2022.9.29
ヒヤリハットの発生率が最も多いのは、様々な乗り物が交錯する街中でしょう。筆者は自転車で荷物を配送するメッセンジャーをやっていたので、ヒヤリハットの経験は枚挙に暇がありません。自身の経験から、ケース別にいくつか事例を挙げましょう。
最も危険なエリアは、自動車、二輪車、歩行者が入り乱れる交差点です。筆者は並走していたトラックがウインカーを出さずに交差点で急左折し、荷台にぶつかってアスファルトに叩き付けられたことがあります。防御策は、交差点付近では自動車と並走しないことです。
右折してきた対向車とぶつかりそうになったことも何度もあります。渋滞中の交差点を直進する場合、対向車の右折には注意してください。信号が青でも、交差点に進入するときはスピードを落とし、「並走車が左折するのではないか」「対向車が右折するのではないか」と構えておくことが大切です。
直線路でも油断はできません。左側に駐車場や店舗施設があるところでは、できるだけ自動車と並走しないようにしましょう。そこに入ろうとして自動車が急左折し、ヒヤリとしたことは数知れません。自動車の前に出てドライバーの視界に入るか、後ろに下がって距離をとっておくと安心です。タクシーがお客を見つけて幅寄せ&急停車なんてことは、日常茶飯事でした。タクシーは急停車/急ハンドル/急発車するものだと思っておきましょう。
自動車の脇を通過しているときに急にドアが開く、いわゆるドア開けには何度も遭遇しました。お客を乗降させるためにドアが自動で開閉するタクシーには要注意です。対策法は、自動車と距離をとることです。車両の横を通るときは、もしドアが開いても当たらないくらいの間隔(1~1.5m)を確保すれば安心です。
狭い道では距離を取ることが難しいかもしれません。そのようなときは、まずスピードを落として、自動車に乗っている人の動きを見ることです。車内の人が「シートベルトを外す」「ドアノブに手をかけている」などしていれば、それはドア開けの兆候です。日中であってもライトを点滅させておくのも一つの手です。ドライバーが自転車に気づきやすくなります。
交通量の少ない、いわゆる“閑静な住宅地”では、車道とは逆に自転車が加害者になる可能性が高くなります。住宅街では、ママチャリ(軽快車)や子供が急に飛び出してくることがよくあります。自動車が少ないぶん、「確認しなくても大丈夫」と思ってしまうからでしょう。
筆者も脇道から飛び出してきたお年寄りにぶつかりそうになって肝を冷やした記憶がありますが、事故を防ぐには、「あの角から誰かが飛び出してくるかもしれない」と身構えて、何があってもすぐに止まれるくらいまでスピードを落とすしかありません。
街中でのヒヤリハットを少なくするには、常に周りの状況を確認し、いちはやく危険を察知すること。そして、「横にいる自動車が急に左折したら?」「赤信号を無視した自動車が交差点に突っ込んできたら?」「その角から子供が飛び出してきたら?」と、常に最悪の事態を想像することです。
自転車ライター。大学在学中にメッセンジャーになり、都内で4年間の配送生活を送る。現在は様々な媒体でニューモデルの試乗記事、自転車関連の技術解説、自転車に関するエッセイなどを執筆し、信頼性と独自の視点が多くの自転車ファンからの支持を集める。「今まで稼いだ原稿料の大半をロードバイクにつぎ込んできた」という自称、自転車大好き人間。
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