2021.8.20
近年はインターネットを介した通販がさまざまな商品で広がっており、自転車も例外ではありません。ネット通販での購入はいくつかメリットもありますが、実は自転車という商品の特性上、通販の利用は必ずしもオススメできません。どのようなデメリット(リスク)があるのでしょうか?
まず先に、ネットショップ購入のメリットを挙げていきましょう。通販の第一のメリットとしては、「店舗を訪れず、自宅で購入できる」ということがあります。スポーツバイク専門店が近くに無いという場合、通販は頼れるライフラインだと言えるでしょう。
店舗を訪れなくていいということは、「ショップとの人間関係構築がほぼ不要」ということでもあります。対人コミュニケーションが苦手という人は、専門店で対話しながら自転車を購入するというプロセスが、少々面倒だったり、敷居が高く感じるかもしれません。ネットショップであれば、商品を指定して購入すれば、あとは届くのを待つだけです。
店頭販売の場合よりも価格が安いことが多いのも、ネットショップのメリットでしょう。近年はネット通販専門のブランドもあり、高いコストパフォーマンスを誇っています。
一方のデメリットとしては、ネットショップで購入した自転車は「メンテナンス時にまず持ち込む店舗」が本体に紐付いていないことが挙げられます。
自転車は定期的なメンテナンスが必須です。特にスポーツバイクは繊細な作りのため、ママチャリより入念かつ短い周期での点検・整備が欠かせません。実店舗で購入した自転車であれば購入したショップに持ち込めばいいのですが、ネットショップで購入した自転車は店舗にとって素性の分からないものであるため、持ち込みではメンテナンス料金が高くなってしまったり、場合によってはネット通販で購入した自転車のメンテナンスを断っているお店もあったりします。
そして結局、メンテナンスをショップに頼るのであれば、結局はショップとの関係構築が必要だということがあります。もし顔なじみのショップがあったとしても、新車販売を中心にしているお店に「これ通販で買ったんですけど」と自転車やパーツを持ち込んだ場合に、ショップ側が気持ち良く作業できるかどうかは、よく考えてみた方がいいと思います(ショップ側も人間です)。
また、購入時に面倒に思えるかもしれない、ショップ側とのコミュニケーションは、購入する車種やサイズなどが適正であるか、プロの目で判断するための材料になっています。それを無しに購入するということは、「何かを間違えてしまう」リスクが潜んでいます。
スポーツバイクの通販購入で注意すべき点について、前回に続き、サイクルセンターサンワの北谷啓一郎さんにもお話を聞きました。北谷さんは「通販の場合は完成車といっても、最終的な組み付けや調整を、お客様ご自身でする部分があるのがリスク」と指摘します。
自転車は完全に出来上がった状態で輸送すると、荷物のサイズが非常に大きくなってしまいます。サイズが大きいと運賃が高くなってしまうため、通販の配送時にはサイズを抑えるために、車輪やハンドル、サドル、ペダルなどの一部部品が取り外された状態になっていることが多いです。
これらの取付けは必ずしも難しいものではありませんが、「スポーツバイクの車体や部品の基礎知識があれば」という前提条件が実は加わります。通販バイクの最終組付けが正しく行われていない事例は、スポーツバイク初心者が作業を行った場合、決して珍しいことではありません。正しい組付けがなされていないと、性能を十分に発揮できないばかりか、安全上の問題が生じることもあります。
これらを総合すると、通販でのスポーツバイク購入は「ある程度の知識と技術がある人向け」ということが言えるでしょう。特に自転車本体は命を乗せて走るものですから、スポーツバイク初心者であれば、まずはプロの手で全て組み立てられたものを購入することをオススメします。
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