2020.3.6
マウンテンバイク(MTB)のプロフェッショナルがMTBにまつわる素朴な疑問に答えていく本コーナー。プロライダー品川真寛氏の第2回は「サグ取りの方法は?」という質問に答えます。そもそもサグ取りって?という方は前回の「サグ取りって何ですか?」もあわせてどうぞ。(Text & Photo:Masahiro OSAWA)
サグ取りを行う際、サスペンション用の空気入れ「サスペンションポンプ」(以下、サスポンプ)が必須になります。サスポンプは通常の自転車の空気入れに比べて、高圧の空気が入れられます。入れすぎた場合に空気を抜く調節が行えるものもあります。完成車でMTBを購入した場合、サスポンプは付属していないので、購入することをオススメします。購入するなら、内圧が目視できるエアゲージ付きの物がいいですね。
用意ができたら次の準備に移りましょう。まずはMTBのロック機構を開放した状態にします。サスペンションの動きをロックするロックアウト機構を開放し、サスペンションの硬さを調整するコンプレッション、サスペンションの戻りを調整する「リバウンド」もそれぞれ緩めた状態、最弱の状態にします(メーカーごとによってマイナス、LOW、うさぎマークなど様々な表示がある)。
なお、下準備として、サスペンション内のエアをすべて抜いてから行うことをオススメします。MTBに乗車していると、スペンションが上下動を繰り返すうちに、パッキンからエアが漏れて、意図しない部分にまで入ってしまうことがあるからです。
空気が移動してしまうことで、サスペンションストロークが本来100mmのはずなのに、80mmに落ちていたということもあります。こうした現象を避けるには、エアを抜いてリセットすることが必要です。
次にサスペンションに空気を入れます。その際の目安として、サスペンションの裏側に表示された数値を参考にしてください。記載がない場合は、メーカーホームページで調べるか、もしくはメーカーへ問い合わせてください。体重をベースにした参考値から、大まかな設定が行えます。
この後のサグ取りで空気を入れたり、抜いたりして微調整を行っていきますが、それを行う前に必ず空気入れを外しましょう。空気入れを外さずに乗車してしまうと、空気入れに一気に圧がかかってしまい、壊れてしまう恐れがあります。
いよいよサグ取りです。ここから紹介する方法でさらに、細かく調整していきます。手順は次のとおりです。
では、ポイントを記していきます。MTBに乗車する際は、ウェア、ヘルメットなど走行するときと同様の装備にします。リュックを背負ったトレイルライドをするならば、リュックを背負った状態でMTBに乗ります。同じ装備にしないと、サグの量が変わってしまうからです。
乗車時は脚を水平にして、ハンドルを握り、立ち姿勢を保ちます。この際、勢いよく乗車して、サスペンションに荷重をかけないようにしてください。
あくまでも自然な乗車を心がけて、自然にサスペンションに荷重がかかった状態にします。サスペンションが沈み込んだら、ゆっくりとMTBから降ります。
次にサスペンションに付いているゴムリングの位置を見ます。ゴムリングでサスペンションが沈み込んだ量(サグ)を一目で確認できます。画像の場合には、サスペンションに「%」表示が入っており、一目でわかるようになっています。
沈み込みが足りなければ空気を抜きます。沈み込みが大きければ空気を入れます。20%前後に近づくように何度も繰り返して調整をしましょう。
なお、サグ取りを行う際に、サスペンションにゴムリングがなかったり、サグ取りの際の目安が記されていないがあります。その場合は、タイラップやノギスなど使うなどして工夫をしましょう(タイラップはインナーチューブの磨耗の原因になるので走行時には外してください)。
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