2019.12.24
自転車ロードレースの現地観戦の魅力は、選手とファンの距離の近さです。一方で、選手と観客の距離が近いゆえのトラブルも絶えません。今回は現地観戦で注意すべき点についてまとめました。
単純に高速で走行している選手と接触することは選手・観客ともに危険です。また、ツール・ド・フランスなどの海外レースの中継を見ていると、山岳ステージの上り区間で選手たちの背中を押しているファンの姿が見られますが、それもNG行為です。観客自らが選手に触れようとすることは控えましょう。
ただし、2019年のブエルタ・ア・エスパーニャ第15ステージで、ステージ優勝を確信したセップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)が沿道の観客とハイタッチしながらフィニッシュを目指したように、選手自らファンにハイタッチをしてくれるような例外もあります。
2017年のロンド・ファン・フラーンデレンでは、優勝候補のペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)が重要な局面にて、沿道の観客に接触して落車。ここでのタイムロスが響いて、優勝を逃すという結末となりました。
また、2018年のツール・ド・フランス第12ステージでは、総合優勝候補のヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)が、写真を撮ろうとしていたファンのカメラストラップに引っかかってしまい落車。椎骨を骨折する重傷を負ってレースリタイアを余儀なくされました。
いずれのケースもフェンスがある場所での出来事でした。選手と接触することで、レース展開へ重大な影響を及ぼすこともあれば、選手自身が重傷を負うことが実際に起きています。
選手たちの姿を一生懸命見ようとし、フェンスから身を乗り出したくなる観客心理はとてもよく理解できます。しかし、選手たちは一瞬の隙を突いてアタックを仕掛けたり、大集団でレースを行うために、どうしてもコース際を走行せざるを得ない場面が出てきます。
接触を避けるために、選手が通過する際は気持ちを抑えてフェンスの内側の安全な位置で観戦するようにしましょう。フェンスがない場所での観戦も同様です。選手たちが通過する際は、コース内に立ち入ることなく、安全な位置を確保した上で観戦しましょう。
また、自分自身の身体だけでなく応援フラッグやグッズ、カメラの機器本体やストラップなどもコース内に入らないよう、選手に触れないよう十分な注意を払ってください。
特に山岳コースで注意すべきポイントです。曲がりくねったコースでは、選手たちはできるだけイン側を走行します。そのため、観客がコーナーのイン側に立っていると、選手たちの死角に隠れることもあり、激突の危険性がとても高いです。
かといって、コーナーのアウト側に立てば絶対に安全というわけでもありません。基本はコース内に立ち入らない位置で観戦することです。コース内を移動中にやむを得ずコーナーに立つ場合は、アウト側に立つようにし、選手や関係車両の動きに十分な注意を払うようにしましょう。
クリテリウムなど、目の前を選手たちが高速で通過するレースでは特に注意すべきことです。地面にゴミや手荷物などを置いていると、通過する際の風で物が吹き飛ぶ可能性もありますし、誤って蹴っ飛ばしてコース内に物が転がってしまいレースの支障をきたすことが考えられます。
物はある程度重量感のあるバッグ・カバン等にしまう、ゴミなども袋にまとめてバッグ・カバン等にしまったり、くくりつけるなどして、十分な対策をしましょう。
レース進行をスムーズに、そして観客・選手双方の安全を確保するためにも、警備員やスタッフなど関係者からの指示には従いましょう。また、レースごとにルールや気をつけるポイントが少し変わってきます。そのため、観戦予定のレースのホームページ等で、事前に観戦ルールや注意点を確認しておくことをおすすめします。
※参考:2019年ジャパンカップサイクルロードレースの観戦の注意点レース後など、選手と交流できるチャンスがあることが現地観戦の魅力のひとつです。選手を応援するため、差し入れやプレゼントを送るファンも少なくありませんが、飲食物の提供は控えた方がいいと思います。
プロ自転車選手は厳格なアンチドーピングコントロールの下、日々の食事や飲み物、サプリメントや医薬品など使用に制限があります。もしも、差し入れられた飲食物にドーピング違反物質が含まれていた場合、最悪の場合選手生命を断つことになりかねません。
※参考:宇都宮ブリッツェンの選手への差し入れに関するお知らせ稲城から高尾まで 都内サイクリングの定番コース“尾根幹”と+αのルート
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