2020.11.24
自転車で走りに行く前にサイクリング向けのソーシャル・ネットワーキング・サービス(Social Networking Service、SNS)や地図アプリケーション(アプリ)などを活用すると、走行経路や目的地までの距離が分かり、どのような道を走るのかが想像できます。今回の記事はサイクリングで走る道をより具体的にするにはどのようなことに注目すればいいのかを紹介します。(文・菅洋介 / 写真・石川海璃)
近年、サイクリング向けのSNSや地図アプリなどが充実してきて、使う機会が増えました。週末に自転車で走りに行く事前準備として、各種サービスを活用し、走行ルートを知っておきたいものです。
サイクリング向けのSNSや地図アプリでは、さまざまな人によって作られたルートが、おすすめルートとして公開されています。走行経路を調べる際に「◯◯峠、◯◯湖」など、検索欄に具体的な場所を入力するだけで複数のルートが紹介されます。公開されている走行ルートと自分がイメージしていた道筋を照らし合わせてみましょう。
サイクリング向けのSNSや地図アプリが充実してきたのは、この10〜15年ぐらいの出来事です。それまでのツーリング用の「ポケットサイズの日本地図」が必須アイテムとして活用されていました。ページをめくりながら地図を縦横になぞったり、通った道を赤ペンで記したり、アナログな情報をもとにサイクルツーリズムを楽しめました。しかし今ではほとんど使わないアイテムになりました。
自転車向けSNS内の地図や地図アプリでは、地図内の経由したい地点にポイントを打つと走行ルートを割り出してくれます。走行ルートの距離だけでなく、細かな勾配変化や区間の平均勾配、検索次第では商店や休憩場所など、周辺の情報を細かく調べることができます。アプリでルートを作る際には以下のことをポイントにしておくといいでしょう。
ルートを描く際に最短ルートを辿るよりもある程度大通りを経由して目的地へ繋いでいくことがポイントです。理由は大通りは道路標識が多く、各地の主要な地点を記しているため、走行中に過度に地図アプリに頼らなくても安心して走行できるという利点があります。
山間部へルートを引く際、長いトンネルがある場合は迂回路を検索しましょう。トンネルによっては幅員が狭く、見通しが悪いところもあるため危険です。トンネルを避ける場合、トンネルの手前に迂回できる旧道があることも多いので、地図をしっかりと確認しておきましょう。
作成したルートを確認する際、チェックしておきたいポイントは3つあります。
山を走る場合、「麓から頂上まで何kmあるのか」はまず最初にチェックすべきポイントです。実走では今は何km地点か、あと何km残っているかを示す標識や、サイクルコンピューターの表示情報を頼りに走るので、事前にチェックしておきたいですね。また、坂がつづら折れになるポイントなど、走行ルートの特徴・形状を覚えておくと、距離が分からなくても「中盤は過ぎたかな…」と大まかな行程を把握できるでしょう。
獲得標高、平均勾配もチェックしましょう。利用するサービスによってはルートをなぞると、その区間の平均勾配、獲得標高を知ることができます。この情報をもとに防寒具や補給食の準備、走るときのギヤ選択を的確に判断できるでしょう。また、峠をいくつか越えるときは総獲得標高とあわせて総走行距離も意識しておくと、自分の体力にあったペース配分で走れます。
標高や道路の斜度が似たような山というのは沢山あります。一度走った山道を地図上で調べ、勾配や距離、獲得標高を知っておくと、別の山でヒルクライムに挑戦するときに山道のイメージを膨らますことができます。走った記憶を思い出しながら地図を辿るのは実に楽しいものです。
ヒルクライムにも初心者向きなコース、中級向き…、と段階があります。平均勾配が3〜4%で5kmの行程であれば、間違いなくほとんどのライダーが1時間以内に上れることでしょう。
しかし、これが平均勾配6%、10kmを超えるとなると、場所によっては足をつかないといけないくらい険しい道が現れます。体力レベルによっては休むのを考えて計画を練る必要があるでしょう。自転車向けのSNSや地図アプリはルートの難易度を判断するのに便利なツールなのです。
管洋介(SUGA YOSUKE)
AVENTURA CYCLING代表、有限会社デボ代表取締役社長。競技歴22年のベテランロード選手。国内外で50ステージレースを経験。近年は長い経験を生かしてメディア出演も多く、自転車専門誌のレギュラーキャストとして、モデル、インプレッション、ライディングレクチャー、好評の連載を持つ。自転車ライディング講師として イベント他、様々なコミュニティでのテクニ カルコーチ務める。2017年よりAVENTURA CYCLING を立ち上げ、 自転車界の明るい未来をリードしていく。
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