2019.9.20
前回では、補助輪なしの自転車に乗るための、2つの要素を説明しました。今回は実践編として、どのようにこれらを身に付けていくかを解説します。
(1)二輪車のバランス感覚を身に付ける
(2)ペダルを漕ぐ動作を身に付ける
二輪車の乗車感覚を養うには、近年ポピュラーになっているキックバイクが有効です。だいたい1歳半程度、歩けるようになっていて、バイクに跨がったときに地面に足が届けば乗り始められます。乳児期の乗り物として三輪車でなく、いきなりこちらを選ぶのも良いでしょう。
さまざまなメーカーからさまざまなタイプが出ていますが、筆者のおすすめは「欲張った装備はなしに、軽いもの」です。ブレーキとか、エアータイヤとか、ペダルを付けると普通の自転車にできるとか、色々な付加価値は、ほぼ確実に重量に響いてきます。非力な子供が扱うものですから、まずは軽さが正義です。ブレーキがないと不安かもしれませんが、乳幼児の手の大きさや握力では、ブレーキが付いていてもほぼ扱えません。逆にスピードもほぼ出ないので、足ブレーキで十分です。
最初は跨がって歩いているだけの状態ですが、次第にバランスを取って足を浮かせて進めるようになり、二輪車のバランス感覚が身に付きます。
なお、位置づけとしては三輪車と同じ「乗用遊具」になるので、外の道は走らず、公園など広くて安全な場所で乗るようにしましょう。
キックバイクを経ずに自転車に進んでしまった場合、さらにキックバイクを購入した方がいいのかというと、必ずしもそうではありません。幼児用自転車の補助輪と一緒に、ペダルを外してしまいましょう。若干重たいですが、キックバイクと同等になります。この状態でしばらく遊ぶことで、二輪車の感覚を身に付けることができます。
もう一つの要素、ペダルの漕ぎ方を学ぶのに適しているのは、補助輪付きの自転車でしょう。ある段階で補助輪付きの自転車を用意して、ペダルを漕ぐ練習をしましょう。休日に公園などで、補助輪付きの自転車を解放しているところもあるので、そういった施設を利用するのもいいでしょう。
注意しておきたいのは、あくまでもペダルを漕ぐ練習だということです。補助輪付きの自転車の乗車感覚に慣れすぎると、補助輪なしの自転車に乗った際に混乱してしまう恐れもあります。ほどほどに遊んで、ペダルの漕ぎ方が身に付いたら、どんどん次に進みましょう。
補助輪付きの自転車はブレーキも付いているので、ブレーキについて教える機会にもなるでしょう。(でも最初は多分、びっくりする位止まれません)
漕ぎ方練習の別バージョンとして、「ローラーもどき」というのもあります。補助輪なしの自転車に正立タイプのスタンドが付いていれば、スタンドを立てた状態で自転車に乗ることで、実際に走らなくてもペダルを漕ぐ練習ができます(いわゆる固定ローラー状態)。この場合、車輪がすぐに勢いづいてペダルが空転してしまうので、タイヤに靴底などを当てて負荷をかけてあげると良いでしょう。
練習を重ねて、補助輪なしの自転車に乗れる準備が整ってきました。次からはいよいよ自転車デビューです。
スポーツサイクル歴約30年の自転車乗りで元ロードレーサー。その昔はTOJやジャパンカップなどを走っていたことも。幅広いレベルに触れたクラブチームでの経験を生かし、自転車スポーツの楽しみ方やテクニックをメディアで紹介しています。ローラーより実走、ヒルクライムより平坦、山中より都市部を走るのが好きです。
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