2021.2.16
平坦で変速する回数は多くないですが、ヒルクライムでは誰もがギヤに頼り、変速することになります。細かい負荷の調整にはリアの変速が一般的ですが、路面状況によっては負荷が大きく変化する場合はフロントギヤを活用することもあります。今回はヒルクライムを楽にする上手なギヤの選び方と走り方について紹介します。(文・菅洋介 / 写真・石川海璃)
ギヤを小まめに変速すれば、回転数(ケイデンス)が落ちてしまっていても、キツい勾配もクリアできます。しかしながら、ヒルクライムでは快調なリズムを保つことは体の動きやすさに繋がるので、ケイデンスを意識してギヤをコントロールすることを心がけましょう。ケイデンスはケイデンス測定に対応したサイクルコンピューター(およびセンサー、マグネット)を用意することで確認できます。
平地では1分間に90回転前後がいいリズムでしたが、ヒルクライムでは平地並みの高いケイデンスを維持することは困難です。勾配に対しては下記のケイデンスを参考にするといいでしょう。
ケイデンスの目安
斜度2%の勾配…1分間に85回転前後平均勾配が4%程度の坂では、ケイデンスは80回転前後を目安にギヤを選び、6%を超える坂は70回転前後をキープできるギヤを選びをしましょう。ギヤ選びのコツは、足が回らなくなってきたら1段軽くすることです。
道路の勾配は常に一定ではないので、勾配の変化に敏感になりましょう。緩斜面や急勾配に変化したり、ときに下る場合もあります。勾配によってケイデンスも変わるので、こまめにギヤを調整しましょう。特に広い道路は勾配が少し急になっていても気づかないことが多いです。
また一度下って再び上るような道路では、ギヤ選びが重要になります。下りで変速するのを忘れて重いギヤのまま上りに入ると、下りで生かしたペースを維持できなくなった途端、ペダルが重く感じます。そのまま変速しないまま進むと、クランクが回らずギヤを変えるタイミングを失って立ち止まってしまうこともあります。
フロントのギヤをアウターにしたまま上って、リアのギヤを徐々に軽くする場合は注意が必要です。特にリアが一番軽い状態(アウター×ロー)でフロントのギヤをアウターからインナーに落とすと、チェーンがギヤの内側に脱落してしまうリスクが伴います。
おすすめの変速方法は、上りの前にフロントギヤをインナーに変速しておくことです。足に負荷がかかり始めたタイミングでギヤを少しずつ軽くしていくと、トラブルなくスムーズに走れるでしょう。
つづら折れなどの急な勾配変化にとっさに対応できるのが立ちこぎ(ダンシング)です。坂道を上るときに座った状態(シッティング)でペダルがこげなくなって立ちこぎをした経験は誰もがあると思います。ヒルクライムでは、ダンシングをすることで体の負担を和らげることができます。また、勾配が変わったときに体重を生かして上ることも可能です。
ダンシングは体重を生かして上れるので、シッティングよりも重めのギヤでこげますが、ダンシングから再びシッティングに戻るときにシフトチェンジをしないままだと、ギヤが重いのでペースダウンすることがあります。走行のリズムが乱れると体や心肺へのダメージが大きく、元のペースが戻せなくなる可能性があるので注意しましょう。ダンシングを終えるタイミングで軽いギヤに変速し、シッティングへ移行することがポイントです。坂道に応じて乗り方やギヤを使いこなしてヒルクライムを楽しみましょう。
撮影協力:株式会社シマノ
管洋介(SUGA YOSUKE)
AVENTURA CYCLING代表、有限会社デボ代表取締役社長。競技歴22年のベテランロード選手。国内外で50ステージレースを経験。近年は長い経験を生かしてメディア出演も多く、自転車専門誌のレギュラーキャストとして、モデル、インプレッション、ライディングレクチャー、好評の連載を持つ。自転車ライディング講師として イベント他、様々なコミュニティでのテクニ カルコーチ務める。2017年よりAVENTURA CYCLING を立ち上げ、 自転車界の明るい未来をリードしていく。
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