2024.2.9
この記事は「スポーツ用自転車の非常識」という名の連載ですが、最後のテーマはなんと下着問題(笑)。結論から言いますと、下着を履かない人が多いは本当です。スポーツ用自転車といってもクロスバイクからマウンテンバイク(MTB)まで様々ありますが、ロードバイクに絞るなら「レーサーパンツ」という、スポーツ用自転車のためのウエアの下に下着ははいていません。街中を颯爽と駆け抜けるロードバイク。川べりのサイクリングロードを楽しそうに走っているロードバイク。長い峠道を力強く上っているロードバイク。乗っているライダーは下着をはかない人も多いのです。確かに一般的にみると“非常識”かも知れません。
といっても、これにはれっきとした理由があるのです。ロードバイクに馴染みのない人たちが、ロードバイクに対して抱く「なぜ?」は、これまで僕が説明してきたように、たいていは「速く走るため」という答えに帰結するわけですが、「なぜ下着をはかない?」もその例に漏れず当てはまります。
そもそもロードバイクには「走るために必要なもの」以外はほとんど付いてません。指先に乗るくらいの小さなパーツからボルト1本に至るまで、「それがなくなると走れなくなるもの」ばかりです。数ミリのボルト1本外しただけでちゃんと走れなくなるような、ギリギリの存在なのです。メーターや携帯工具やライトなどはなくても走ることはできますが、「なければ安全に目的地までたどり着けない」という意味では、これらも「なくなると走れなくなるもの」です。
それはウエアにも適用されます。ヘルメット、アイウエア、グローブ、レーサージャージ、レーサーパンツ、ビンディングシューズ。どれも快適に安全に速く走るために必要不可欠なものです。そう考えると、下着はどうでしょうか。なくても走れます。というか、むしろない方が良いのです。
長距離を走るときは、サイクリストはレーサーパンツという自転車専用のウエアを着用します。これは、サドルと接するお尻のところにパッドが縫い付けられており、長時間乗っていてもお尻が痛くなりにくくするための自転車専用ウエアです。激しく動く腰から脚にかけてピタリと密着し、長時間続くペダリング動作でもウエアのシワが皮膚とこすれないような作りになっています。
「抵抗がある…」と、レーサーパンツ(レーパンと略されます)の下に下着をはく人がいますが、下着のシワや縫い目が長時間肌に当たり続けると、摩擦による痛みや擦り傷の原因になってしまいます。すなわち、僕らサイクリストがスポーツバイクに乗るとき、下着は邪魔者になるのです。
サイクリストが下着をはかない理由、理解していただけましたか?
自転車ライター。大学在学中にメッセンジャーになり、都内で4年間の配送生活を送る。現在は様々な媒体でニューモデルの試乗記事、自転車関連の技術解説、自転車に関するエッセイなどを執筆し、信頼性と独自の視点が多くの自転車ファンからの支持を集める。「今まで稼いだ原稿料の大半をロードバイクにつぎ込んできた」という自称、自転車大好き人間。
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