世界が羨む自転車天国 世界有数の普及・利用海外サイクリストもびっくり!日本の自転車事情<1>
みなさん、チャオ。イタリア出身で自転車を愛してやまないマルコと申します。これから10回に分けて、「外国人サイクリストから見た日本の自転車文化」をテーマに新しいコラムを担当いたします。みなさんと一緒に日本の自転車事情を考え、より自転車が受け入れやすい国になればと思います。第1回のテーマは「日本は世界が羨む自転車天国」です。ぜひ最後までお付き合いください。

日常的な自転車の多さに驚き
1991年に国費留学生として初めて日本にきました。イタリアと全く違う文化と触れましたので、食文化やライフスタイルなど、当初は多くのことに戸惑いました。信号の多さに左側通行、自転車の歩道走行など、独特な交通ルールにも慣れるまで時間がかかりました。
下宿先から当時通っていた名古屋大学まで少し距離があったため自転車を買おうと考えました。小さい頃から自転車通学をしていましたし、名古屋大学の他の大学生も自転車を使っていたので、当然の選択でした。近所の自転車店を教えてもらい、当時流行っていたマウンテンバイクを手に入れました(ロードバイクは通学に不向きですので諦めました)。
自転車を利用して驚いたのが、街に溢れる自転車の数の多さでした。スーパーや商店街のにはカゴ付きの自転車、地下鉄駅の周辺も自転車、警察官も自転車に乗っていました。

自転車を買いやすい日本
私はイタリアのパドヴァ出身。水の都ヴェネツィアの隣町で人口30万人程度の一般的な地方都市。平坦な地形と有名な大学があり、イタリアの中でも比較的自転車が多い街です。パドヴァの周辺地域も自転車産業は盛んですし、地場産業と言っても過言ではありません。
しかし、パドヴァで走っている自転車はかなり年代もので、使い古した感が否めない。一方、日本で走っている自転車は比較的新しいものが多く、自転車店も多い。日本はイタリアとフランスに負けないほどの自転車の国なのです。
地域の特性は少しあるかもしれませんが、日本は地元密着の小さな自転車屋から全国展開のチェーン店まで多くの自転車店があり、普段使いの自転車から高級なスポーツ用自転車まで全て手に入ります。

そのほか、ロードバイク専門店、ランドナー専門店、折りたたみ自転車専門店、ヴィンテージ自転車専門店、クロモリ専門店、トライアスロン自転車専門店、ホームセンターでも自転車と自転車パーツを販売しています。さらに、いわゆる“100円ショップ”でも自転車のアクセサリー等を扱うコーナーが設けられていることには驚きました。
その上、再塗装、フレーム等の修理の技術も高く、大事な自転車を修理できる環境がしっかりあります。さらに高い技術を誇る国内メーカーも存在します。日本には東京を中心に、世界に劣らないほど恵まれた自転車環境があるのです。
ここまで素晴らしい土壌があるのに、なぜ世界レベルのロードレースがほとんど行われないのか、不思議でなりません。
さて、次回の話は日本の自転車の交通ルールについて触れたいと思います。

イタリア外務省認定教育団体ダンテ・アリギエーリ協会東京支部を経て、現在スポーツジャーナリスト及び伊豆市地域おこし協力隊。サイクリングイベント主催、来日プロ選手通訳など、地元自治体と文化交流プログラムも行う。
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