2020.4.7
都市部をサイクリングしていると、少なからずストレスとなるのが、路肩の駐車車両です。道路端を走るのが原則となる自転車にとっては、走路を塞がれてしまい、クルマが流れている道路中央部を通って避けなければなりません。路駐車両を避けるのが苦手で車道を走りたくない…という人も少なくないようです。そこで、少しでもストレスを感じないよう、いくつかコツをお知らせします。
路駐車両を避ける際のポイントはまず、「止まらず前に進みながら避ける」ということです。
よくある失敗例としては、ギリギリまで車道中央に入るタイミングをつかめないまま路駐車両の真後ろに達してしまい、停止してしまうことです。こうなるとクルマの流れに入ることはほぼ不可能となり、クルマの流れが完全に途切れるまで、延々と止まって待つしかなくなります。
これに対して前に進みながら避けられれば、自転車が前に進んでいる分、クルマとの相対速度が下がるので、流れている車列の間にもある程度入っていくことができるのです。ちなみにこの際に「ふらつかずに後方確認する技術」が役に立ちます。 前回の記事 などを見てしっかり身に付けておきましょう。
前に進みながら避けるためには、あまりギリギリで避けず、早めに動き始めるのがコツです。筆者の場合、交通状況や自分の速度にもよりますが、だいたい30〜50メートル手前から回避行動を始めます。安全のために余裕を持って動き始めましょう。
クルマの車列の間に入っていくと書くと、「そんなの無理!」と思われるかもしれません。これにもテクニックがあります。
路駐車両を避ける場合、通常走っている走行ラインに比べて、クルマの車幅分で約2メートル、安全マージンも含めれば3メートル程度、道路の中心寄りに走行ラインを移動する(進路変更する)ことになります。人によっては一気に走行ラインを変えようとしてしまいますが、これを二段階で行うのがコツです。
まず、路駐車両の右端から少し出るくらいまで、じわじわと動きましょう。実はここまでの範囲であれば路駐車両の影となって、クルマの流れから外れているので、あまり慎重にならなくても安全に出ていけます(もちろん動く前に軽く後方確認はしましょう)。
クルマの流れのすぐ隣くらいまで出たら、一旦直進に切り替えます。この段階で3メートル横に動くうちの、2メートルくらいは動いています。残りは1メートルほど内側に入ればいいだけなので、気分的にはだいぶ楽になります。
あとは真っ直ぐ走りながら、後ろから来るクルマの流れを見つつタイミングを計り、合図をして仕上げの進路変更を素早く完了させましょう。そして避け終わったら、速やかにクルマの列から抜けましょう。早めにアプローチして、タイミングを見て入り、素早く抜ける、これが全体の大まかな流れです。
この方法のメリットはいくつかあります。まず、自転車が車道側から路駐車両を避けることが、クルマから見て早い段階で明確になるという点です。クルマの流れに自転車が入っていくことは、もちろん多少のリスクが存在しますが、クルマ側から完全に見えている状態でクルマ側にとって予測の範囲内の動きであれば、リスクを極小化することができます。クルマ側も当てようと思って走っているわけではないわけですから。
その他にも、路駐車両が背の高い車両でも、早い段階で前方の視界が得られる(死角を減らせる)という点。路駐車両の運転席からの視認時間を確保できる(バックミラーに映る時間が長くなる)点。仕上げの進路変更が小さく済むので、タイミングを計りやすい点。これらを重ねることで、リスク=恐怖心は十分許容できる範囲まで小さくできるはずです。
えっ? クルマの列に入っていくのは「クルマの邪魔」じゃないかと不安ですか? うーん、それはもう当然邪魔ですよ。でもしょうがないですよね。そういうときは心の中で「路駐車両が全部悪い」と唱えましょう。実際、迷惑なのは路駐車両であって、そこを通るクルマや自転車ではないのです。
スポーツサイクル歴約30年の自転車乗りで元ロードレーサー。その昔はTOJやジャパンカップなどを走っていたことも。幅広いレベルに触れたクラブチームでの経験を生かし、自転車スポーツの楽しみ方やテクニックをメディアで紹介しています。ローラーより実走、ヒルクライムより平坦、山中より都市部を走るのが好きです。
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