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教えて! MTBのスゴイ人<33>

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MTBフィールドでやってはいけないことを教えてください
教えて! MTBのスゴイ人<33>

 マウンテンバイク(MTB)のプロフェッショナルがMTBにまつわる素朴な疑問に答えていく本コーナー。第33回は「MTBフィールドでやっていはけないことを教えてください」という質問にプロライダーの井手川直樹氏が答えていきます。

今回の回答者 : 井手川直樹(いでがわ なおき)
 1980年4月22日生まれ。1996年に日本最高峰のクラス、エリートクラスへ特別昇格。今も破られていない最年少記録である16歳で全日本チャンピオンに。2002年から2年間は海外のチームへ移籍しワールドカップを転戦。その活躍からホンダ・レーシング(HRC)MTBチームの設立当初からメンバーとして活動した。在籍中、2年連続でナショナルチャンピオンやアジアチャンピオンなどを獲得し、数多くの功績を残した。現在も現役にこだわり、2021年度発足の「TEAM A&F」では選手兼監督としてレース活動を続けながら、チーム運営やMTBの普及活動に努めている。

見えにくい場所で止まるのは危険

 みなさん、こんにちは。プロマウンテンバイクライダーの井手川直樹(いでがわ なおき)です。

 MTBフィールドでNGな行為ですが、まず避けてほしいこととして、コース上の後方から見えにくい場所で停止することが挙げられます。ブラインドコーナー(急に曲がっていたり障害物があったりして先が見通せないコーナー)の先に止まっていると、後ろから走ってきた人が気付いたときには、もう避けられない距離だったりしてとても危ないです。

 見えない場所はコーナーだけでなく、タテに落ちていくようなところもあります。くぼんで落ちるような、ドロップオフまでは行かなくてもコブ状に下がっていくところだと、近くまで行かないと見えないので、その先で止まっていると危ないです。スピードが出るコースだと、接触リスクがとても高まるので大変危険です。

コースには見通しの悪くなる区間が随所にあります

 あとは逆走も危険です。フィールドは原則一方通行ですが、一度通過したセクションをもう一回走りたいから登ってくるとか、それも後方から走ってくることを気にせず、気軽に逆走してくることがあるので、これもとても危ないです。

 立ち止まったり、再度セクションなどにチャレンジしたりする際は、コース外に出てからおこなうようにしましょう。

各フィールドのルールを確認しよう

 走行ルールに関しては、フィールドごとに定められているので、フィールドのウェブサイトや現地に掲示されているルールをよく読んで、必ず守るようにしましょう。例えばドリフト(後輪をロックさせて滑らせる)行為など、フィールドによっては禁止とされている場合があります。基本的な部分として、人や障害物を避けられるようにコントロールできる範囲の速度で走行するとか、前方の走行車に優先権があるとか、コース上にいる走行車の妨げにならないようにするとか、そういった点はどのフィールドでも共通していると思います。

富士見パノラマリゾートのウェブサイトにある走行ルール。各フィールドのルールを走る前に確認しておきましょう

 自分のレベルに合わないコースに入ってしまうのも、避けた方が良いでしょう。例えば富士見パノラマでは、ゴンドラから一番近いコースが一番難しいコースなのですが、そこに初級者が入ってしまうと、乗って走れず押して下りてしまう事態になってしまいます。そうすると後ろから上級者がスピードを出して下ってくるので、スピード差も大きく、接触した際に双方が大けがをしてしまうリスクがあります。ご自身がどのコースを走ることが良いのか、事前にしっかりと確認してから走りましょう。

 また、専用フィールドのコースは見てわかるように区切られていますが、区切られたコース以外を突っ切って走る行為もNGです。さまざまな事故やけがのリスクもありますし、自然を守るという観点からも、管理されたコース内を走るようにしましょう。

追い抜くときは声掛けを

 コース上で先行するライダーを抜く際には、必ず声掛けをするようにしましょう。大きな声で「すいません右行きまーす」「左抜きまーす」といった感じで伝えますが、それと同時に威圧はしないことが肝心です。後ろからすごいスピードで来て、すぐ後ろで急にリアロックブレーキを掛けたりとか、煽り運転気味になるライダーもいるようです。

 しかしコース上では原則として前にいる人に優先権があります。声掛けをしつつ、無理のない場所で挨拶して行かせてもらうよう心がけてください。黙って抜いたり無理して抜いたりすると、接触の原因にもなりかねず危険です。

 僕らプロはスピードが速く、それだけで十分威圧的になってしまうので、前走者を抜く際にはなるべく近付かないようにして、広くなった場所でパスするよう心がけています。抜く際にも無言だと相手にとっても印象が良くないと思いますので、「右行きまーす」「すいませーん」といった感じでなるべく爽やかに、お互いが気持ち良くいられるように気を付けています。

 逆に前を走っているライダーも、後ろから速いライダーが来たときは、一旦止まって譲ってあげるなど、双方が思いやりを持って走ることが大事だと思います。

洗車やゴミについて

 ライドで汚れた自転車は、持ち帰る前に洗ってキレイにするのが基本ですが、洗車にもマナーがあります。まず施設にあるトイレなどの水道を使っての洗車はNGです。泥が配管に詰まって大変なことになるので、洗車は決められた洗車場で行うようにしてください。駐車場などでブラシを使って土を落とした際は、チリトリなどを使って土のあるオフロードに移動させましょう。土は土のあるところに落とすか、落としたあと必ず拾って移すようにしてください。

洗車のマナーにも注意しましょう

 あとはゴミでしょうか。ゴミは原則として全て持ち帰る前提でいてください。富士見パノラマのようにスキー場として整備されたフィールドであればゴミ箱がありますが、基本的にはその場所で購入した物だけを捨てるようにしましょう。

 多くのフィールドではゴミ箱が無いことがむしろ一般的です。フィールドによっては自動販売機も無い場合がありまので、事前に情報を確認してから必要な物を準備しておきましょう。ゴミも含めて持って行った物は全て持ち帰るのが基本と考えるようにしましょう。

 最後までご覧いただき、ありがとうございました。