2020.2.7
マウンテンバイク(MTB)のプロフェッショナルがMTBにまつわる素朴な疑問に答えていく本コーナー。初回は「サグ取りって何ですか?」プロライダーの品川真寛氏が答えていきます。(Text & Photo:Masahiro OSAWA)
MTBでよく聞く言葉の一つに「サグ」というものがあります。サスペンションに荷重がかかると、サスペンションは沈み込みます。その沈み込んだ量をサグと言います。
サグ取りとは、MTBに乗る人の体重に合わせて、適切にサスペンションの沈み込む量(サグ)を調整することを言います。体重50kgの人と90kgの人がある一台のMTBに乗車したときに、フロントサスペンションの沈み込む量が異なるのは誰もがイメージしやすいかと思います。
では、サグ取りはなぜ行うのでしょうか。サグ取りには次のようなメリットがあります。サスペンションが適度に沈み込み、路面の凸凹をいなしてくれることで、速く走ることができたり、段差があっても難なく走破できたり、転倒せずに走れたりします。
天候やコースにもよりますが、サグの量が少ないと、タイヤが滑り出すのも早く感じます。ウェットな走路コンディションでは、サグの量を多めにとっています。
サグ取りをすることで、サスペンションの“底突き”も回避できます。底突きはサスペンションが限界まで縮んだ状態のことで、その状態で吸収できなかったエネルギーが負荷としてサスペンションにかかることになり、故障原因にもなります。また、サグ取りがきちんとできていないと、底突きが起きたときに、サスペンションが吸収できなくなったエネルギーは、ライダー自身に跳ね返ってくるため、落車の原因にもつながります。安心・安全に走るためにも、サグ取りは不可欠なのです。
サスペンションには、コイルスプリング式とエアサスペンション式の2種類があります。コイルスプリング式はコイル状のスプリングで衝撃を吸収しますが、バネの硬さを調整したりすることはできません。サグ取りは“エアサス”と呼ばれるエアサスペンションでのみ行う作業となります。空気がスプリングの役割を果たしているのがエアサスなので、サグ取りはサスペンションの空気圧の調整とも言い換えることができます。
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