2025.2.3
漫画『弱虫ペダル』をきっかけに2014年にロードバイクに乗り始める。自転車歴7年。登録者数4万人YouTubeチャンネル『Shino-山は性癖です-』やSNSで自転車の楽しさを発信中。山岳旅ライドを好み、最近はオフロードにも熱心に取り組み始める。磐梯吾妻2Days 女子総合優勝、富士ヒル 女子選抜2位、乗鞍一般女子4位、奥多摩&檜原ステージ女子総合優勝(以上2022年戦歴)
この人の記事一覧へインフルエンサーの篠さんは、数多くのヒルクライムにチャレンジしたり、日本縦断のギネス記録を樹立したりと、ロードバイクを通じて自転車の魅力を発信しています。一方、近年はマウンテンバイク(MTB)にも熱中しているそうです。ロードバイク乗りがどのようなきっかけでMTBの世界に入っていったのか、インタビューしました。
─MTBに乗り始めたきっかけとは?
5年ほど前、引っ越しをきっかけに、これまでお世話になっていなかったプロショップにロードバイクのメンテナンスをお願いしに行きましたが、ロードバイクだけでなくMTBに精通したショップでした。バイクのレンタルや、スタッフの方が先導してMTBフィールドを走るライドイベントも行われており、MTBをレンタルしてイベントに参加したのが、MTBを始めるきっかけになりました。
その時の私は全国のヒルクライムレースでまずまずのタイムを記録しており、脚力には少し自信がありました。しかし、ヒルクライムには上りがあれば、スピードが出る下りもあります。練習中の速度もフィジカルの向上とともに上がってきており、いつか転んで怪我をしてしまうのではないかという心配もありました。滑りやすくバランス感がより必要なオフロード走行に慣れることで、より安全に走るためのスキルが身につくのではないかという期待もありました。
いざ、ショップのスタッフやお客さん達とMTBフィールドを走ってみると、自分が全然走れないことに驚きました。正直、「太いタイヤだから多少道が荒れていても走れるでしょ」と甘く考えていたのですが、想像以上の急勾配の上りや下り、岩や木の根でガタガタの路面をスムーズに走行することはとても難しかったです。小学生の方が上手に走れていました(笑)。何かが根本的にできていない、ということに気が付いたのです。
─難しいと感じたMTBになぜはハマったのですか
始めた当時の自分の写真を見ると、不慣れななことがすぐ分かって笑ってしまうほどです。体の使い方や動かし方が分かっていませんでした。ロードバイクであればペダルを踏めば普通に前に進み、車体を倒せば曲がることができます。しかし、MTBの場合はトラクションや体の重心を意識し、“自転車を走らせるための理屈”を理解して、実践できなければスムーズに走ることができません。当初は上手に走れない悔しさもあったのだと思います。
フィールドを走るうえで、経験したことがない急勾配を上ったり下ったりするのですが、自転車が走る理屈を考えながら挑戦すると、段々とクリアできるようになってきます。ロードバイクであれば、パワーメーターのデータなどの数値で成長を可視化できます。それも楽しいのですが、MTBの場合は明確にスキルの向上が実感できます。これがMTBの魅力の一つです。今ではMTBで得たスキルをロードバイクの乗車時にも活かすことができるようになりました。走るためのロジックと体の使い方の両方を会得して、自分の成長を実感できることがハマったきっかけですね。
─ロードバイクでのライド中心のサイクリストへおすすめしたいことは?
私を含めて、ロードバイクから自転車を趣味として始めた人は、脚力が付いてくるとレースや競技を始めがちです。しかし、MTB界隈では実感として1割もいないのではないでしょう。よくロードバイク乗りがMTBを買う際にはクロスカントリー(XC)系の車種を選ぶ傾向にありますが、MTBはオールマウンテン(AM)系、ダウンヒル系など、車種によって遊べる内容が変わってきます。最初に購入する際には何をしたいかを決めた方がいいですね。
おすすめとしては、MTBが得意なプロショップに相談することから始めてはいかがでしょうか。私のケースのように、バイクを貸していたり、走行会を実施している店舗もあるでしょう。レンタルバイクを利用できるフィールドも増えてきていますね。いきなり車体を購入するのはハードルが高いので、まずは体験することが大事だと思います。
可能であればショップのスタッフや、既にMTBに長年乗っている知人などに楽しみ方のノウハウを教わることがベストです。ロードバイクの場合は、購入後にある程度の距離や時間を乗っていると自然と強くなっていきます。しかし、MTBの場合は乗り方や走る場所を教わらなければ楽しさは半減してしまいます。通販で車体を買える機会も増えてきましたが、MTBこそ精通しているプロショップで買うべきだと思います。
最近ではMTBと同様、ディスクブレーキのロードバイクが一般化してきました。以前は機構が全く異なった、ロードバイク乗りにとっては扱いが難しく感じることがあったと思いますが、輪行や車に積み込むハードルが下がったのではないでしょうか。
─ロードバイク乗りに伝えたいMTBの魅力は?
MTBはとても自由な乗り物です。理屈抜きにして山やフィールドを走るだけでも楽しいですよ! 乗ったままクリアできないポイントがあれば、車体から降りて押して歩いても全く問題ありませんし、恥ずかしくもない。コーヒーやおやつをナップザックに詰めて、ゆっくり散策しながら途中で山中の自然を感じながら楽しんでも良いでしょう。力まない楽しさがある。自然に触れ、森に癒される。私の推す“非日常感”を感じられます。
私は近年、MTBのインストラクター育成のプログラムを受講し、検定に合格することができました。これからライディング教室などにも講師として参加することもあるでしょう。ぜひ、ロードバイク乗りの方に参加していただき、皆さんと一緒にスキルを向上させながら、楽しんでライドできればと思います。
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