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ロードバイクは自分でメンテナンスできる? 通販で購入した場合、ショップに持ち込める?

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ロードバイクの選び方<4>
ロードバイクは自分でメンテナンスできる? 通販で購入した場合、ショップに持ち込める?

 自転車が納車されたら、あとは楽しむだけ…と言いたいところですが、一つ肝に銘じておいてほしいことがあります。自転車は人を乗せて公道を走るもの、それなのにクルマのような車検制度がないということです。自転車は人力で走らせるものなので、車体やパーツには大きな負荷がかかります。タイヤは擦り減りますし、ブレーキパッドは劣化します。ケーブルの慣らし運転によって変速も狂います。チェーンやスプロケットは汚れ、摩耗します。安全性や性能を維持するためには定期的なメンテナンスが必須となります。

この記事の内容

自転車に「車検」はない

 では、どのように整備を行えば良いのでしょうか。

 自動車の整備を行う人は、その道のプロ(整備士)に限られます。自動車はボディでメカニズムが見えず、機械部分に手が届きにくい上に、エンジンがあり、トランスミッションがあり、内装があり、電装部品が山ほどあり…と、構造が大がかりで複雑です。本格的な整備をするなら専門知識に加え、工具やリフトなど大規模な設備も必要です。

 一方、自転車は構造がシンプルで、しかもメカ部分が剥き出しなので手が届きやすいです。工具も簡単に揃えられます。これなら誰でも出来そうな気がしてきますね。

 しかしちょっとお待ちを。何度も言いますが、自転車はプラモデルでもラジコンでもなく、人間を乗せて公道を走る乗り物です。

 もし間違った整備をして、走行中にハンドルがずれてしまったら? ペダルが外れたら? ブレーキが効かなくなったら? チェーンが切れてしまったら?

 怪我で済めば良いですが、他人を巻き込む可能性もありますし、最悪の事態も十分にあり得ます。車検制度がないので整備不良でも公道を走れてしまうのが自転車です。しかもロードバイクは軽快車よりもスピードが出るので整備状態がより重要になります。したがって、自動車の整備や車検をディーラーや整備工場にお願いするのと同じように、自転車の整備もショップのプロメカニックの手に任せましょう。

通販のリスク

 ショップで購入した場合は、そのショップへ整備や点検をお願いすれば良いですが、引っ越しをしてその店から離れてしまった人や通販で自転車を購入した人は、どこにメンテナンスをお願いすれば良いのでしょう?

 これは、ショップそれぞれの判断になると思います。引っ越しであることがわかる場合は受け入れてもらえるケースが多いと思いますが、通販で購入した場合は「通販で購入した自転車の持ち込み整備はお断り」や、「通販購入の場合は工賃割増し」を謳っているショップも少なくありません。

 これには理由があります。まず、持ち込み車両はこれまでどんな整備をされてきたのかが分かりません。履歴が分からないので責任が持てない。通販で購入したバイクは国内の代理店を通していないので、メーカー保証が効かないことも考えられます。ということは、消耗品や補修部品の手配が難しいケースがあるのです。自身で持ち込み可能なショップを探すか、プロ並みの整備能力を身に付ける以外に方法はありません。これが通販で購入することのリスクなのです。

 一方で、自転車業界でも通販が増えてきたのは事実なので、「通販購入車両でもOK」「持ち込み大歓迎」というショップも増えつつあります。まずはショップに問い合わせてみるのが良いでしょう。

セルフメンテは安全性に影響のない部分から

 とはいえ、スポーツバイクには「走る」の他に、自分でメンテナンスしたり、パーツ交換など「いじる楽しみ」があるのも事実です。愛車を「自分でメンテナンスをしてみたい」と思っている人も多いでしょう。

 そういう人は、最初は洗車やチェーンへの注油などから始めることをおすすめします。そうして自転車に対する知識を身に付け、構造や仕組みを学ぶと自転車への理解が深まり、もっと自転車が楽しくなることでしょう。

文: 安井行生(やすい・ゆきお)

自転車ライター。大学在学中にメッセンジャーになり、都内で4年間の配送生活を送る。現在は様々な媒体でニューモデルの試乗記事、自転車関連の技術解説、自転車に関するエッセイなどを執筆し、信頼性と独自の視点が多くの自転車ファンからの支持を集める。「今まで稼いだ原稿料の大半をロードバイクにつぎ込んできた」という自称、自転車大好き人間。

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