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サイクリングの極意<8>

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サイクリング時の仲間との意思疎通とコミュニケーションの方法
サイクリングの極意<8>

 ロードバイクはソロで走るのも、仲間とグループライドで出かけるのも楽しいものです。ただ、複数人数で走るとなると、互いの意思疎通の必要性を感じるでしょうし、またその方法が意外に難しいことに気づくでしょう。アイコンタクトだけでは不十分ですし、声での意思疎通も走りながらだと限界があります。

 意思疎通がうまくいかなかったせいで接触や落車事故が起きることは十分にありえます。それを避けるためにも「走りながらのコミュニケーション」のスキルは持っていたほうが良いでしょう。

 今回は、グループライド時の基本的な意思疎通法をお伝えします。

意思疎通の基本はハンドサイン

 自転車には、クルマに備わっているウインカーやストップライトがありません。よって、右左折や停止(&減速)時には乗り手が何らかの方法で後続に意思表示する必要があります。それがハンドサイン。手で出すサインですね。

 お気づきのように、ほとんどのサイクリストはハンドサインを出しません(法令に定められているのですが…)。乗り手が勝手に急ターンしたり、止まったりすると肝を冷やされるものですが、ハンドサインがないせいで「動きの予測ができない」のがその理由です。

 列をなして集団で走るロードバイクは、常に後続に気を使う必要があります。一般的な自転車よりスピードを出して走るわりに車両間のマージンが少ないため、急にストップされたり唐突に曲がられたりすると驚いてしまいますからね。驚くだけで済めばいいですが、最悪接触&事故につながります。一列走行の状態でライダー同士が声でやり取りするのは現実的ではないですし、アイコンタクトといっても使えるシーンは限定的でしょう。

 以下、基本中の基本である「右折、左折、停止」の3つをご紹介しましょう。

 ◇ 右折
 シンプルに曲がる方向に手を伸ばします。
※路肩に駐車している車を右に避けるときに、「右に寄りますよ」という意思表示のために使うこともあります。

 ◇ 左折
 こちらも同様です。左手で意思表示します。右手を使う方法もありますが、自転車同士であれば直接左手を使う方がシンプルです。 

 ◇ 停止
 右手のひらをパーに広げ、右下に差し出すようにします。腰に当てる人もいたり、集団の後ろの方まで知らせたい場合は上に手を挙げたりなど、いろんなパターンはありますが、「手のひらを広げる=停止」と認識しておけばよいでしょう。

 以下の画像が参考になります。

※引用元:神奈川県警察自転車のルールとマナー
https://www.police.pref.kanagawa.jp/mes/mesf0178.htm#aizu

 なお、これらのハンドサインはソロライド中にも使えます。車両のドライバーさんへの意思疎通だってありますからね。ただ、サイクリスト間で通用するハンドサインは必ずしもすべてのドライバーが認識してくれるとは限りませんので、その点だけはご留意ください。

ハンドサインで間に合わない場合は声も使う

 ハンドサイン以外にも「声」と「アイコンタクト」という方法もあります。ハンドサインでは間に合わない場合は声でやりとりするしかありません。ありがちなのが急停止でして、たとえば歩行者が路上に飛び出してきたときは先頭者も悠長にハンドサインを出している余裕はありません。ですので、「ストップ!!!」と叫んで急停止します。

 さらに、声は先頭者だけが出すものではなく、後続や最後尾を走る人が使うこともあります。よくあるシチュエーションとしては、狭い片側一車線とか細い山道を走っていて、後ろから車がゆっくりアプローチしてきた場合です。最後尾を走る者が車の存在に先に気づきますので、前に向かって「車来るよ~」とか「後ろから車~」と声で知らせてあげます。それを伝言ゲームよろしく先頭に伝えていくわけですね。このように、危険信号にいち早く気づける者が率先して声を発して、グループ全体に情報共有するのです。

それ以外にハンドサインを使う場面はあるの?

 路上に落ちている障害物(空き缶、砂利、石)等があったら、先頭者は積極的にその存在を後続に伝える義務があります。ロードバイクのタイヤは細いので、その程度のモノでも当たりどころが悪いとパンクや落車事故につながります。

 その際は、指で「ほら、見てね&避けてね(障害物だよ)」と示してあげましょう。大声は出さなくて大丈夫ですが、余裕があれば軽く「石」「下(を注意して)」などと伝えてあげましょう。

 あと、路上にあるのは障害物だけでなく「アスファルトの段差・割れ目・隆起」もあります。タイヤがハマってパンクしたり、乗り上げてバランスを崩して落車は十分にありえます。先頭を走る人は路面に異常がないか常に気を配り、なるべく障害物や悪い路面は早めに避けつつ、後続にもハンドサインや声で示してあげられるようにしておきましょう。

最低限の体幹力は必要

 片手運転に慣れていない初心者サイクリストや、数年の経験があってもハンドサインを苦手とするサイクリストも中にはいるので、そういう場合は身の危険を犯してまで無理してハンドサインを出す必要はありません。(※ただ、あらかじめグループにそのことを伝えておくと良いでしょう)

 片手運転でバランスを崩しやすいのであれば、それは体幹が不足している可能性が高いです。両肘を地面について身体をピンと真っすぐ伸ばして姿勢を維持する「プランク」や、腹筋背筋の筋トレで鍛えてみてはいかがでしょうか。

 

プランクをする筆者。足を開いていますが、正しくは「足を閉じる」です

 地味なトレーニングなので正直やっていて楽しくはないですが、1日5分でもいいので継続するうちに、片手運転が苦にならなくなるはずです。

写真・文/中山順司

中山順司
中山 順司(なかやま・じゅんじ)
ロードバイクをこよなく愛するオッサンブロガー。ブログ「サイクルガジェット」を運営。“徹底的&圧倒的なユーザー目線で情熱的に情報発信する”ことがモットー。ローディの方はもちろん、これからロードバイクを始めようかとお考えの方が、「こんなコンテンツを読みたかった!」とヒザを打って喜ぶ記事をつくります。