2021.3.2
サイクリングを始めて間もない人が、いの一番に漏らす不満で一番多いのは「お尻の痛み」で間違いないでしょう。がっちりマッチョな男性、小柄な女性、若者もお年寄りも例外はなく、お尻の不快感が気になるようです。
通勤・通学くらいの短時間利用なら、痛みを感じる前に降りてしまうので問題はないものの、半日~終日走るような長時間のサイクリングにもなると、痛みが生じます。体重のほとんどをお尻で受け止めているわけで、当然といえば当然ではあります。ただ、お尻の痛みを解消しないとせっかくのサイクリングが苦行になってしまうので、いくつか解消法を紹介します。
サイクルショーツとは生地に股間を覆う大きなパッドがついた、いわゆる「クッション付きのパンツ」です。路面からの衝撃を吸収し、自重を受け止めてくれるので、股間の圧力を和らげることができます。
使用頻度にもよりますが1枚あれば、1年半~2年くらいはもちます。筆者は2枚持っており、交代制で使っています。1枚数千円程度なので、まとめ買いしても良いでしょう。
実は、私は最初のサイクルショーツを買うまでに1年間も要してしまいました。それはなぜか? 「そういうアイテムに頼るのってなんとなくかっこ悪い…」という子供じみた思い込みがあったからです。初めて使ったとき、あまりの快適さに「なぜオレはあんな無駄な時間を…」と漫画のキャラクターよろしく、己を悔いました。
なお、サイクルショーツは下着なので、ハーフパンツやスラックスの下にはきます。ツール・ド・フランスの選手などがはいているビブショーツ(ぴちぴちのパンツ)ではなく、人の視線を受けることはないのでご心配なく。
ひとつ忘れられがちなコツを補足しますと、サイクルショーツもビブショーツも「肌にそのまま着用」してください。下着の上にサイクルショーツをはくのではありません。下着と一緒に重ね着をしてしまうと、肌と下着が擦れあって不快ですし、そもそもの効力を発揮しません。
サイクルショーツをはいてもまだ違和感があるなら、サドルの位置を疑いましょう。単純に高すぎるか低すぎるか、もしくは前か後ろに傾いているかもしれません。
まず、サドルは水平にしておきましょう。後ろ下がりだと股間を圧迫しますし、前下がりだとお尻が前にずり落ちてきます。自分のポジションが分かっている中級者以上の方の中には、あえて前下がりとか後ろ下がりのポジションにしていることもありますが、それはいったん忘れて大丈夫。基本は水平です。
次に、サドルの高さを最適にすること。たいていの初心者の方は、足がつかないのが怖いという恐怖心を理由にサドルを下げてしまいがち。それだとペダリングするときに足の動きが窮屈になって、関節に負荷がかかります。
「何が最適なのかわからない」という声もあると思うので、目安をお伝えすると、サドルに座った状態で両足のつま先がギリギリ地面につくか、もしくは両かかとでペダルを後ろ回しにして足が伸び切らないかを確認しましょう。最適なサドルの高さを見つけたら、シートポストに目印としてビニールテープを貼ることをおすすめします。
サイクルショーツをはいて、サドルの角度も高さもピッタリ! それなのにまだお尻に違和感があるのであれば、いよいよサドルそのものを見直す時期かもしれません。
「どのサドルならお尻が痛くならないの?」とよく聞かれるのですが、これは回答するのが非常に難しいです。なぜなら、痛みの原因が人によって異なるからです。
お尻の形状、筋肉の付き方、骨格も千差万別ですし、何を痛いと認識するかも人それぞれなので、「いろいろなサドルを試すしかない」としか言えません。ただ、サドルをとっかえひっかえするのはさすがにもったいなさすぎますし非効率なので、個人的にいいな思ったサドル形状を挙げてみます。
まずは穴あきタイプのサドルです。座面中央に穴が開いていて尿道を圧迫しないので個人的に好きなサドルです。穴ではなく、溝が彫ってあるものでも効果は同じです。
次にクッションタイプ。厚手でふかふかしたサドルです。柔らかければいいというものでもないのですが、尻当たりはよいです。妻はこのタイプを愛用してます。
サドルには水平なものや波打っているもの、幅の広い(狭い)もの、メッシュ型など、さまざまな形状があります。このサドルの形状は好みとしか言いようがありません。
「自転車の試乗はできても、サドルの試乗サービスをやっているところなんて少ないもんなぁ~」と思うかもしれませんが、自転車ショップにお世話になっている人ならまずは店員さん相談してみましょう。「俺の私物だけど試してみる?」と提案してくれることもあります。あと、自転車仲間がいれば相談してみましょう。経験談・失敗談を話してくれたり、彼らのバイクに乗らせてくれたりします。
試行錯誤したけど、それでも解決しないなら、いっそ自転車ショップでポジション診断を受けましょう。プロのアドバイスにはお金を払う価値があります。
初心者の自分は問題のないポジションがとれているという自信は、たいがい思い込みです。自分の姿は自分では見えないし、見えたとしても改善ポイントに気づけないものなのです。
私も経験がありますが、プロのアドバイスは本当に目からうろこが落ちます。リアルに「え~~~~! こんなに変わるの? 今までの自分の乗り方はなんだったの!? バカバカ! 自分のバカ!」ってなります(私はなりました)。受けておいて本当に良かったです。遠回りのようで実は一番の近道がプロの診断です。
お尻の痛み対策まとめ
① パッド付きのサイクルショーツを穿く ② サドルのポジションを調整する ③ サドルとの相性を試行錯誤する ④ 最終的にはプロショップで診断を稲城から高尾まで 都内サイクリングの定番コース“尾根幹”と+αのルート
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