いざトレイルへ!これだけは覚えておきたいチェック&メンテナンスプロショップ直伝 MTBの選び方・始め方<5>
せっかくのトレイルライドも、ライド中にトラブルが起きては元も子もありません。トレイルを楽しく、そして安全にライドするためには、ライド前のバイクチェックとメンテナンスを行い、少しでもトラブルが起きないように心がけましょう。
ライド前のチェック&メンテナンス
バイク各部に緩み(ガタ)がないか、サスペンションの動きや変速動作はスムーズか、そしてブレーキがしっかり利くかなどの基本チェックと対処は、ライド前日までに終わらせておきましょう。走行感に違和感を覚え、自分で直せないようであればプロショップに相談しましょう。そして、チェーンへの注油もお忘れなく!

走り出す前に
ホイールを外したら、ブレーキにスペーサーを挟む!
トレイルまでのアプローチでは、バイクを車に載せたり、輪行したりする際にホイールを外す機会は多々あると思います。
油圧ディスクブレーキの場合、ホイールが外れている状態(ディスクローターがない状態)でブレーキレバーを握ってしまうと、ブレーキパッドが閉じてしまいます。ホイールを外したときは、ブレーキパッドの間に純正のスペーサーか、パッドを傷めない厚紙等を挟んでおくようにしましょう。

アクスル(車軸)を無くさないように管理する
15㎜アクスルや12㎜アクスルのように、アクスルを抜いてホイールを外す場合は、アクスルをフロントサスペンションやフレームに戻すなどして、なくさないように気をつけましょう。

タイヤの空気圧は適正に!
タイヤの空気圧は、タイヤのサイドウォールに表記されている適正空気圧表示を参考に調整します。例えば「29PSI/2.0BAR – 43PSI/3.0BAR」と表示されている場合は、この範囲内でタイヤの空気圧を調整します。
よりワイド化している最近のMTBタイヤは、より低圧で使いがちですが、極端な低圧で使うと、後で述べるリム打ちパンクを起こしやすくなります。


サスペンションのロックアウトレバーをチェックする
フロントサスペンションやリアサスペンションには、ロックアウト機能(サスペンションの動きを止める働き)付のものがあります。特別な場合を除き初心者の方は、ロックアウトを解除しておきましょう。


これだけは覚えておきたいパンク修理のTips
パンクは、トレイルライドでいちばん多く遭遇するトラブルです。石や根が作り出す角にタイヤが強くヒットすると、タイヤとリムにチューブが強く挟まれパンクします。トレイルで起きるパンクの大半は、この「リム打ちパンク」で、タイヤの空気圧が低すぎる場合にもよく起きるトラブルです。また、木のトゲや尖った石もパンクの原因となります。パンク修理は修理の基本、自分で直せるように予習しておきましょう。パンク修理の対処手順は以下の通りです。
① パンクしたホイールをバイクから外す。ホイールを外す際はバイクを逆さまに立てると外しやすくなります。リアホイール場合は、小さいギアを選びチェーンにゆとりを持たせると外しやすくなります。

② タイヤの片側のビードをタイヤレバーで外し、中のチューブを取り出します。リムを傷めないようにタイヤレバーはプラスチック製のものを使います。

③ タイヤの表面と裏面をよく確認し、異物が刺さっていればそれを取り除きます。また、タイヤが数㎜切れているようであれば、バンドエイドで構わないのでタイヤの内側に貼って簡易補修しておきましょう。

④ スペアチューブはバルブから先にタイヤに入れ、チューブを挟まないようにビードをリムに戻し、チューブがはみ出さないように注意深くエアを注入します。適正空気圧までエアを入れたら修理完了です。ライド中のパンク修理は時間的ロスを防ぐためチューブ交換で対処します。パンクしてしまったチューブは帰宅後ゆっくり修理し、問題がなければそのチューブをスペアチューブとして使います。

前回のMTBの装備でお伝えしたように、トレイルでのエア調整やパンクに備え、バックパックの中には、携帯工具、スペアチューブ、タイヤレバー、携帯ポンプなどを用意しておきましょう。


東京・池袋から程近い、マウンテンバイク・プロショップ「M.D.S」店長。トレイルからレース用MTBまで幅広い品揃えで、ビギナーからベテランライダーをサポート。組み立て、販売だけでなく、ツアーやスクールなどのイベントも企画、運営。自転車協会が定めるスポーツ用自転車の点検・整備のプロ「SBAA PLUS」認定者の資格も持つ。
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