TOP HOW TO ヒルクライマーが選ぶMy Favorite峠篠さんが選ぶヒルクライムルート 南アルプスエコーライン「しらびそ峠」
ヒルクライマーが選ぶMy Favorite峠<1>

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篠さんが選ぶヒルクライムルート 南アルプスエコーライン「しらびそ峠」
ヒルクライマーが選ぶMy Favorite峠<1>

 インフルエンサーとして活躍する篠さんは、無類のヒルクライム好きとして知られており、日本各地の山々に挑み続けています。そんな篠さんが選ぶ「My Faborite峠」をご紹介します。勾配があるチャレンジングな峠ですが、“林道感”を求めて挑戦してみてはいかがでしょう。

ヒルクライムでしか味わえない体験を求めて全国の山々に挑んでいる篠さん(Photo: Nobuhiro Toya)

Q.お気に入りの峠を1つ教えてください

 福島県にある磐梯吾妻スカイラインヒルクライム(浄土平)も景色が最高でおススメなのですが…今回はあえての「南アルプスエコーライン」をご紹介したいと思います。長野県の信州エリアにあって、伊那や飯田からアクセスできる場所にある峠です。

 遠山郷から登るルートで南から北に向かって走っていきます。途中、「下栗の里」を通過するのですが、急勾配にいくつかの集落が点在している風景が「日本のチロル」とも言われており、知る人ぞ知るスポットになっています。ちょっとだけハイキングする必要がありますが、ビューポイントもあるので写真撮影もおすすめです。走行中に分岐がありますが、難易度によって選んでもよいでしょう。どちらも20kmほど登り、比較的勾配も急で難易度は高いですが達成感と満足度も間違いなくあります!

「日本のチロル」とも表される下栗からの景色(本人提供)

Q.その峠を好きな理由、魅力を教えてください

 私がヒルクライムを好む理由としては、速さやタイムを追求することではありません。山深いところに入っていき、普段では得られない非日常感を味わうことが理由です。まさに南アルプスエコーラインのしらびそ峠がぴったりなのです。急な坂の間にポツンと集落があり、周りにも商店もない...でもそれがいい!

 集落区間、素掘トンネル、岩壁区間、林道区間と、約20kmを飽きさせない地形や景色の変化があるのが魅力です。春夏のグリーンシーズンもおすすめですが、特に紅葉がきれいなのでイチ押しです。車の交通量はほぼありませんので、集中して走ることができるはず。

細く急勾配が続く林道を進む(本人提供)

 以前、ライドをしたときには豊橋からスタートして遠山郷の民宿に1泊、しらびそ峠を超えて茅野駅(中央線)から輪行して帰宅しました。民宿近くの日帰り温泉でご飯を食べたのですが、いなごの佃煮を初めて食べました。衝撃的な見た目とは裏腹に美味しかったことをよく覚えています。様々な文化を体験できるのも地方を走る魅力の一つですね。

 注意点としては秘境が故に立ち寄りスポットがあまりないことです。特にトラブルに備えて工具の携帯や食事、補給食の確保は予め済ませておいた方がいいでしょう。コンビニも、自販機すらありません。下栗にご飯屋さんが2件ほどありますが事前のリサーチは必須です。山菜の天ぷらなど、郷土料理が食べられますのでぜひ現地で味わっていただきたいです。

南アルプスを望む景観スポットもある(本人提供)

Q.最後に篠さんにとってのヒルクライムの魅力を教えてください

 私は林道を走ることが特に好きなのですが、そもそも車の交通量が少ないですし、そこに自分しかいないという「独り占め感」は郊外のエリアでもなかなか体験できません。山奥の細い林道は車でも行こうとは思いませんよね。自転車に乗っていなかったら一生来ることがないであろう道を進んでいくことが楽しいのです。これが先ほど話した非日常感です。

 ヒルクライムは経験次第でフィジカルを鍛えることができ、スキルと併せて上達の変化も楽しめます。ランニングとは違った移動距離もありますし、フットワークの軽さも魅力です。ぜひ自分だけのお気に入りのルートを探索して、ヒルクライムならではの体験を味わっていただければと思います。そして南アルプスエコーラインにもぜひ挑戦してみてください!

篠(しの)

漫画『弱虫ペダル』をきっかけに2014年にロードバイクに乗り始める。自転車歴7年。登録者数4万人YouTubeチャンネル『Shino-山は性癖です-』やSNSで自転車の楽しさを発信中。山岳旅ライドを好み、最近はオフロードにも熱心に取り組み始める。磐梯吾妻2Days 女子総合優勝、富士ヒル 女子選抜2位、乗鞍一般女子4位、奥多摩&檜原ステージ女子総合優勝(以上2022年戦歴)

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