TOP HOW TO もっと遠くに、もっと速く行くためのロードバイクの筋トレサイクリングのために大切な上半身の鍛え方〜初級編〜
もっと遠くに、もっと速く行くためのロードバイクの筋トレ<2>

News / Columnもっと遠くに、もっと速く行くためのロードバイクの筋トレ

サイクリングのために大切な上半身の鍛え方〜初級編〜
もっと遠くに、もっと速く行くためのロードバイクの筋トレ<2>

 ロードバイクに乗っている時の姿勢は、日常ではあまり取らないような前傾姿勢であり、それを長時間取り続けることは非常に体への負担が大きくなります。その姿勢を少しでも楽に取り続けるためには体幹の安定性が重要です。特に初心者の方は腹筋周りの強化がとても重要になってきます。今回はロードバイクビギナーでも楽に走れるようになる上半身の筋トレ方法をご紹介します。

ビギナーでも簡単にできる、上半身の筋トレ方法を紹介 Photo: Shusaku MATSUO

長距離を確実に走るためにまず胴まわりを鍛えよう

 腹筋をしっかり強化することで前傾姿勢を楽にキープできるようになり、ハンドルやサドルへの荷重が軽減されるので手のひら、腰、お尻の痛みを予防できます。また、ペダリング動作においても脚だけでなく体幹が動員されるようになるので、膝などの負担軽減も期待できます。

 特に初心者の方は、長い距離を走った際のお尻や腰の痛みに悩まされている方も多いと思います。今回は腹筋群(腹直筋、腹斜筋、腹横筋)の強化を中心とした自重での筋トレをまとめました。どれも場所を取らず手軽に行えるものばかりですので、ぜひお試しください。

長距離を確実に走るための上半身の強化方法①〜四つ這いエクササイズ〜

 四つ這いをしっかり取ることは体幹のインナーマッスルである腹横筋(体のもっとも奥深くにあり、呼吸と姿勢保持に働く筋肉)の強化に有効です。いわば“体の軸”を強化することになります。腹横筋が作用することでそれまで体幹を支えていた背筋群の負担が軽減され、前傾姿勢の保持が楽になります。

まずは腕と太ももを床と垂直に、体は頭のてっぺんから尾てい骨までまっすぐに Photo: Shusaku MATSUO

 また、肩周りの筋肉もリラックスしやすくなるので、“ハンドルに手が乗り過ぎて痛い”といった症状の予防も期待できます。ハンドルに荷重し過ぎずにバイクをコントロールできるようになるので、安全面の向上にも繋がるでしょう。

1. 腕と太ももを床と垂直に、体は頭のてっぺんから尾てい骨までまっすぐにします。左右の肩甲骨が寄らないようにしっかり開くように意識して床を軽く押します。また股間部-おへそ-みぞおちが等間隔になるように背中はまっすぐを意識します。

膝が曲がったり、背中が反り返ったりしやすいので注意 Photo: Shusaku MATSUO

2. 体幹部の意識(股間部-おへそ-みぞおちが等間隔になるように背中はまっすぐ)は残しつつ、片腕とその反対の脚をまっすぐ床と平行になる位置まであげます。この時膝が曲がったり、背中が反り返ったりしやすいので注意しましょう。

3. 2の状態で5回腹式呼吸で深呼吸しましょう。息を吸うときにみぞおちをおへそに押し付けるような意識でやるとインナーマッスルが効きやすいです。

長距離を確実に走るための上半身の強化方法②〜ボトムローイング〜

 サドル上で腰を支えるためのインナーマッスルである大腰筋と、腹直筋の下部を鍛えるものです。これもまた前傾姿勢を楽に取るために有効です。またペダリング動作そのものにおいて股関節を大きく使うためにも大腰筋はキモになる部分です。大腰筋そのものは腰を支える作用もあるので、腰痛対策・予防にも効果が期待できます。

骨盤はまっすぐ立てて、頭から尾てい骨まで一直線にするように意識 Photo: Shusaku MATSUO

 余談ですがプロロードレーサーを見ると、多くの選手はお腹が膨らんでいるように見えるのがわかると思います。これは決して補給食の食べ過ぎで太っている訳ではなく、先ほどもお伝えした腹横筋や大腰筋などのインナーマッスルが姿勢保持に作用し、“腹圧”で上体を支えていることでお腹が膨らんで見えるのです。

腰が丸まらないように注意 Photo: Shusaku MATSUO
腹式呼吸を5回行う。この時ももの付け根から体を起こすように意識を Photo: Shusaku MATSUO

1. 体育座りになります。骨盤はまっすぐ立てて、頭から尾てい骨まで一直線にするように意識します。その状態で両手が床と平行になるように前ならえをします。

2. 腹式呼吸の要領(みぞおちをおへそに押し付けるように)で息を吸ってから、体を後ろに倒します。このとき腰が丸まらないように、最初に意識した一直線を保ったままなるべく大きく後ろに倒しましょう

3. この状態で腹式呼吸を5回行います。

4. 腹式呼吸を終えたら、最後に息を吐きながら元の姿勢に戻ります。このとき、ももの付け根から体を起こすようにしましょう。

最初に意識した一直線を保ったままなるべく大きく後ろに倒す Photo: Shusaku MATSUO

長距離を確実に走るための上半身の強化方法③〜クランチ〜

 ペダリング中も体がブレないようにする上で重要なのがクランチを通した腹斜筋や腹直筋の強化です。無駄な動きを抑えることでエネルギーロスを軽減します。ホビーライダーにおいて特に多いのが“ペダルを踏む動きを腰で代償する”パターン。腰とお尻を左右に振るようになってしまっている人をよく見かけないでしょうか?

仰向けで頭の後ろで手を組み、両脚を直角に曲げる。そして頭〜肩を持ち上げるをまずは20回を目標にしよう Photo: Shusaku MATSUO

 これは姿勢を保つのに腹筋が効いてなく背筋が優位になってしまい骨盤が安定しないため、このような動きになります。こうした無駄な動きを抑えつつお腹と下半身が連鎖するようになることで、ペダリング中の脚の筋肉の負担軽減とお尻への圧の軽減も期待できます。

ひねる動きは肘と膝を近づけるように行う Photo: Shusaku MATSUO

1. 仰向けで頭の後ろで手を組み、両脚を直角に曲げます。尾てい骨は床につけたまま、手のひら分ほど背中に隙間が生まれるようにしましょう。

2. みぞおちとおへそを寄せるようにしながら、頭〜肩を持ち上げます。肘と肘は近づかないようにしましょう。この上げる動きをまずは20回目標にやりましょう。

3. 次は上げるのに合わせてひねる動きも加えていきます。肘と膝を近づけるようにしましょう。このとき最初に頭の後ろで手を組んだ時の肘の開きの幅はキープしたまま、お腹を意識してやるようにしましょう。

 

 次回はロードバイク中~上級者向けの上半身の鍛え方をご紹介します。

西谷亮
西谷亮
バイクフィッティングやパーソナルコーチングを行う「ACTIVIKE」代表。理学療法士。自らもトレーニングを積んでおり、ロードレースへ積極的に参戦中。自転車に適した体の動かし方、筋トレ方法の解説に定評があり、ビギナーサイクリストからプロレベルの選手まで幅広い層から支持されている