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「完成車」は実は未完成! パーツ選びで“育てる”ロードバイク

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ロードバイクの選び方<7>
「完成車」は実は未完成! パーツ選びで“育てる”ロードバイク

 ロードバイクは「買うもの」でもあり「乗るもの」ですが、実は「育てるもの」でもあります。「完成車」(※関連記事参照)として販売されているロードバイクには、ハンドル、ステム、サドル、クランク、チェーンリング、スプロケット、タイヤ、ホイール、全て最初から付いて販売されています。しかし、これらのパーツがオーナーであるあなたにとって最適なものであるとは限りません。あくまで「多くの人にマッチするであろう最大公約数」の状態です。

 自転車に対して、乗り手となる人間は千差万別です。体型、体重、体力、そして自転車歴、技術、好みの乗り味、目的、優先事項、何もかもが違います。既製バイクのパーツを交換して、セッティングを変えて、あなただけの「only one」な一台に育てていくと、初期状態とは比べ物にならないほどあなたにフィットして走ってくれるようになります。

この記事の内容

変えるべきはポジション周り

 ロードバイクを「育てる」ために、まず着手すべきはポジション周りです。具体的には自転車と乗り手の接点であるハンドル、ステム、サドルの変更・調整です。

① ハンドル

 ハンドルには、サイズ(幅)だけでなく、リーチ(レバー取り付け部までの突き出し量)や湾曲部分の形状など、たくさんの種類があります。不具合を感じにくい部分なので、完成車に付いていたハンドルのまま乗っている人も多いと思いますが、ハンドルの形状がちょっと変わるだけで乗りやすさが大幅に改善されたりするものです。

 幅は肩幅に合わせるのが基本ですが、湾曲部分の形状の好みは色々なハンドルを使って見つけるしかありません。レバーの取り付け角度によっても使い心地が大きく左右されるので、好みが決まるまで少々時間がかかると思いますが、ショップと相談しながら、自分だけのハンドルとセッティングを探してください。

② ステム

 ハンドルと密接に関わってくるのがステムです。長さに加えて角度にもバリエーションがあるので、ハンドルまでの距離や高さを変えられます。最初は安いステムで十分なので、1cm長くしたり短くしたりして、その変化を感じ取ってみましょう。なお、フレームサイズによりますが、ロードバイクのステムの長さは80~120mmであることがほとんど。それより短くなったり長くなったりする場合は、フレームサイズが間違っている可能性が高いです。

③ サドル

 サドルの選び方に関しては『ロードバイクにはなぜサドルの種類がたくさんあるの?』の記事をご参照ください。お尻の痛みに悩まされるサイクリストは多いので、ショップのレンタルサドルなどを活用しながら、自分のお尻にフィットするサドルを探しましょう。「痛くならないこと」に加え、「ペダリングしやすいこと」も重視すると愛車との一体感がさらに高まります。

意外と効果が大きいバーテープ

 意外な盲点がバーテープです。その名のとおり、ハンドルバーに巻いてクッション性とグリップを高めるためのテープですが、素材、厚み、表面の質感など、さまざまなタイプが販売されています。どんなバーテープにするかによって、グリップ感、快適性、扱いやすさがびっくりするほど変わります。

 さらに、同じバーテープでも、あまり伸ばさずに重ね代を大きくして分厚く巻くのか、伸ばしながらほとんど重ねずに薄く巻くのかによっても使用感は激変します。薄いバーテープを思いっきり伸ばして巻いてダイレクトな握り感にするもよし。分厚いバーテープを伸ばさずにたくさん重ねて巻いて、クッション性の高い乗り心地にするもよいでしょう。

 バーテープは比較的安価な上に、カラーバリエーションが豊富なのでコーディネートを楽しむこともできます。面積が大きいので、バーテープの色でバイクの雰囲気をガラリと変えることもできます。ちなみに、サドルの色と合わせたり、フレームのカラーと合わせるのがセオリーですが、無難にまとめるならホワイトかブラックの無彩色が良いでしょう。

 バーテープは、言ってみればただのテープです。しかし何を選ぶか、どう巻くかによって様々なセッティングが可能な面白いパーツなのです。最も変えやすいパーツの一つですが、正しく巻くにはある程度技術を要するので、自転車店の店員の方と相談をしながら色々と試してみましょう。

文: 安井行生(やすい・ゆきお)

自転車ライター。大学在学中にメッセンジャーになり、都内で4年間の配送生活を送る。現在は様々な媒体でニューモデルの試乗記事、自転車関連の技術解説、自転車に関するエッセイなどを執筆し、信頼性と独自の視点が多くの自転車ファンからの支持を集める。「今まで稼いだ原稿料の大半をロードバイクにつぎ込んできた」という自称、自転車大好き人間。

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