2024.7.19
ロードバイクという乗り物が驚くほど多様化した、といわれて久しい昨今。以前は「ロードバイク=ロードレーサー(ロードレースをするための競技用車両)」で、現在、そのレース用車両は空力性能を手にしてさらに高速域に特化し、先鋭化しています。その一方で、「レースをしないロードバイク」も増えました。
長距離を楽に走るための「エンデュランスロード」、舗装路から未舗装路まで対応する「オールロード」、悪路もOKな「グラベルロード」などジャンルも多彩に。グラベルロードにも空力性能を重視したグラベルレース用から、荷物を満載してアドベンチャーツーリングに行けるモデルまで様々です。多様化して“なんでもあり状態”なのが今のロードバイクシーンです。
選択肢が増えたということは、逆にいうと「選ぶのが難しくなった」ということでもあります。「ロードバイクが欲しいけど、一体どれを買えばいいのやら……」と迷っているビギナーの方も多いのではないでしょうか。
乗る目的がはっきりしているなら簡単です。その目的に合ったものを選べば良いのです。しかし、「とりあえずロードバイクというものに乗ってみたい」という人なら、どれを選ぶべきなのでしょうか。
そういう方におすすめしたいのが、オールロード~グラベルロードです。エンデュランスロード~オールロード~グラベルロードの境目は曖昧ですが、ここで言うグラベルロードとは、「太いタイヤが入り、ちょっとしたオフロードも走れる自転車」程度に考えてください。しかも、ハイエンドといわれるロードバイクのような高価なモデルでなくてもOKです。その理由を説明します。
まず、グラベルロードは、端的にいえば「なんでもできる自転車」です。細めのタイヤを付ければ舗装路もある程度は軽快に走れます。ブロックパターンの太いタイヤを付ければ悪路も楽しめます。最初からワイドなギヤが付いているので坂でも大丈夫。ディスクブレーキなので下りでも安心感がありますし、雨でも制動力を維持します。キャリア用の台座が付いたモデルであれば、荷物を積むこともできます。
したがって、細めのスリックタイヤを付けて舗装路でのハイスピードライドを楽しんだ翌週は、太いグラベルタイヤに履き替えてオフロードライドを堪能することもできますし、さらに、キャリアを付けて一泊二日の本格ツーリングなど、従来であれば、ロードバイクとマウンテンバイク(MTB)とツーリングバイクを持っていなければ不可能だった遊び方が一台でできるのです。
もちろん、「万能」は悪く言えば「中途半端」とも言い換えられますので、ピュアなロードバイクほど俊敏ではなく、MTBほど悪路走破性は高くありません。また、ツーリングバイクほど荷物は積めません。でも、色々楽しみたい人にとって「1台で何でもできる」というメリットは非常に大きいものです。
それに、乗り込んでいくうちに好きな走り方は変化するものです。「舗装路を走っていたけどオフロードに興味が出てきた」、「ヒルクライムに挑戦してみたけど、ツーリングの方が性に合っている」といった場合に、オールロードもしくはグラベルロードを持っていれば、バイクを買い替えることなく遊び方を変えることができ、1台目のロードバイクとしてこんなに最適な車種となることでしょう
自転車ライター。大学在学中にメッセンジャーになり、都内で4年間の配送生活を送る。現在は様々な媒体でニューモデルの試乗記事、自転車関連の技術解説、自転車に関するエッセイなどを執筆し、信頼性と独自の視点が多くの自転車ファンからの支持を集める。「今まで稼いだ原稿料の大半をロードバイクにつぎ込んできた」という自称、自転車大好き人間。
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