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通販で買う?お店で買う? スポーツ用自転車購入方法の正解

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ロードバイクの選び方<3>
通販で買う?お店で買う? スポーツ用自転車購入方法の正解

 通販でなんでも買える時代。自転車も然り。軽快車からレース仕様のロードバイクまで通販で購入できます。実際に検索してみると、お値段が手ごろなものも多く、わざわざお店まで行かなくても、通販でも良いような気がしてきます。

この記事の内容

届いた自転車、“安全”に組めますか?

 しかしちょっとお待ちください。日用品や消耗品とは違い、自転車は「人を乗せて公道を走るもの」です。しかも、自動車のように車検制度がありません。通販で購入すると、多くの場合はホイールやハンドルやサドルが外された状態で届きます。専用工具を使って、それらを購入者が組み立てなければいけません。組み立てたあとにブレーキや変速の調整も必要です。バラバラの状態から組み立てられるベテランなら良いですが、ビギナーが自転車1台をきっちり組み上げるのは難しいと思ってください。

 説明書を読みながら組み立てれば、とりあえず形にはなるでしょう。でも、実際に走って負荷がかかったときに、耐えられる組み方でしょうか。もし、走行中にハンドルが外れたら?ペダルが外れたら?怪我では済まないかもしれません。他人を巻き込むこともありえます。整備技術・経験がある人以外は、お店で買うことをお勧めします。

購入だけじゃない、実店舗の重要性

 また、スポーツバイクには1つのモデルで3~10種類ほどのサイズが用意されており、体型にあったサイズを選ぶ必要があります。通販だと、素人判断で間違ったサイズを買ってしまうことも考えられます。サイズが合っていないロードバイクは、サイズが合っていないシューズと同じです。

 また、ピタリと合ったサイズを選んでも、サドルの高さと角度と前後位置、ハンドルの高さと角度、ハンドルの遠さなど、体の柔軟性や手脚の長さによってバイクポジションの微調整が必要です。お店で購入すれば、納車時に専門知識を持ったメカニックが、オーナーであるあなたにぴったりのポジションを合わせてくれます。

 さらに、自転車は定期的に整備が必要になりますし、ときにはトラブルも起きるでしょう。通販で買ってしまうと、整備や修理をどこにお願いすれば良いのか分かりません。「何かあったときに駆け込めるお店がある」というのは、スポーツバイクを楽しむ上で重要なポイントです。

ビギナーでも「エントリーモデル」にこだわる必要なし

 次に、「どの価格帯のバイクを選べば良いのか」について触れておきます。

 もちろん予算に合ったものを選べば良いのですが、中には「予算は十分にあっても、私はビギナーなので上級者向けのハイエンドモデルは必要なく、エントリーグレードで十分」と、遠慮をする人がいます。

 では、ハイエンドモデルは上級者向けなのでしょうか?そんなことはありません。『15万円と100万円のロードバイクの違い』という記事でも詳しく説明していますが、高価な自転車ほど軽く、スムーズに、快適に、気持ちよく走ることができます。変速段数も多く、ブレーキもよく効きます。

 それって「ビギナーにはオーバースペック」というよりむしろ、乗り慣れていないビギナーが、安心感や安全性、快適性、気持ちよさを感じることができるハイエンドモデルも選択の一つです。

ビンディングペダルは走行に慣れてから

 目的にも好みにも予算にも合った一台が決まったら、次はお店のスタッフにこう聞かれるでしょう。

 「ペダルはどうします?」

 「え、ペダル付いてないの?」と驚かれるかもしれませんが、軽快車と違い、ロードバイクにはペダルが付いていないことが多いのです。

 これについても『ビンディングペダルとシューズの仕組みと選び⽅』という記事や、『なぜ足を固定するの? ビンディングペダルの仕組みとメリット』という記事で解説していますが、スポーツバイクには足を固定する「ビンディングペダル」を付けることが多いのです。そのビンディングペダルには、マウンテンバイク用、ロードバイク用などさまざまな種類があり、メーカーによっても作りが違います。そのため「ペダルはお好きなのをどうぞ」となるわけです。

 では、最初からビンディングペダルにするべきでしょうか。個人的にはその必要はないと思っています。ただでさえ、1台目のロードバイクはこれまで乗ってきた軽快車とは違うところだらけ。ハンドルの形が違うし、握るところも違う。変速操作も複雑。サドルは高いし前傾姿勢はきついし、タイヤは細いしハンドリングはクイックだし……。そんな「初体験」だらけの状況に、シューズとペダルを固定するビンディングペダルを付け加えると、「初めてのこと」「慣れないといけないこと」だらけになってしまって、むしろ危険です。

 だから最初は普通のペダルにスニーカーでOK。ロードバイクの操作や走りに慣れてきたら、ビンディングペダルデビューも検討してはいかがでしょうか。

文: 安井行生(やすい・ゆきお)

自転車ライター。大学在学中にメッセンジャーになり、都内で4年間の配送生活を送る。現在は様々な媒体でニューモデルの試乗記事、自転車関連の技術解説、自転車に関するエッセイなどを執筆し、信頼性と独自の視点が多くの自転車ファンからの支持を集める。「今まで稼いだ原稿料の大半をロードバイクにつぎ込んできた」という自称、自転車大好き人間。

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