2019.11.5
皆さんはサイクリングをするために筋トレをしていますか? 「別に本気でレースをやっているわけじゃないし、ゆっくり楽しめればいいから筋トレとかいらないでしょ」、と思うかもしれませんが、サイクリングを怪我なく快適に長く楽しむうえで筋トレは間違いなく有効です。今回はなぜサイクリングのために筋トレがオススメなのかをお伝えします。
自転車は高齢者のリハビリに用いられることも多いくらい、体への負担が少ない運動です。ランニングなど他のスポーツと違い、足を地面に直接つけることがないので、関節にダイレクトにかかる負荷が少ないのです。したがってランニング以上に長時間の有酸素運動をしやすいのが特徴です。自転車はダイエットであったり日頃の運動不足解消として取り組みやすいスポーツと言えるでしょう。
逆にそれだけペダリング(ペダルを回すこと)という動作が特殊であるとも言えます。ペダリングで主に使う筋肉は、日常生活や他の陸上スポーツで使う筋肉とは違うのです。
負荷が少ないとはいえ、やはり長距離を走ると膝痛などの怪我や故障のリスクが高まります。ペダリングに必要な筋肉をしっかり鍛えることがその予防になるのです。
ある程度距離を乗れるようになると避けられないのが坂道、ヒルクライムです。山の多い日本でロングライドを行う場合、距離を伸ばせば坂道は必ず存在します。平坦路よりも重力の影響が大きくなるので、慣性が効かない=高い負荷でペダルを回し続けなければなりません。それだけ体への負担は増していきます。特に山に上る峠道となるとそれが何キロも続くことになります。
そのため、上り坂は多くのサイクリストにとってネックになりやすいのです。しかし、峠を登り切る達成感と山の上からでしか見下ろすことのできない絶景はロングライドの醍醐味と言えるでしょう。上り坂を確実にこなし、ロングライドの楽しみの幅を広げるためにも、筋トレをして高い負荷に耐える体を作ると良いでしょう。
ロングライドを走っている途中や走り終えたあと、前ももやふくらはぎがパンパンに張ってしまった経験はないでしょうか。これらの部位の筋肉は持久力に乏しい速筋繊維の割合が多いため、長時間の運動には適しません。ロングライドを確実にこなすためには、乗車姿勢を長時間支える体幹の筋力と、ペダルを持続的に回し続けるための股関節周りの筋力が重要です。
これらの筋肉は持久力に富んだ遅筋線維を多く含んでいます。今回のシリーズでお伝えする筋トレはこれらを鍛えるものを中心にまとめてあります。これらをまず使えるように鍛えることで、疲労が一箇所に集中しないように、長時間の運動が可能になります。走っても疲れにくい=余裕を持って走れるということです。余裕を持つことで安全な走行が可能になり、よりロングライドを楽しめるようになります。
今後、このシリーズでお伝えする体幹部の強化を行うことで、ハンドルにかける体重を軽減でき、結果バイクコントロールがしやすくなります。安全にバイクを操作できるようになるのです。市街地のちょっとしたカーブであったり、峠のダウンヒルにおいて、バイクコントロールに余裕が持てることは安全面で非常に重要です。
またグループライドをする場合に重要なスキルである、ハンドサインを出すのにも余裕が持てます。集団での事故を未然に防げるのです。サイクリングにおいて筋トレは、楽に速く走るためという意味合いはもちろん、命を守るためにも大切なのです。
ロードバイクでサイクリングをするうえで筋トレが重要であることは理解できたかと思います。では、どの部位の筋肉が必要なのでしょうか?
結論から言うと、
体幹部(腹筋群、背筋群)
お尻(大臀筋)
もも裏(ハムストリングス)
以上の筋肉です。
まず長時間前傾姿勢をしっかりキープするために体幹部の筋力が必須になります。そうでなくてもロードバイクに乗っている時の姿勢は非常に不安定であり、バランス力が求められます。体幹部の筋肉がしっかり働く状態であることでよりバランスも取りやすくなります。
そして、ペダルを長時間回すためには持久力に富んだ股関節の伸展筋群を活用することが求められます。それが大臀筋とハムストリングスなのです。これらの筋肉をしっかり鍛え、使えるようになることで、パフォーマンスも向上し膝などの痛みの予防にも繋がります。
運動不足になりやすい現代において、自転車は運動を楽しみながら続けられるので、運動不足解消のためにもダイエットのためにも、とても有効なツールと言えるでしょう。しかし、その効果も続けなければ得られません。またステップアップしながら続けることで、それまでには見られなかったような景色や、得られなかった達成感を得られます。
自転車という素晴らしいツールを長く思いっきり楽しむためにも筋トレをやっていきましょう! 次回はビギナーに向けた上半身の筋トレ方法をご紹介します。
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