2019.10.18
自転車ロードレースはシーズン中はほとんど毎日、世界各地でレースが開催されます。最も上位カテゴリーである「ワールドツアー」は、2019年シーズンは全38戦、計17カ国にて開催されました。いったいどのレースがおすすめなのか、全部見る必要があるのか、という疑問に答えるべく、2019年シーズンに国内でライブ中継(テレビ、オンデマンド)があったレースのなかから、特におすすめのレースを紹介します。
なんといっても、グランツール(3大ステージレース)と呼ばれるジロ・デ・イタリア、ツール・ド・フランス、ブエルタ・ア・エスパーニャは、戦略的にとても見応えのあるレースです。
総合優勝をめぐる各チームのエースとアシストの用兵術、ステージ優勝を狙う逃げ集団内での駆け引き、集団スプリントにおけるスプリントトレインの動きなど、自転車ロードレースの戦略の醍醐味が詰まったレースだといえましょう。
なにより、グランツールで総合優勝することはもちろん、ステージ優勝することの価値の大きさは計り知れません。ツールでステージ優勝した選手は、引退後も仕事に困ることはなく一生安泰といわれるほどですし、翌シーズンの契約が未定の選手がシーズン終盤のブエルタで活躍して、新たな契約を手にしたというケースもたくさん見られます。つまり、選手・チームの本気度が非常に高く、ハイレベルな戦いを見ることができるのです。
1週間程度のステージレースのなかでは3月に開催されるパリ〜ニースは特におすすめです。歴史も長く、このレースで勝つことの価値も非常に高いため、春先の大きな目標として挑む選手が多いです。特に近年は、天候が悪化して荒れた展開となったり、絶妙なコース設定により秒差の総合争いが繰り広げられたりと、白熱したレース展開が見られています。
そして、ロンド・ファン・フラーンデレン、パリ〜ルーベ、リエージュ~バストーニュ~リエージュといった4月に開催されるワンデーレースも非常に見応えがあります。特にモニュメントと呼ばれる、これらのレースは非常に格式が高く、このレースで勝つことを夢見て、プロになった選手も少なくないでしょう。
一発勝負のワンデーレースだからこそ、予期せぬ出来事への対応力が問われ、チームとしてどんな戦略を持って挑むかがとても大事なレースとなります。人生を賭けた大一番では、時としてセオリー外の展開に持ち込まれることもあり、予想だにしなかった結末に驚くことも多いです。「春のクラシックこそ至高」と語る自転車ロードレースファンは多いです。
ジロ、ツール、ブエルタのグランツールは、戦略面だけでなく素晴らしい景色も見ることができるレースです。「ジロ」「ツール」「ブエルタ」という単語は、英語でいうところの「ツアー」、つまり旅行・周遊といった意味を持ちます。レース映像にはその国を代表する景勝地や、ヨーロッパならではの標高の高い山岳地帯など、絶景が何度も映し出されることでしょう。
グランツールでは沿道の観客たちも主役です。レースが通過する時間帯を狙って、原っぱでコレオグラフィを描いたり、断崖絶壁に登ってレースを観戦する姿を見せたり、派手な仮装をしたり、楽器で演奏したりと、様々な方法で目立って国際映像に映ろうと試みる人々が大勢います。
そういう人々は展開の少ないレースの序盤・中盤に映ることが多いので、中継スタートの時間から観戦して、見逃さないようにしましょう。
前述したようにヨーロッパの山岳地帯は絶景の宝庫です。アルプス山脈の峠道を必ず通過するクリテリウム・ドゥ・ドーフィネ、ツール・ド・スイスは、景色派としては見逃せないレースです。また、スペイン・バスク地方の山々をめぐるイツリア・バスクカントリーも景観の美しいレースのひとつとなっています。
また、ワールドツアーではありませんが、ノルウェー北部、北極圏に位置する地域で行われるアークティックレース・オブ・ノルウェーもおすすめです。複雑に入り組んだフィヨルドをめぐるレースは、まさに絶景のオンパレード。画面越しでも大自然の迫力が伝わってくるため、思わずノルウェーに行きたくなるようなレースです。
グランツールにはすべての要素が詰まっているので、観戦初心者に特におすすめしたいレースです。グランツール観戦を通じて、自転車ロードレースの魅力を知り、ハマっていけたらいいのかなと思います。
他にも本稿では紹介しきれないほど、戦略的に面白いレース、景色の美しいレースはあります。なので、レースにハマるにつれて、他のレースに興味を持ったら広げていくという方法で良いと思います。自転車ロードレースは一年間全てのレースの動向を追い続けなくても、自分のペースで楽しむことができるスポーツ観戦なのです。
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