2023.4.27
ロードバイクを買う理由や目的はそれぞれですが、選ぶ車体やアイテムにはセオリーがあります。なぜそのアイテムを選んだ方が良いのか、ビギナーに知っておいてほしいポイントについて、ロードバイクインプレッションやアイテムレビューでおなじみの自転車専門媒体『La route』編集長・安井行生さんが解説します。
「趣味はロードバイクです」というと、よくこう返ってきます。「あぁ、あのドロップハンドルで、ピタピタのウエアで走るやつ」。それほどまでにインパクトが強いサイクルウエア。あの自転車専用のウエアは、体のラインが出てしまうし、本格的っぽくてちょっと恥ずかしい……。そう思ってる人も多いと思います。
結論から言うと、ロードバイクに乗るからといって、必ずあの専用のウエア(レーサージャージとレーサーパンツといいます)を着る必要はありません。ギヤに引っ掛かりそうな長いベルトなどが付いていないかぎり、何を着て乗ろうが自由です。
しかし、長距離を快適に走りたいなら、速く走りたいなら、レーサージャージとレーサーパンツは必須です。
理由その①は空気抵抗。自転車が走るときの抵抗の大半は空気抵抗です。普通の服で走るとバタバタとはためいてしまい、大きな空気抵抗が発生します。体にピタリとフィットする専用のウエアを着れば、空気抵抗が抑えられ、少ない力で走ることができるようになります。あの“ピタピタ”は機能美でもあるんです。
理由その②は、快適性。ロードバイクを始めた人の多くが「お尻の痛み」に悩まされます。ロードバイクのサドルは、ペダリングしやすいように細くできているため、普通の服だとお尻に高い圧力がかかってすぐに痛くなってしまいます。スポーツバイク専用のレーサーパンツは、お尻の部分にパッド(クッション)が付いており、長時間乗っていても痛くならない工夫がされているんですね。
理由その③が速乾性や通気性、防風性、防寒性など。自転車の上で激しく運動して発汗するうえ、常に風にさらされるスポーツバイク。普通の服だと、夏のライドで汗でべちゃべちゃになってしまったり、冬の冷風をシャットアウトしてくれなかったりと、非常に不快な思いをします。
自転車専用のウエアは高機能素材を用いており、夏用ウエアは通気性・速乾性・防臭性、冬用ウエアは防風性・防寒性・透湿性に優れたものになっています。
理由その④がフィッティングです。腕を前に突き出して前傾姿勢をとるという、特殊なフォームで乗るスポーツバイク。直立姿勢を前提に作られている普通の服では、肩回りがつっぱってしまったり、お腹周りがだぼだぼになってしまったりと、快適に走れません。専用ウエアは、乗車姿勢を前提にしたカッティングとなっているため、ライディングフォームのときにウエアが体に吸い付くようにフィットします。
その昔、サイクルウエアといえばレーシーで派手なデザインばかりでしたが、最近はシックな色合いでデザイン性に優れたものが多くなり、ファッションとしても楽しめるものになりました。
レーシーなウエアは体のラインが出てしまうし、お店にも入りづらいし……と躊躇してしまう人には、各ウエアメーカーからカジュアルなサイクルウエアがリリースされています。
水泳、サッカー、野球、バスケ、マラソン、スキーにスノボ…どんなスポーツも、本格的にやるなら専用ウエアが必要です。自転車もしかり。専用に作られたサイクルウエアを一度体験すると、普通の服では走れなくなります。
自転車ライター。大学在学中にメッセンジャーになり、都内で4年間の配送生活を送る。現在は様々な媒体でニューモデルの試乗記事、自転車関連の技術解説、自転車に関するエッセイなどを執筆し、信頼性と独自の視点が多くの自転車ファンからの支持を集める。「今まで稼いだ原稿料の大半をロードバイクにつぎ込んできた」という自称、自転車大好き人間。
この人の記事一覧へ稲城から高尾まで 都内サイクリングの定番コース“尾根幹”と+αのルート
2018/10/30
2017/08/29
ヒルクライムで好成績を出すのに、どんなトレーニングをしたらいいですか?
2018/02/23