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単独100km走をこなすための基本の乗車姿勢

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ロードバイク単独100km走破術<5>
単独100km走をこなすための基本の乗車姿勢

 ロードバイクを使って単独100kmを走破するにあたって、無理なポジションで走り続けると、次第に体に痛みを覚え、走り続けることが困難になることもあります。せっかくの冒険を苦行で終えないためにも、誤った乗り方になっていないかを確認しましょう。

ポジションのキホン

 世界で活躍する欧州の選手のロードバイクを見ると、サドルは高く、ハンドルは低く、見た目にも格好のいいポジションにしたくなります。しかし、体に合わない、適性から大きくずれたポジションは膝を痛めるなど、トラブルを招くリスクを高めます。次の手順で基本ポジションを確認しましょう。

 まずはサドルの高さの確認です。ロードバイクを水平に置き、シューズを履いた状態でロードバイクにまたがりましょう。サドルに座る位置は、前過ぎず後ろ過ぎない場所です。ペダリングをしながらサドル最後方に座ろうとすろうとすると、内ももの付け根がサドルの両端に当たってしまいますが、そこまで後方には下げないようにしましょう。

サドルからお尻が大きくはみ出ないようにサドルに座ります
NG例。サドル前方に座りすぎています

 その後で、クランクをシートチューブと同一線上にし、シューズのかかとがペダルに接するか接しないかぎりぎりの状態が、基本的なサドルの高さとなります。

シートポストの延長線上にクランクを置き、シューズの踵の裏が接するか接しないかギリギリの状態が適切です
シューズの踵の裏が接するか接しないかギリギリの状態が適切です

 サドルの高さの次は、サドルの前後位置の確認です。確認前に、重りの付いた糸を用意します。身近なものでは5円玉や50円玉に糸を括り付けたものを用意するといいでしょう。

 その後で、サドルを水平にした状態で、ロードバイクにまたがり、クランクを水平にした状態にします。その際に膝蓋骨(膝のお皿)の裏側から重りの付いた糸を垂らします。膝蓋骨の裏側とペダルのシャフトの垂線上に膝蓋骨(膝のお皿)の裏側がくるようにします。この状態でサドル後方に少し空きが出たり、お尻がサドルからはみ出してしまうようであれば、サドルの前後位置の微調整を行います。

クランクを水平にして重りの付いた糸を膝蓋骨(膝のお皿の骨)の裏側から垂らします。クランクのシャフト中心部に糸が位置するようにします
指先で示した箇所が膝蓋骨の裏側です

 サドルの高さと前後位置が決まったら、ステムの長さについてです。サドルに跨り、胸を張った状態で腕を伸ばし、ゆっくりとハンドルのブラケット上に腕を落とし込みます。その状態でブレーキレバーを握れる状態かを確認します。

胸を張って腕を水平に出します
そのままの姿勢でブラケット上部に手を置きます
NG例。背中を丸めた状態でブラケット上部を握らないようにします
NG例。背中を反った状態でブラケット上部を握らないようにします
正しい例。ブラケット上部のブレーキレバーを握れるポジションに手が来るようにしましょう
NG例。ブラケット上部のブレーキレバーを握れるポジションに手が届いていません

乗車姿勢を確認する

 乗車ポジションが大きくずれていないことを確認した後で、走行時の姿勢について注意したいのが上半身を肩で支えてしまった乗り方です。

肩回りで上半身を支えたポジションをつづけることはオススメできません

 肩で支えて乗った状態が続くと、肩にストレスがかかり、肩が凝ってきます。また、この姿勢が続くと、ハンドルに手を添えた手のひらにも荷重がかかることになり、手のひらにも痛みが出てきます。さらに、車体前方に荷重がかかった状態となっていて、走行中に車体がブレて走行することにもつながります。

 ロードバイクは前後にバランスよく荷重がかかった状態が理想です。そうなるためには、肩で上半身を支えるのではなく、上半身を腹筋、背筋といった体幹で支えることになります。まだ100kmを走破したことがない場合、体幹で上半身を支え続けることは難しいかもしれませんが、少なくとも肩で支えた乗車は適切とはいえません。

上半身をリラックスさせた適切な乗り方

 100kmを走るには時速20kmで5時間走ることになります。長時間の走行を想定し、肩で支えなければならない状態が続くと思われるならば、ステムが高くなるように調整しましょう。ハンドルを少し上気味にすることでも微調整は可能です。

 また、肩で支えなければならないような状態で走るのはできるだけ避け、こまめに休憩をとるようにしましょう。

 もうひとつ、「ハンドルは握る」といった表現がありますが、正しいイメージは、握りこむというよりも、ハンドルに手を添えるといったほうが、正解です。前荷重になった状態でハンドルを握りこむと、段差などの障害を乗り越えたり、後方確認を行った際などに、ふらつき操縦のもとにもなります。ハンドルには手を添えることをイメージしましょう。

まとめ

 ここでは、乗車ポジションを確認するための手法を紹介しましたが、最適な乗車ポジションは体のつくりが一人ひとり違うため、人によって異なります。また、同じ人でも、体を支える体幹が十分にあるかないかでポジションは異なってきます。最終的にはフィッティングの専門家に観てもらうのが一番ですが、明らかに大きな間違いをしたまま走っている人が多くいます。100kmを走り出す前に、今一度、こうしたポイントを確認してほしいと思います。

武田耕大
監修:武田耕大(たけだ・こうだい)
埼玉県川口市のプロショップTacke Cycle Factory代表。ビギナーに優しい店作りを心がけ、納車時には自転車の取扱い講習、長年の経験に基づいた乗車ポジションなどもアドバイスする。店舗にはクラブチームもあり、走行イベントも定期的に開催。自転車には、プロショップを営む父の影響を受け、幼少期から触れてきた。高校から本格的に競技を開始し、卒業後は湘南ベルマーレなど国内チームに所属。海外遠征も経験。選手活動を終えてからは、Cycle Factory ARAIで下積みを開始。2013年に現在の店舗をオープン

取材協力:シマノセールス株式会社 株式会社ミヤタサイクル