2023.3.6
ロードバイクを買う理由や目的はそれぞれですが、選ぶ車体やアイテムにはセオリーがあります。なぜそのアイテムを選んだ方が良いのか、ビギナーに知っておいてほしいポイントについて、ロードバイクインプレッションやアイテムレビューでおなじみの自転車専門媒体『La route』編集長・安井行生さんが解説します。
自転車用ヘルメットの努力義務化が話題になっていますが、ロードバイクに乗るなら、義務であろうがなかろうが、ヘルメットは必須です。ロードバイクはシティサイクルの数倍ものスピードで走る乗り物。ともすればクルマやオートバイと同じ速度域で、それらと同じ場所(車道)を走るんです。自転車の死亡事故の約7割は頭部損傷によるというデータもあります。スポーツバイクにとって、ヘルメットはライトと同じくらいの重要度を持っています。
自転車用ヘルメットの性能には、安全性、重量、通気性、フィット感、カラーやデザイン、価格などがありますが、重視すべきなのはまず安全性。あまりに安いものは安全性が確保されていない可能性があるので避けましょう。ショップに置いてある有名メーカーのものであれば大丈夫。
最近は、MIPS(ミップス)という安全性を高める機構が搭載されたヘルメットも増えてきました。Multi-directional Impact Protection Systemの略で、「多方向からの衝撃に対する保護システム」という意味です。ヘルメット本体と内装パッドとの間にスライドする層が設けられた機構のことで、転倒して頭をぶつけたときに脳に加わる衝撃を緩和させるというもの。安全性を重視するならMIPS機能付きのものを選ぶといいでしょう。
次はフィット感。これには試着が必須です。頭の形はまさに十人十色。大きい人もいれば小さい人もいる。縦長の人もいれば真ん丸の人もいる。日本のメーカーのものを選べばフィットしやすいですが、最近は欧米のメーカーでもアジアンフィットという日本人向けの形状のヘルメットを出していることも多いので、選択肢は多くなったと言えるでしょう。まずはショップに行き、店員さんに相談しながら合いそうなモデルを試着してみましょう。
通気性も需要な要素です。特に夏のヒルクライムでは、速度が低くなるうえに運動量が多くなるので、危険な熱中症を避けるためにも、穴がたくさん開いた通気性に優れたモデルを選んでください。とはいえ、通気性は試着では判断できません。ショップで店員さんのアドバイスを受けながら選択を。
重量は軽いに越したことはありませんが、自転車本体やパーツ同様、ヘルメットも<軽い=高い>という傾向にあります。お財布と相談しながら決めてください。空気抵抗の削減を狙ったエアロヘルメットも多くリリースされています。通気性や軽量性は通常のヘルメットに比べやや劣る傾向にありますが、レースをするなら検討すべきでしょう。
また、見た目も大切。いくら性能がよくてコストパフォーマンスに優れているヘルメットでも、似合っていなければライドの楽しさが削がれてしまいます。最近は、ファッションの一部として考えられているデザインやカラーのヘルメットも多くなり、選ぶ楽しさが倍増しました。試着するときには、鏡で自分に似合うかをぜひチェックしてください。そのとき、ライド時に使っているアイウエアをかけるとよりイメージしやすくなります。
自転車ライター。大学在学中にメッセンジャーになり、都内で4年間の配送生活を送る。現在は様々な媒体でニューモデルの試乗記事、自転車関連の技術解説、自転車に関するエッセイなどを執筆し、信頼性と独自の視点が多くの自転車ファンからの支持を集める。「今まで稼いだ原稿料の大半をロードバイクにつぎ込んできた」という自称、自転車大好き人間。
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