる身体もありません。擦り傷ですめばラッキー。衝撃でぐにっと内側に曲がってしまうことがありますが焦らない。衝撃を吸収&分散してくれたわけなのでこれでよく、バシバシと手で叩いて戻せばOKです。
逆にブラケットの取り付けネジを強力に締めすぎていると、ブラケットが曲がらずに割れたりすることがあります。ヘタをするとご臨終…交換…なので、締め付けトルクはほどほどにしておきましょう。感覚的な目安で申し訳ないですが、ブラケットを横から「オラァッ!」と手のひらで叩くと中にちょっぴり曲がる…くらいがいい塩梅です。
あと、ブラケットが地面にヒットすることを恐れて(&バイクを守るために)、手で受け身を取りたくなるものですがこれはご法度。衝撃を受け止めきれずに腕を怪我します。ヘタしたら骨折もありえます。落車時、両手はハンドルに添えたままにしておくこと。受け身は考えず、コテッと倒れる。イメージとしては肩~上腕の面で衝撃を受け止めて分散するかんじです。
リヤディレーラは外側に張り出している機材なので、右側に倒れた場合に破損することがあります。リヤディレーラが地面に接触する前に、身体が先に落ちるので無事であることもまあまああるのですが、タイミングや角度ではバキッとなることも。
ディレーラが地面に当たった際は、ぱっと見で傷が付いた程度だとしても、要注意です。ディレーラハンガー(フレームとリヤディレーラをつなぐ金具)が内側に曲がってしまうことがあって、それに気づかずに再び走り始めると、ローギヤに入れた際にディレーラがスポークに巻き込まれてしまうことがあります。そうなるとディレーラは根元からポッキリ折れて、見るも無惨な状態に…もちろん走行不能で立ち往生することになってしまいます。
落車時には、リヤディレーラが曲がっていないかを後ろから目視チェックし、プーリーケージの地面との角度が垂直になっているかチェックしておきましょう。
軽量で強いカーボン製のフレームやパーツですが、急激に大きな力がかかった場合、金属はまず曲がることが多いのに比べて、カーボンは一気に割れてしまうことがあります。
三本ローラーや立ちごけレベルではフレーム破損はほぼないですが、走行中に落車や衝突をしてしまったら、カーボン破損の可能性を疑いましょう。金属であれば曲がりやヘコミはさほど問題にならない場合もありますが、ことカーボンになると、小さなクラックですら取り換えになることもあります。いくらカーボン素材が強固とはいえ、意図しない方向からの入力に対しては意外な脆さを露呈することがあるのです。
フレームだけでなく、ハンドルがカーボンならそこも要チェック。割れた個所がバーテープの下だと発見が遅れ、そのせいで走行中に二次災害になっては目も当てられません。ハンドルをぐいぐいっと手でひねるなどして、ハンドルやフォークコラムなどが折れていないかまずチェックしておきましょう。
それ以外にも、目視ではわからない細かな(しかし深刻な)傷や割れ目が入っていることもあるので、落車したら一度ショップに持っていき、事情を説明してプロの目で診断してもらうのがベスト。命を乗せるものですから、そのひと手間を惜しまないようにしましょう。
これまで見聞きしてきた経験から言いますと、落車で頭を打つ(ヘルメットを地面にぶつける)ケースは意外に少ない印象です。緊張感がそうさせるのか、インパクトの瞬間は首がぐっと固定されるからかもしれません。あ、ちなみにここで言う落車は静止時のことでして、信号待ちでクリートを外し忘れてコロリ…みたいなのです。
そんな静止時の落車であっても、やはりヘルメットとグローブは何が何でも装着しているべき。ヘルメットのサイドに傷がつくこともあるし、手のひら&甲がアスファルトに触れてグローブが擦りむけることはあります。道具は身体を守るために壊れる(&傷つく)ものなので、やはりしておくに越したことはないです。
百歩譲って、「ダイレクトな感覚が好きだから」という理由でグローブをあえて付けない上級者はいますが、ヘルメットを装着しないのはいついかなるときもマジでご法度です。「努力義務だから被らなくていいもーん」とか言ってる場合ではなく、替えのきかない脳みそは最優先で守る。3万円とかする高級モデルを使う必要はなく、8000円~1万円くらいのモノでも安全性は同じなので、とりあえず安いものから始めてかまいません。
ということで、
ようにしましょう~。
写真・文/中山順司
稲城から高尾まで 都内サイクリングの定番コース“尾根幹”と+αのルート
2018/10/30
2017/08/29
ヒルクライムで好成績を出すのに、どんなトレーニングをしたらいいですか?
2018/02/23
2024/11/25
2024/11/22
2024/11/20