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SNS映えする坂道の撮り方  急こう配に見える工夫とは

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自転車をカッコ良く撮ろう<9>
SNS映えする坂道の撮り方  急こう配に見える工夫とは

 前回までは、自転車や自転車に乗った自分を撮影する方法について解説した。今回は最も簡単にSNS映えしやすい坂道写真の撮り方を紹介する。

 なお、前回のまとめは以下の通りだ。

前回のまとめ

・カメラを地面に置くとインパクトある写真が撮りやすい
・自分が写り込むタイミングをしっかりとカウントする
・走る環境を主役にするなら、自転車は遠い位置にいると良い
・タイマー撮影は最初の5秒が大切
・撮影機器の設置環境に十分注意すること

“坂感”はどのようにだすのか

 皆さんは坂を上った時に「この坂はこんなにきつかった!」という感想と共にSNSなどに写真をアップした(またはアップしようと思った)ことはないだろうか。しかし肝心の坂の写真が余りうまく撮れていない、という経験をした人も多いはずだ。

 その失敗は写真がブレていたり、ピントがずれているといった初歩的な問題もあるが、最も多いミスは「坂のはずなのに“坂感”がない(傾斜を感じられない)」写真になってしまうことではないだろうか。

 では、どのように撮ったら坂感を出した写真になるのか。

 まずカメラを構える位置について考えてみよう。スマホで写真を撮るときに何も意識をしないで構えると、自分の目線より下(胸の前あたり)で撮ってしまう。

 しかし坂を撮るときには、目線より5cm位高い位置に構えると良い。こうすることで路面を広く映すことができ、実際の視点に近い写真が撮れる。坂道は上に向かって道が伸びているので、道に対して遠近感が出るように高い位置から撮ることが大切だ。低い位置から撮ると路面とカメラの画角が水平になりやすく、傾斜を表現しにくい。

 そして坂道を撮る上で最も大切なのは構図だ。この違いで坂道感は大きく変わる。下部の写真はどちらも勾配17%の坂だが、右の写真の方が何となく勾配がきつそうに見えないだろうか。

 実は右の写真は左の写真と比較して、道路の写っている面積が大きい。坂を撮るときに傾斜だけを伝えたいならできる限り路面を写そう。だいたい写真全体の3分の2が道路になるくらいが理想だ。

 連載1回目の記事でも触れたが、あれもこれもと欲張ると坂感の薄い写真になりやすい。全てを写したいという欲望はぐっと堪えて、坂は坂、景色は景色と分けて撮影しよう。

 そして先が見通せる緩いカーブならその内側から撮るといい。カーブの内側は外側よりも傾斜がきついので、坂感を出しやすいのだ。下り最中で「ここで写真を撮ろう」と思った時にカーブの内側が反対車線だった場合、面倒くさがらずに内側まで移動するだけで、外側から撮るよりも坂らしい写真に仕上がるはずだ。ぜひ試してみてほしい。ただ急カーブの場合は、画角的に路面しか入らなくなってしまうので注意しよう。

 もし上記の方法を取り入れても自分の撮りたい坂道にならない時は、少しカメラを左右方向に傾けてみよう。こうすることで意図的に路面を斜めにできる。ただし、傾けすぎると不自然な写真になってしまうので、あくまで自分の目で見た坂に近づけるために利用したい。これは坂を何かと対比させる場合にも有効なテクニックだ。

 例えば人工的な構造物と坂を対比することでその勾配を強調できる。そうすると上の写真のように路面を多く写さなくても坂と認識させられる。

 しかし、この撮影法でよくやってしまうのが、あおり気味にカメラを構えることだ。カメラを坂に対して真っすぐに構えていると思っても、実際にはあおり気味になっている。これはできるだけ景色を写そうという意識、周りの景色や坂の勾配に対する身体の錯覚から起こることだ。

 あおってしまうと前述したように坂感が薄くなってしまう。そんな時は画面の中に写る電柱やガードレールの支柱を、カメラ画面のグリッドの縦線と平行にすることで解決できる。

自撮りのテクニック

 ここまで撮り方の話をしてきたが、やはり坂を上っている自分の姿も写したいだろう。撮影の仕方は前回紹介した自撮りの方法と、ここまで書いてきたテクニックを併用すると撮影できる。

 ただ、カメラの設置場所はガードレールなどあまり視点の高くない物に限定される。そのため、坂感のある写真は頭までカメラを上げた状態で撮るよりも薄れてしまう。

 そこで、カメラを傾けるテクニックを使ってみよう。自分が映る道のカーブとは反対に、直線の坂は道に対して外側に傾けることで、 視点は低くても坂感のある写真ができあがる。

 そして以前の回で話した通り、大切なのは被写体の意識だ。辛い坂を表現するならできるだけ辛い雰囲気をだそう。

 後ろから撮るなら重めのギヤを踏んで体重を乗せる様子、正面なら思いっきり踏ん張っている表情をするのもいいだろう。 そのテーマに合わせた素敵な写真を追い求めてほしい。

Kento Ozeki
Kento Ozeki
平成元年生まれのロングライド系チャリダー。速くはないが、ヒルクライムが好きで、2017年より日本中の峠を登り総評するブログ「え、登らないんですか?」を運営中。ブログ運営の他、最近では自治体向け観光PRのドローン撮影も行う。