2020.2.21
マウンテンバイク(MTB)のプロフェッショナルがMTBにまつわる素朴な疑問に答えていく本コーナー。前回に続き「初めてのダウンヒル、乗り方のコツを教えて下さい」という質問にプロライダーの井手川直樹氏が答えていきます。
皆さん、こんにちは。プロマウンテンバイクライダーの井手川直樹(いでがわ なおき)です。
今回は 「初めてのダウンヒル、乗り方のコツを教えて下さい」という質問の「中編」をお届けします。もし、この文章をキッカケにMTBに興味を持って、実際に乗ってくれた方がいたら嬉しいですね。
さて、何事も始める際には基礎が重要です。この基礎を覚えてしまえば上達のスピードもグッとアップしていきます。今回は前回お伝えした初心者向けスクールで教える5つのポイントのうち、 ③下りのポジションと加重、④バランスについて解説していきます。 オフロードへ走りに行く前に、しっかり基礎を身につけましょう。
まずは、下り斜面で必要になる姿勢と、加重する位置についてです。下りの際のライディングポジションですが、基本的には前編でお知らせしたニュートラルポジションと同じです。ペダルの位置を左右地面と並行にし、そのままサドルから立ち上がった状態をとります。
ただし、下り斜面ではMTBのフロントタイヤ側が下がっているので、バイクと同様に身体も前のめりになり、腕で体重を支える体勢になってしまいます。そうなると下半身とリアタイヤに加重しにくく、リアタイヤがグリップを失うことで滑りやすくなったりします。また、腕の力だけでMTBに乗る状況になることで腕の筋肉が疲れてしまって転倒に繋がるリスクも高くなります。
このため、前のめりになってしまうと「前後タイヤの真ん中に重心を置く」という理想的な乗り方にはなりません。
ではどうすれば良いのか? ここで必要となるのが重心を移動させて適正なポジションをとることです。重心の移動で「前後タイヤへ加重する」のです。
上の写真のように腰を引いて重心を後ろに移動させます。斜面の角度がキツくなればなるほど重心を後ろへ移動させる必要があるので、走行する斜面の角度に合わせて腰を引く深さを変えましょう。
このときの注意点は腰を引きすぎて腕と脚が伸びきらないようにすることです。中〜上級者になれば意識的に腕と脚を使ってリズムをとりながら、斜度に応じて適切な加重ができるようになります。それによりタイヤの接地力を増加させ、ライディング中の安定感をより高めるために有効なスキルとなります。
MTBを安全にコントロールするためには、スピードが速くなったとき、遅くなったとき、どちらのシチュエーションにおいてもバランスが重要です。バランス力をアップさせるための練習方法をお知らせしましょう。
どんなときでもバランスをとる際に重要なのは「目線」です。下を向かず、3mくらい先を見るようにしましょう。視線が遠くになることによって、ハンドルがフラフラと左右にぶれるのを軽減することができます。
最終目標はスピードがゼロの状態でニュートラルポジションをとり、その場で30秒間キープできるようになることです。
この最終目標までにいくつかのステップが必要です。まずは平らな場所で、できるだけスピードを落として走行する練習をしましょう。5〜10mほどの距離でスタートとゴールを設定します。ニュートラルポジションのまま走ってきて、スタートラインを越えたら徐々に減速。そこからゴールまでの間、スピードがゼロに近くなっても足が地面につかないようバランスをとる練習をしてみましょう。
白線などでも大丈夫ですが、ホームセンターなどで売っている長さ3mほど、幅10cmくらいの木の板を使って、その木から落ちないようにバランス力を高める練習をしてみましょう。
初めは少しスピードがあっても問題ありませんが、成功するにつれて徐々にスピードを落として走行してください。自転車は速度を落とせば落とすほどバランスが重要になってきます。
オフロードは地面が整地されていないのでバランスを失いやすいです。こうした安全地帯(平らな場所)での基礎スキルアップ練習がオフロードでも役立つので、遊び感覚でバランス力を高めていきましょう。
今回はここまで。次回の後編で最後のコツ「⑤曲がる(コーナー)」についてお伝えしたいと思います。最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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