2019.9.24
電動アシスト付きのスポーツバイク「e-BIKE」が国内のスポーツバイクシーンでも勢力を拡大しています。e-BIKEについて紹介する連載「e-BIKEを楽しもう」を始めます。第1回はそのルーツや歴史について紹介します。
e-BIKEとは、ロードバイクや、MTB、クロスバイクなどのスポーツサイクルを電動アシスト化した自転車のこと。広い意味では「電動アシスト自転車」ですが、電動アシスト自転車というと軽快車(いわゆるママチャリ)タイプのものを指すのに対し、e-BIKEはスポーツサイクルがベースになっているものを指します。
電動アシスト自転車のルーツは1993年にヤマハが販売した軽快車(いわゆるママチャリ)タイプの電動アシスト自転車・ヤマハPASにまで遡ることができ、25年以上の歴史があります。一方、e-BIKEは2010年にドイツのボッシュが欧州市場に参入したことがきっかけで誕生し、その歴史はまだ10年弱という比較的新しいマーケットです。
2010年代半ばにヨーロッパでe-BIKEの人気が急速に高まりましたが、国内のe-BIKE市場が盛り上がりの兆しを見せるのはまだ少し先の話です。というのも、国内では「電動アシスト自転車=ママチャリタイプ」というイメージが強かったことや、海外仕様のe-BIKEを日本で乗るには、電動アシストユニットのアシスト特性を日本の法律に合致させる必要があり、そこがすぐにはクリアできなかったからです。
そんな中、2015年、ヤマハが国産初のロードバイクタイプのe-BIKE・YPJ-Rを販売。国内マーケットにe-BIKEが本格デビューを果たしました。その後、クロスバイクタイプやマウンテンバイクタイプ、フラットバーロードタイプなど、ラインナップを拡充していきました。
国内ブランドのe-BIKEの完成車としては、パナソニックもXシリーズを販売。MTBタイプとクロスバイクタイプのモデルを展開しています。この両社はそれぞれ電動アシスト自転車を自社で開発していたこともあり、e-BIKEにも自社開発のユニットを使っているのが特徴です。
2017年にはコンポーネントメーカーも日本のe-BIKE市場に参入し始めます。シマノは、2017年e-BIKE用の電動アシストユニット「ステップスE8000シリーズ」を国内向けに対応させたE8080シリーズを発表。現在はミヤタやメリダ、ルイガノなど、多くのブランドがこのユニットを搭載した完成車を販売しています。さらにボッシュも2017年に国内市場への参入を決め、すでにビアンキやトレック、コラテックなどのブランドにボッシュ製のユニットが採用されています。
2018年以降、海外ブランドからも国内市場向けにe-BIKEが次々に発表されています。トレックやジャイアントなどの大手ブランドだけでなく、イタリアのモーターサイクルブランド「ベネリ」や台湾のe-BIKE専門ブランド「ベスビー」のバイクも存在感を示しています。特に2018年は各社のe-BIKEが国内市場でも出そろい始めたことから“e-BIKE元年”と言われます。
e-BIKEの進化は日進月歩で、ユニットの小型化やバッテリーの持続時間の不安などのネガティブな要素も次第に改善されています。特にバッテリーの持続時間の改善は目を見張るものがあり、アシストを弱めにすれば100km以上巡航できるモデルもあります。
e-BIKEをめぐるインフラも整い始めています。静岡県函南町の道の駅・伊豆ゲートウェイ函南や、日本サイクルスポーツセンターにほど近いメリダXベースでは、レンタルe-BIKEのレンタルを行っています。しまなみ海道でも、ジャイアントがe-BIKEのレンタルを始めています。静岡県御殿場市にできた常設のマウンテンバイクコース・御殿場MTBパークFUTAGOではオフロードでMTBタイプのレンタルe-BIKEに試乗できます。また、伊豆半島地域には広域のe-BIKEの充電ネットワークができるなど、インフラ整備も進みつつあります。
e-BIKEはスポーツバイクの中の1ジャンルと見ることができます。しかし、見方を変えれば、ロードバイクやクロスバイク、MTBという車種の中に電動アシスト機構を持つバイクと持たないバイクがあり、電動アシスト機構を備えたものがeロードバイクであり、e-MTBである――というように見ることも可能です。
ディスクブレーキロードがロードバイクの中の特殊なジャンルではなく、ロードバイクのブレーキがリムブレーキかディスクブレーキかというようになっているように、e-BIKEもそのような認識になる日が来るかもしれません。
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