2021.10.8
サイクリングを楽しむ一方で、サイクリストには健康上気を付けていただきたいことがあります。それはアスリートの天敵「活性酸素」の発生です。ストイックで追い込みがちなサイクリストの皆さんに、美味しくできる活性酸素対策をご紹介します。
そもそも「活性酸素」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 人間が生きていく上で必要不可欠な酸素ですが、体内に取り込んだ酸素の約2%が、他の物質を酸化させる力が非常に強い活性酸素になると考えられています。この活性酸素は細胞伝達物質や免疫機能として働く一方で、過剰な産生は細胞を傷害し、細胞を傷つけてシワやシミなど老化の原因となったり、さらには生活習慣病の発症にも関連があるといわれています。
リスク要因としては、ストレス、タバコ、大量のアルコール、紫外線、排気ガスなども活性酸素の元になります。ハードなトレーニングによるストレス、アウトドアで受ける紫外線、さらに交通量の多い車道での排気ガス…というように、サイクリストは活性酸素を発生する要因に多く晒されています。したがって、サイクリストの皆さんはしっかりと“活性酸素対策”をとる必要があります。
では、どうすれば良いのでしょう? その方法は、活性酸素を除去する「抗酸化物質」が含まれた食品を摂ることです。活性酸素の害を防ぐには、活性酸素をやっつける食品を摂ることが有効です。βカロテン、ビタミンC、ビタミンEは特に重要で、これらは「抗酸化ビタミン」とも呼ばれています。
それらの栄養素がどの食材に多く含まれているかが気になるところだと思いますが、ざっくりいいますと色の濃い野菜、つまり緑黄色野菜に多く含まれています。サイクリストは食事に関しても意識が高く、普段から野菜の摂取を心がけている方は多いと思いますが、その時にできるだけ色の濃い野菜を選ぶようにしてください。
レースやロングライドの時は、恐らく昼食が炭水化物メインの簡単なものになりがちだと思いますので、そういう時は飲み物で抗酸化ビタミンを摂るようにしてみてはいかがでしょうか? 100%オレンジジュースやグレープフルーツジュースでもビタミンCが摂れますし、いろいろな種類がある野菜ジュースはそれぞれに多く含む栄養素が違いますので、パッケージを見て自分に必要なものを選んでみましょう。
秋の味覚、さつまいもにも抗酸化物質は豊富に含まれていますが、一食でたくさん摂れたり、食事の一品としてバランスよく取り入れられる抗酸化メニューとして私がおすすめするのは、ラタトゥイユです。
パプリカ、かぼちゃ、ズッキーニ、にんじん、ピーマン、トマト、なす、オクラなどをメインに、たまねぎやしめじも入れて、にんにくと共に熱したオリーブオイルで弱火でじっくり炒めます。味付けは塩のみというシンプルさですが、野菜の旨味がしっかり出てめちゃくちゃ美味しいのです!
そのままでももちろん、オムレツにかけたり、食パンにのせてチーズをかけて焼いたりと、いろいろなバリエーションで楽しめます。一度に大量に作っておけば、作り置きおかずとしても重宝します。良かったら試してみてくださいね。
管理栄養士。女子フィギュアスケートバンクーバー五輪銀メダリスト、男子バレーボールVプレミアリーグ所属チーム、ラグビートップリーグ所属チームなどを栄養面からサポート。ロードレースチームの「シマノレーシング」を担当していた経歴をもち、現在も「シマノ鈴鹿ロードレース」で開催される栄養講座の講師を務めている。自転車ロードレースの主要な国内レースは常にチェックしているというロードレースファン。現在はFC今治のサポートの他、トレーナー養成学校でスポーツ栄養学の講師をしたり、栄養学を学ぶ学生のコミュニティ「COMPASS」のアドバイザーとして後進育成に注力している。
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