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必ず入らなきゃダメ? 自転車保険と防犯登録のお話

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スポーツバイクを買う前に知っておきたい10の教え<6>
必ず入らなきゃダメ? 自転車保険と防犯登録のお話

 ここまでは自転車本体を買う話についてお届けしてきましたが、今回は自転車というモノを買う際に付いてくる「コト」について。自転車保険と防犯登録にはどんな役割があるのか、またどういった義務があるのかを解説します。

防犯登録のシールはスポーツバイクの場合、見える面の裏側など目立たない場所に貼ることが多いです

防犯登録は「義務」

 まず防犯登録ですが、これは法律に定められた義務となっています。「自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律」(昭和55年公布)という長い名前の法律があり、これの第12条第3項に「自転車を利用する者は、その利用する自転車について、国家公安委員会規則で定めるところにより都道府県公安委員会が指定する者の行う防犯登録を受けなければならない」とあります。

 具体的には自転車を購入する際に、販売店が必ず防犯登録をするという流れになっています。

 防犯登録の役割としては、「その自転車の所有者を明確にする」というものがあります。盗難された自転車が見つかった際に、「これは自分の自転車です」ということが証明できたりします。ちなみに2019年の警察庁資料によると、盗まれた自転車が所有者に戻る確率は約52.3%だそうです。

 所有者を証明する必要があるのは、盗難発生時だけではありません。外を走っているとごくたまに「これはあなたの自転車ですか?」とお巡りさんに尋ねられたりします。この場合に防犯登録は自転車が自分のものであることを証明します。証明できないと多分面倒なことになります。

義務化が進む「自転車保険」

 防犯登録は昭和の時代から義務化されていたのに対し、近年注目が集まり、また義務化も進んでいるのが自転車保険です。

 2000年代に入り、自転車事故における高額な賠償請求が起き、実際に高額の賠償命令が下ったことで、被害者と加害者の双方を守るため、自転車保険の加入義務を条例化する自治体が増えてきました。2015年に兵庫県が最初に義務化し、2021年6月現在で東京都や大阪府を含む29の都道府県が条例で義務化、または努力義務化しています。義務化されていない都道府県でも、中核市が独自に義務化している場合があります。

近年は自転車事故で高額賠償を命じられる例が出てきています

 これらの義務化内容は居住していなくても、一時的にその自治体を走行する際にも適用される場合があります。現実的に今からスポーツバイクに乗る場合、自転車保険は最初から入ることを前提にしておいたほうがいいでしょう。スピードの出やすいスポーツバイクは、万が一の事故時に被害が大きくなりやすいので、しっかり備えておきましょう。

 さて、一口に自転車保険といっても実はいろいろあります。義務化が話題になっているのは「個人賠償責任保険」で、これは第三者の身体や所有物に損害を与えた場合に適用される保険です。裁判では1億円近い賠償が認められたケースもあり、保証金額は1億円以上のものを選ぶのが安心です。各保険会社が商品化している自転車保険も、この個人賠償責任保険を中心としている場合が多いです。

 このほかに自分が事故でケガをしたり死亡した場合に適用される「傷害保険」も、必要であれば加入しておいたほうが安心でしょう。「盗難保険」など車両の被害に対応する保険も、商品化されているものがあります。ただし盗難保険は補償金額と期間に対する保険料がそこそこ高めなので、盗難自体を防ぐ対策にお金をかけた方が効率的かもしれません。

文: 米山一輝(よねやま・いっき)

スポーツサイクル歴約30年の自転車乗りで元ロードレーサー。その昔はTOJやジャパンカップなどを走っていたことも。幅広いレベルに触れたクラブチームでの経験を生かし、自転車スポーツの楽しみ方やテクニックをメディアで紹介しています。ローラーより実走、ヒルクライムより平坦、山中より都市部を走るのが好きです。

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