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サイクリングの極意<19>

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ディスクブレーキのロードバイクを取り扱うときに注意すべきこと
サイクリングの極意<19>

 ここ数年で、「ディスクブレーキ」のロードバイクの普及が急速に進んでいます。ディスクブレーキとは、銀色の円盤のようなものがホイールの中心にあるタイプのブレーキシステム。これまではリムブレーキが主流だったのが、この2~3年ですっかり逆転してしまった印象です。

 マウンテンバイク(MTB)ではお馴染みのブレーキ方式ですが、ロードバイクではまだ使い慣れていない方も多いのではないでしょうか。むき出しのディスクローターが「鋭利なカッターのように見えて怖い…」と思うかもしれませんが、コツさえ掴めば大丈夫。今後の主流のブレーキシステムになるのは間違いないので、この機会にディスクブレーキの知識と管理のコツを学んでみてください。

ディスクブレーキのロードバイクに乗るなら知っておきたい知識やコツを紹介します

油脂やケミカルなどを付けないようにしよう

 ディスクブレーキは油分がやや苦手です。ディスクローター(円盤の部分)やブレーキパッドに油脂が付着すると、「ギィィィィィ」と盛大な音がします。チェーンオイルはもちろん、指の皮脂でも音鳴りするので、わりとセンシティブではありますね。これ、実害はないんですが精神衛生上、とてもよろしくありません。

 「そんなの、パーツクリーナーをかければ一発で直るでしょ?」

 じつはパーツクリーナーによっては油分が含まれているものもあり、これでは解決しません。それどころか、音鳴りが増すこともあるのでやっかいです。

 食器用洗剤が汚れ落としに効果的という話や、火でパッドを炙って油分を飛ばすなど、いろいろと方法はあるものの、根本的に解決しないことが多く、パッド交換となってしまうことが多いです。メンテナンスでオイルやパーツクリーナーを使うとき、ホイールの脱着時は注意してください。

ローターをぶつけないように注意しよう

 円盤のような形をしたディスクローターは、2mmほどの厚みがあり、ちょっとやそっとの衝撃では曲がりません。そこまでヤワなものではないのでご安心を。ただし、それも程度の問題で、勢いよく壁にぶつけたり、倒して地面にもろに当たると歪むことがあります。ディスクローターとブレーキパッドの隙間は狭いので、少しでも歪んでしまうと、ローターとパッドが接触し、シャリシャリと音鳴りします。

ディスクローターとブレーキパッドの隙間は狭く、少しでもディスクローターが歪んでしまうと接触してしまいます

 音鳴りですめばいいですが、最悪の場合はホイールが回転しない(あるいは装着すら無理!)こともあります。だからディスクローターは触らない、当てないようにしましょう。

走行後はローターを触らないようにしよう

 上記でさんざん「ディスクローターには触らないで」と繰り返しているので、そのようなことをする方はいないと思いますが…走行後はディスクローターを触らないようにしましょう。摩擦熱で触るとやけどするレベルで熱くなっているからです。特にダウンヒルの直後は注意してください。

ブレーキをかけた後のディスクローターは熱くなっているため、触れないようにしましょう

ローターがパッドに接触したら調整しよう

 ディスクローターがブレーキパッドに接触すると、走行に支障をきたすので、調整が必要です。

 例えば、スルーアクスル式だとまず起きませんが、クイックレバー式のホイールだと、締めの甘さのせいでブレーキのセンターがずれてしまうことがあります。そうなると、ローターがパッドに接触してしまいます。

 この場合、パッドの位置を調整する前に、まずはホイールの脱着をやってみてください。ホイールが斜めにハマっているとか、締め付けが甘いだけならすぐ解決します。それでも直らない場合は、ブレーキキャリパーを固定するボルトを緩めて、センター出しが必要になります。以上がディスクブレーキの取り扱いの注意点です。

ホイールを外した状態でブレーキレバーを握らない

 ホイールを脱着する(した)ときの注意点を紹介します。油圧ディスクブレーキの場合、ホイールを外した状態でブレーキレバーを握るのは絶対にNGです。

 油圧ディスクブレーキには、「ローターとパッドの隙間を一定に保つ」機能があります。ブレーキパッドが摩耗して薄くなると、パッドの位置を自動調整してくれます。

 しかし、ホイールを外してそのままブレーキを握ると、ブレーキキャリパーのピストンが押し出され、ブレーキパッドの隙間が狭くなり、ブレーキパッドが元の位置に戻らなくなってしまいます。一度そうなってしまうと手で修理するのは不可能なので、出先で立ち往生することもありえます。

 ブレーキパッドを元に戻すには、マイナスドライバーのように細いモノでこじ開ける必要がありますが、その際はパッドを傷めないよう、やさしく作業しましょう。

パッドの間にスペーサーを入れよう

 ブレーキパッド同士のくっつきを防ぐのが「パッドスペーサー」です。ホイールを外したらすぐ、ブレーキキャリパーにパッドスペーサーを付けるのを癖にしておきましょう。あとでいいや…と少し油断してしまうと、そのつもりがなくても無意識に握ってしまうことあります。

ブレーキパッドの間に挟むパッドスペーサー

 ディスクブレーキのロードバイクを買うとスペーサーがついてきます。スペーサーは画像のように小さいので、出先で忘れたり、紛失してしまったら、(菓子の箱とか)厚紙を折り曲げて代用してもOK。ただし、油分がついているとブレーキパッドに付着して音鳴りが発生するので、きれいな紙を選んでください。

ローターカバーは装着しておこう

 ディスクローターは触らないようにと前述しましたが、油分の付着以外でも注意すべき点があります。それは輪行袋に自転車を入れるときです。ディスクローターをむき出しの状態にしておくと、フレームに接触するとフレームを傷つける可能性があるからです。

 さすがにフレームに当たるくらいでローターが曲がることは考えにくいですが、ここがリムブレーキのロードバイクと違って、少々気を使わなばならない点です。

 予防策としては、ローターカバーの取り付けがおすすめです。シャンプーハットのようなモノをディスクローターにかぶせて使います。これは輪行バッグのように別売りなので、前後輪用に2個買っておくことをオススメします。

ディスクホイールの取り扱いのコツまとめ

① 油脂類&ケミカルなどを付けない
② ディスクローターをぶつけない
③ 走行後にディスクローターを触らない
④ ディスクローターがパッドに接触したら調整する
⑤ ホイールを外した状態でブレーキレバーを握らない
⑥ パッドの間にスペーサーを入れる
⑦ ローターカバーはしておくが吉
中山順司
中山 順司(なかやま・じゅんじ)
ロードバイクをこよなく愛するオッサンブロガー。ブログ「サイクルガジェット」を運営。“徹底的&圧倒的なユーザー目線で情熱的に情報発信する”ことがモットー。ローディの方はもちろん、これからロードバイクを始めようかとお考えの方が、「こんなコンテンツを読みたかった!」とヒザを打って喜ぶ記事をつくります。
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